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【改訂版】掘削記#1 〜タイトル未定〜 女性声優を観にアイドルフェスに行った僕が気付いたら北国を掘削するモグラになっていた件 

※はてぶで書いていた記事の「増補改訂版」みたいな立ち位置と考えてもらえれば。

 なんとなく、避けていた。

 そんな感覚が無かったと言えば嘘にはなる。

 それがTIFというイベント、
 もといアイドルフェスという概念であった。

 遡ること2015年8月31日

 ひとりのオタクが死んだ日。 

 いや、転生することを決めた日と言えば良いのか。人生ではじめて(厳密に言えば2人目なんだけど、当時のゴミカス野郎僕は推しランク付けをしていたので思い入れの強さ的に)「人」に魅了された経験の引き金となった存在が、アイドルを卒業した。

  アイドルにとって「絶対的な幕引き」を味わった後にそのグループをテレビで観たときに得た「何も観るものが無い」という虚無感は当時16歳の心に癒え難い傷を刻んだのである。

 その逃避先が”ひとつ落ちた”2次元コンテンツ。

 のめり込んだ理由は間違いなく「終わりのリスクが少なく「萌え」を享受できると思っていたから」という一点に尽きる。

(まぁ、触ってみたらいちばん最初に支持者の多いアイド…とかいうモンスターコンテンツ触っただけであって、実態はボロボロ終わるしボロボロ無くなっていったんですけどね……)


それからずいぶん長い時間が経ち、「画面の中の女の子、可愛すぎ大問題」の答えを求めて色々な現場に行くようになって、気付いたら画面を覗いている時間よりアクティブな時間が増えていった。

 ここで特筆すべきなのはDIALOGUE+だろう。CUE!という存在が補助輪になったとはいえ、「画面を介さず、前情報も殆どなく、実際に足を運んで好きになった」久しぶりの感覚を味わったグループ。活動の過程でアイドルと絡むことも多く、対バンという形でご無沙汰になっていた概念を目に入れる機会もあった。

 そんな少しずつ梯子を外していく段階で、DIALOGUE+が参加することになったのが去年のTIF。僕はこのイベントを干した。

 割と家から近い現場を干してまで向かったのは福岡。アイドルマスターシンデレラガールズの10thツアー。


 身体の流れと逆行して心が向かった先で、自分でも訳が分からないくらい「2次元のアイドルに」大泣きしてしまったこの日は、読み替えれば「TIFを干して正解だった」と迷わず認めてしまった日でもある。

 そしてこの事実は、一度投げ出したアイドルという概念を、好きになることは無いんだろうな、好きになろうとするとブレーキがかかってしまうんだろうなという思い込みを植え付けたのである。

 それから年が明け。

 ウマ娘を皮切りにはじまった新鮮な好きの連鎖、その傍らで雪解けが進行していた。

 だいたい7年ぶりに参加した(22/7は…どう分類したら良いか未だに分からんのでノーカンで…...)アイドルのワンマンライブ、身内が推している「虹のコンキスタドール」の日本武道館公演。

 様々なアーティストがひとつの区切りとして定める特別な場所で歌って踊る彼女たちの姿は「あ、コレがキラキラしてるってことか」と思わせてくれるものだった。

「言語化は難しいけれど、なんか"良い"、"感動する" というニュアンス」という意味合いでのこの「キラキラ」という表現は、漠然とアイドルを推して過ごしていた7年前には浮かばなかったものだった。

 アイドルという、意図的に避けていた概念にまだ感動できる自分が居ることに気付けたこの日は、確実に2022年のターニングポイント。「TIFに行こう」という決断の背中を押した要因の2割くらいには確実になっている。


……じゃあ他の8割はなんだって聞かれると言葉に詰まってしまうんですが……

 ッスウ──────。

 女性声優を観にアイドルフェスに参加する異常成人男性、爆誕ー。


 これについて言い訳させてもらうと、2022年、実はターニングポイントが無数に存在していて……

 その中にあったのがカレンチャン篠原侑さんとの出会い。

好きと好きが重なった場所で会いたいという天才的フレーズが9月に八城雄太大先生によって発明されたので使わせて貰うが(リンク貼ろうとしたらまだキュートしか無いのね......)、TIFはまさに「好きと好きが重なった場所で会いたい」ために手を尽くした一日だった。いや、「尽くさなかったら観れなかった」が正しいか。フェス形式のイベントに参加したことがある人なら分かるかもしれない。超人気グループと同じ時間帯に好きなバンドやらグループやらを重ねられたときの少しでも前進するために耐久戦を仕掛ける気持ちを……

 そんなこんなで大体10時間くらい待って見届けられたウマ娘、清the楚という表現がピッタリハマる夏限定衣装(アレもう見れないの?人類の損失だと思うんだけど)に身を包んだ篠原さんを観てこの日の全てを許したのでやはり推しというものは偉大なのである。


 なんだかんだで坂道(乃木坂とか欅坂とかの〇〇坂って名前の人達ね、僕の付き合いの範囲だとこの呼称ワンチャン知らなさそうな人いるから)オタクのお兄さんに荷物番を頼んで見たHOT STAGE(割とアイドルから離れてた僕でも知ってるような人達が立つしっかりしたステージ。ハコは小さい。←コレ今考えても意味わからん。駐車場のデカいスペースあったやろ……)のDIALOGUE+も、いろいろ複雑な気持ちがあったとはいえ楽しかったし。


 そんなウマ娘での過酷な体験を終えた時点で当初立てていた予定は残すところ一つ。フジテレビ屋上のSKY STAGEのトリを務めるDIALOGUE+をもう一度観るだけ。

 とはいえ、それだけでは折角のフェスなのに寂しいよね、ということで。

 この日の途中から合流したオタクと早めに会場に乗り込んで、名前も聞いたことのないグループの知らない曲でも浴びながら振りコピでもしておくか〜、とヘラヘラしていたのだが。

 その目論見は、とあるグループとの出会いにより、一気に崩れることとなる。


 フェスと言えば、分かりやすく、「熱」と「旬」を詰め込んだセットリストを組むもの、という固定観念にドロップキックを浴びせられた。

 いや、「熱」は詰め込まれていたが、色が違う、というのが正しいか。例えていうなら、ガスバーナーの赤い炎と青い炎のような違い。夜を吹き飛ばすかのような、真っ赤で熱いセットリストで挑んでくるグループが多数を占める中に、まるで夜を"飼い慣らす"かのようにバラード調の楽曲を3曲叩き込んでいった名前も知らない4人組。

「バーナーの青い炎は赤い炎より熱い」

 小学校の理科で習う定説を体現するかのような彼女たちの、炎の色は違えどしっかり熱いパフォーマンス。お目当てのDIALOGUE+がやってくるまでの記憶が吹き飛ぶくらい強力な余韻を残していった。


 この日帰ってすぐ、ケモ耳を付けた女性の画像に舌鼓を打ちながら(顔の良い女性の画像は栄養になるので表現として正しい)やったことと言えば、あの4人組の正体を探ること。特にポニーテールを揺らしながらステージを無尽に駆け回って、ところどころ印象的なシャウトをしていたあの子。タイムテーブルを頼りにTwitterを探索し、その正体に辿り着いた。


「タイトル未定」


 北海道を拠点に活動するこのグループを認知したこの瞬間。
 令和4年、流石にもう訪れないと思っていた「新しい出会い」という括りでのターニングポイントが急に舞い込んで来たのであった。

 そこからはまるで、1年前の4月の僕を巻き戻しているかのような沼への浸かり方、いや、どちらかと言うと"掘削"という表現が正しいか。

 モグラが地中を掘り進めるが如く様々な情報を集めて行き、次々出てくる「あ、コレは僕、このグループ好きになるかもしれん……」と納得してしまう要素の数々。


 まずはアイドルという存在にとって欠かせないビジュアルパフォーマンス

 Twitterの自己紹介に一時期書くほどだった「性癖:外ハネショート」という属性。それを貫通してきたのが先述の「ポニーテールを揺らしながらステージを無尽に駆け回って、ところどころ印象的なシャウトをしていた」子こと、阿部葉菜さん。



 公式のYoutubeや過去ツイートを探索しているうちに、自らの弱点属性を再考慮して「タレ目」に変えるかを真剣に検討させられてしまったくらいしっかりと刺されてしまった。特性:かたやぶりにカウンターを食らうモグラさん......


 そしてこれがないとお話にならない、という要素、楽曲


 二次元コンテンツを追っている時間が異様に長くなってしまった人間の性として、どうしても女性が集団で歌う曲というものに舌が肥えてしまうのである。”声”に関しては流石に分があるので。


「作曲編曲、だいたい変わらんなら声が安定してるほう聴きたいよね.....」

 「多様性のあるアイドル楽曲を聴きたいなら、三次元に戻る必要も無いのかな」


 7年間のアイドルに対する空白の原因も元を辿ればここにある。(はじめてミリオンライブに触ったときとか、世界最高アニメーション、ハナヤマタの主題歌を聴いたときの気持ちは今でも忘れられません......どちらももう聴けるか分からんが。)→再掲時点、ミリオンライブサブスク解禁!!!最高!!!愛してる!!!


 だからこそタイトル未定が、TIFのSKY STAGEで、しかも「旬」や「熱」を届けるグループがほとんどであったフェスで繰り出してきた3曲がすべてバラード調だったことに「これは何か違う、絶対に手札を大量に持っていて、”野外”、”夜”、”最終日”というシチュエーションに沿った選曲をしたはず」という確信めいたものがあった。


 その確信は、僕の中では正解、という結論に至るまでに時間はかからなかった。


 サブスクリプションサービスのオススメの一番最初に出てきた楽曲、

 ”2021年、アイドル楽曲総選挙”6位の楽曲、

 それがこの「鼓動」



 やっぱりフェス向きの手札あるじゃねぇか!というツッコミと同時に浮かんできたのが「これ絶対鍵盤が基本編成に入ってないバンドの誰かが作ったよな」「シンプルな編成でも十分成立しそうだ」という感想。

 正解はTRIPLANEのボーカル、江畑兵衛氏。アニメ・メジャーの「心絵」のロードオブメジャーじゃないバージョンを歌ってる人たちと言えば伝わるだろうか。確かに鍵盤が居ないので、11年もBase Ball Bearとかいう鍵盤を使わない変態バンドを聴いている変態の耳は伊達じゃなかったらしい。

初めて聴いた曲なのに、妙に耳に馴染む。

 この「鼓動」からスタートして全曲を聴き終わった頃にはすっかり無限ループが始まってしまった。特に「蜃気楼」→「鼓動」→「黎明」という3曲。夜は猫になり、目覚めの瞬間にはモグラになる。日々のルーティンに欠かせないセットリストになった。

 そして最後に触れざるを得ないのは、自分との共通項

 ここまでは分かりやすい、一般的な「良さ」を語ってきたのだが、結局のところ、「共感」できるところがなければ、何かを好きになるのは難しいと思っている。

 え、地元は日本の南と北の端っこで正反対、出会って間もないお前とアイドルの間に共通項なんてあるわけないだろ。そんなこと言うなかれ。ちゃんと存在している。

 そう、鼓動はアイドル楽曲総選挙6位

 ……6位?!

僕も障害(物)競走なら6位取ったことがあるんですよ!!!!!!!!


 というのは冗談で。

 グループに対する掘削の途中で見つけた、阿部葉菜さんのnote「葉月記」。


 僕が知る前のグループの遍歴であったり、彼女自身のことであったりを少し踏み込んで伝えてくれる内容。

 最初は割と素直に「へぇ〜」とか「そうなんだ〜」という無知ならではの感想を持っていたが、読み進めるうちに湧き上がってきたのは、「7年前までの僕は何も考えずにただ出されたものを受け止めてアイドルという文化を享受していたから、発信する側のことを何も考えていなかったんだな、」というマイナスな感情。
 抱かなくてもいい余計な気持ちを持ちがちな悪い癖はいつまでたっても抜けないんだな、と少しばかり心の澱みを感じながら文章を読み進めていた。

 そして過去の記事も終わりに差し掛かったときに、目に入ったのが#17。



 タイトルで「斜構」なんて言葉を使う人間、僕らのグラウンド(二次元よりのオタク共の総称)以外にもいるんだ、という驚き、僕のスタンスを的確に言い表す言葉を選択するセンス、僕があるキャラクターに対して抱いている感情に非常に似ている「あこがれ」に近い気持ちを感じさせる内容。この文章が”人”に惹かれる決め手だったのかもしれない。

 アイドルのnoteは危険。読むと抜け出せない物質が確実にある。7月までの自分に伝えておくべき言葉があるとするならば、コレ。←当時こういっておきながら、別の女性のブログ景気で何か新しい沼に手をかけ始めているらしいっすよ→後日書きます。


 そしてダメ押しとなったのはこれ。


 この1本の動画が、先述の11年同じバンドを聴き続けている変態にはリーサルだった。

アイドルネッサンス、というグループを知っている人は流石に僕の交友関係では同級生の森くんくらいのものだろう。残念ながら既に解散してしまったグループなのだが、この「前髪」を含め多くの楽曲に携わっている人物がいる。

 ここまで引っ張れば察しのついた人も多いはず。

 そう。Base Ball Bearのボーカル&ギター、この世で僕が最も敬愛するサウンドメイカー、小出祐介氏である。

初めて聴く楽曲しかない、と思っていたら一番身近な音楽がすぐ近くに居た、というびっくりの大展開。どれくらい驚いたかというと、九州出身の女性声優を集めたイベントで推し二人横に並べられたときくらいひっくり返ってしまったこの動画。

11年好きな音を、敬意を持って、懸命に、丁寧に歌い上げる彼女たちの姿。新しい好きの手札が増えることに遮るものは無くなっていた。


 ターニングポイントとなったTIFから約1か月。

 割とずっと楽しみにしていた虹ヶ咲のライブの直前に、連番者に頼み込んで無理矢理ねじ込んだ、みなとみらいのライブハウスでの2回目。TIFの最後方から大前進して、しっかりと表情まで味わった。

 そして翌月の3回目。「蜃気楼」→「鼓動」→「黎明」のリレーが現実になり、思わず飛び上がってしまった。

 気づけば11月も何度か観に行こうとしているし、人生初の北海道上陸の計画も立ててしまった。モグラの掘削は止まることを知らないのである。


 なんとなく、避けていた。


 そんな自分が居たことのほうが嘘のように思えてしまうような出会いが、2022年、夏、確かに存在した。



 ここから新規書き下ろしゾーン。


 サブタイトルは「お母さんごめんなさい」~負けを宣告された男たち~。お楽しみください。


 ……いや、いつでも帰れると思ってたんすよ、地上に。

 無理でした。

 以下はその犯行の数々。

・最速先行で獲得した声現場のチケット

「○○の昼公演の時間くらいに〇〇〇〇でるイベのチケあるんだけど行かん?」

→普通にオタクに譲ってクリスマスイブにライブに行く

・身内の全オタクが集結するアイマス合同ライブ

「ごめん、俺、その次の週北海道行くから」

→申し込みすらしない

・「あ~、予定空いてるならその日行くわ!」と約束したシャイニーカラーズ5thライブのある日。

オタク 「この日大阪でこういうのあるんだけど……」
僕 「おっけ!シャニ絶対行かん!往復代とチケットとチェキ券1枚のが安い!仕事終わったら夜行乗る!帰ったら恵比寿でワンマン!」


 人という生き物は、かくも儚い生き物なのです。


 ちなみに帰省だけは死守した。1/9とか行きたい現場はあったんですけどね。ん?年末年始に帰るつもりとか言ってなかったっけ……どうして1週後ろにずれてるんですか?←飛行機代です。往復で二倍も変わるのは聞いてない。え?ミリオンライブ武道館?あれは元々行くつもり無かったのでノーカンで……


 原文(はてなブログ)で触れた「特典会」の文化について、続編。

 ログ代わりに1枚……と言っていたはずが気づけば話したいことが積もって日に2回が最低ラインになりつつある今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。


 たのしそう(こなみ)

 ちなみにこの「はにゃ…」というのは「葉菜」とかかっている言葉であって(略)


 おわり


↑踏んだら幸せになるリンクです。よければどうぞ。いや、2000円と渋谷までの交通費握りしめて踏め。頼む。

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