君は二塁に何を見るのか
はじめに
時代の終わり、とはこういうことなのかと痛感した。私がライオンズファンになったのは2017年。その少しあとから所謂「山賊打線」が全盛期を迎え、幸運にもここ数年ではいちばん強いライオンズを目の当たりにすることが出来た。
そんな「山賊」の中で確かに活躍し爪痕を残したであろう岡田雅利選手、金子侑司選手が現役を退くという。2017年以前のライオンズには正直疎いのだが、寂しさは大きい。
そしてそのふたりにメッセージを送ろう、という企画がライオンズ公式noteで告知された。一ファンからふたりへ、各種SNSを用いてメッセージを届けられる、そんな企画。
それを見て数分で、私は書こうと思った。ずっとずっと書きたいと思っていた、「短歌」を用いたnoteを。私の詠む短歌はまだ未熟で、ひょっとすれば彼らの目にすら留まらないかもしれない。けれど三十一文字で彼らへの感謝を伝えようとするのは、きっと私しかいない。
どうか私の短歌とこのnoteが、次に進む彼らの背中をほんの少しでも押すものになれば嬉しい。
お願い:短歌について
このnoteで私の読む短歌は「送る人(岡田、金子両選手のこと)」を前提としたものとなる。短歌単体ではよく分からない、というものが多いが、その点はご了承願いたい。
狙いすまして、一撃、火花
スマイルは0円 2番は捕手のこと 「1」に立つ君の直球を受ける
逆さまの虹が浮きでるタピオカが喉に詰まって生を感じる
あなたみたいなひまわりで窒息死する夢を見てベルドに向かう
何事も抱きしめ笑う君だから最後くらいは抱きしめさせて
本塁に還るための犠牲者になる 狙いすまして、一撃、火花
尾を引いた
魁星が散り
黙り込む
清かな夜と
歳を重ねる
風になっても愛してくれる?
瞬きをする間に光る電撃の色は紫紺で君を象る
一二塁間はあなたのランウェイで駆けゆく先の歓声を待つ
君がまだ走る未来は残っててそれでも去った君は綺麗だ
幸運の数字が縛る運命に抗ってみて知った泡沫
未来など分からないまま踏み出して風になっても愛してくれる?
輝いて
願い片手に
弧を描く
優雅を纏い
次代を泳ぐ
さいごに
9/14に岡田選手の、9/15に金子選手の引退試合が行われた。どちらもふたりらしい、清々しいものだった。自らの応援歌を聞くためにレフトスタンドで立ち止まる後ろ姿に感極まった方も多いだろう。
私がこのnoteを書き上げるまでにもうひとり引退を決めた。彼のための短歌も、いつか詠みたいと思う。
どうかふたりの行く末が、幸せなものであること、野球と永く携われるものであることを祈っている。