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ライブレポ(妄想)

Nothing's Carved In Stone
ランニングシャッフルセトリレポ@1月9日(火)都内某所

ゲリラ的に慣行された1時間限定のワンマンライブ。
突然のご褒美に困惑しつつも、運良く参加することのできた筆者は開演のその時を待っていた。

バックドロップが降りてくるのと同時に、メンバーが入場する。後方からも漏れなく上がってくる思い思いの歓声と、絶え間ない拍手から、突然のライブ開催にも関わらず駆けつけた猛者達の熱量が伝わってくる。
舞台が暗転して各々が楽器の準備に取りかかると、入場であがっていたオーディエンスの歓声が静まり、今日のライブの出方を見守る。

そして大喜多の4カウントを皮切りに、日向のファズの効いたベースが響く「Sick」から宴は始まった。その歪みに呼応するような、村松のがなりの効いた煽りによってフロアが再び沸き立つ。ミドルテンポでありながらも、一音一音の重みにしっかりとしたグルーヴがあり、その重みを振りきるようにサビでは盛り上がりをみせる仕様になっているこの曲で、一曲目にしてしっかりとナッシングスを感じとることができる。

そして2曲目はまさかの『MaterialEcho』。入場SEとして使われることがほとんどのため、生演奏でこのインスト曲を聴ける機会はほとんど無いといっても過言ではないだろう。この貴重な瞬間を逃すまいと聴き入りながらも、果たしてこの先の展開がどうなってしまうのか、と、オーディエンスの期待の色が隠しきれていない。そしてその期待を裏切らず、さらにインスト曲『Memento』が続く。この曲はファンの中でも根強い人気を持つ2ndアルバム「Sands of Time」からの選曲である。後半のギターリフは、リフと呼ばれるくらいなので同じフレーズなのは間違いないのだが、その一つ一つが表情を変えてくる演奏はさすがの生形である。

強めのエコーがかかった幻想的なフレーズから始まる『Discover, You Have To』では、1曲目のミドルテンポの雰囲気を継承しながらも、心地よいバスドラのリズムに少しづつ身体が揺れてくるのを感じる。かなり刺激的な歌詞だが、村松が歌うと、そんな歌詞でさえ当たり前のように耳に心地よく入ってくる。それは15年の歳月を経て成熟したメンバーの余裕と、そんな彼らに惹かれたオーディエンスが築き上げた「ナッシングスの雰囲気」があるからであろう。

4曲目が終了し、各メンバーが早めの転換を終えると、空気をガラリと変えて『青の雫』が始まる。アコースティックな曲では、村松の歌声が堪能できるのはもちろん、ほとんどの場合で生形のギターソロも味わうことができるのが魅力だ。そして改めて彼らの楽曲の振り幅の広さを感じることができることもポイントの1つ。

と、ここまで若干スロースターターのような立ち上がりできたが、次の『村雨の中』では最初こそ流れを引き継ぐような、間と歌詞を味わう浮遊感から、途中から駆け出すように手数を増やす展開で、ライブ全体のギアを入れていく。続く大喜多のドラムソロから始まる『Youth City』、日向お得意のスラップがいたるところ堪能できる『kill the Emotion』で演奏スキルの高さを見せつつフロアの温度をあげ、さらに『Who Is』そして『Mythology 』で高みを目指して駆け上がる。各曲が収録されているアルバムのツアーでは、盛り上げの場を任される安定感のある曲でこれまでの歴史を巡り、そして最新のアルバム、ANSWER からは『Wonderer』が代表として出演。イントロが流れ始めると、会場全体がクラップで応える。コロナ禍で声出しができない際には、アーティストとファンとの架け橋になったクラップだが、ライブでの縛りがほとんど無くなった今では、単純にその楽曲のクオリティの高さを思い知るばかりだ。

今回のセトリのなかでは比較的レア曲と呼べるであろう『Crystal Beat』で、フィナーレに向かって燃料を注ぐ。ここまでほとんどMCらしいMCは無く、約1時間という縛りのなかで使える時間はすべて曲に回す、というナッシングスの漢らしさを感じる。あるいは、最低でも31曲を披露するという約束をファンと交わした武道館に向けて、ウォーミングアップも兼ね合わせているのだろうか。それにしても、ここまでノンストップで走り続けても衰えず、むしろ更に増す勢いに、こちらとしても体力をつけて武道館に臨む必要があると身が引き締まる思いだ。

そして最高潮でお目にかかることができるのはやはり『Out Of Control』。前曲のエンディングから息つく暇もなく切り込まれる生形のギターチョーキングに、オーディエンスから本日一番の歓声があがる。ライブでの定番曲という立場ではあるが、ただ盛り上がるというだけではなく、ここまで各々の技術を詰め込み、そして感情を入り交じえながらもきちんと「聴く相手」のことを考えれているというところが、この曲の、ひいてはナッシングスが、ファンから根強い人気を誇る理由であろう。お馴染みのダンスタイムでは、村松がオリジナルの躍りを披露するのもご愛嬌だ。

本編ラストを飾ったのは『The fool』。個人的には『REVOLT』の代表格とも言えるこの曲の魅力は、なんといっても全体の不安定さにある。サイケディリックなエフェクトで全体を覆うベースと、危機感を煽るような鋭くトーンの高いギター、迫る足音のように途切れないバスドラムに、強い言葉で綴られ、そして発せられる歌詞。一触即発の雰囲気は当時のバンドの様子を反映しているようだが、それがここで再現できるも、彼らがチームを続け、それを乗り越えて体験として消化できているからだろう。最後はそんなヒリヒリした空気を残しつついつものように振り返らずに舞台を去っていく。

今日一番のサプライズはアンコールで起こった。2曲演奏したのだが、それが両方とも『Out Of Control』だったのだ。チョーキングや得意の16ビート、スラップにダンスが繰り返され、まさにOut Of Control 状態であった。いくら定番と言えど、流石に1日3回は盛り上がりが難しいかと思いきや、しかしそこは流石に百戦錬磨のナッシングスの顔なだけある。演奏するごとに印象が異なる様々なアレンジを比較し堪能し躍り狂うことができる、ある意味贅沢な、そして2度と訪れないであろう奇跡の空間だった。
会場を更なる高みに連れていった彼らは、一礼をして笑顔でステージの袖へ消えていく。高高度で放り出されたオーディエンスは放心状態ではあったが、徐々に拍手の音が広がり、無事に終演をむかえた。

今回のライブは突発的なものに加え、なかなか斬新なセットリストであった。いい意味で、彼らの曲を全曲シャッフルして聞いたような、新しい試みのセットリストである、といった印象だ。
ただ一つ言えることは、やはり彼らは「ライブモンスター」ということだ。

さあ、次はいよいよ2024年2月24日(土)日本武道館ワンマン公演 ”Nothing’s Carved In Stone 15th Anniversary Live at BUDOKAN" 。結成15周年の締めくくりとして、全楽曲からのリクエスト20曲と、これまでのアルバム11枚からメンバー選出の11曲、全31曲超のセットリストが約束されている。既存ファンの方はもちろん、気になっている方も、新旧入り乱れたセットリストに大満足の1日になることは間違いないだろう。ただし、いやがおうでも盛り上がることは必須なので足腰を鍛えておくことをおすすめする。

チケット購入は以下サイトから。
受付URL:https://eplus.jp/ncis-hp/

またグッズの先行販売も現在受付中だ。
受付期間:1/12(金)12:00〜1/31(水)23:00まで
受付URL:https://acqua-store.jp/pages/ncis

筆者/iruka

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