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はじめての男の普段キモノ vol.6 襦袢の半衿

 襦袢についての続きです。

1、掛衿とは

 襦袢には「半衿」という衿が別のパーツとして付きます。この「半衿」は、襦袢をお誂えしたときも別に用意する必要があります。初めて襦袢をお誂えする時、「半衿はどうします?」と聞かれると思います。お店で誂える時は別売りの掛衿を購入して間に合わせられますが、知り合いの和裁士さんにお願いする時は、事前に半衿を用意して生地と一緒に渡さなければいけません。


半衿


 元々半衿とは、着物の衿が肌に直に触れて脂などで汚れないようにカバーをするものです。半衿は簡単に取り外しができるようにつけられていて、汚れたら外して洗う、もしくは新しい半衿に取り替えたりします。ですが汚れ防止というだけでなく顔に一番近いところにあるパーツであるということもあり、おしゃれ部分として色々な半衿をつけたり取り替えたりして楽しむ事のできるものでもあります。

 おしゃれとしての半衿と言っても、着物を着始めたばかりの人には難しく感じるかもしれません。
 そこで基本的な半衿の合わせ方を紹介したいと思います。


2、色半衿の基本とは

 基本の半衿といえば、「白」。
 白は基本の色ですし、品もありますし、またどのような着物にもよく合います。


 ただ普段着として着物を着る時、白だけでは面白くありません。長着に合わせて色々な楽しみ方をしてみたいし、半衿は男の着物でおしゃれさが出せる数少ないポイントでもあります。さらに白は汚れが目立ちます。いくら外して洗うものと言っても毎回外して洗うのはとても大変。そこで「色物」だったり「柄物」の半衿がよく使われています。

 着物を着始めた方におすすめなのが、「色物無地」の半衿です。柄物は着物の柄に合わせる必要もありますし、同じ柄でも人によって合う合わないがくっきり出ます。まずは簡単な「色物無地」から始めて、徐々に自分にあった柄物を探っていけば良いかと思います。

 色物の使い方として自分が基本としているのが「1~7月はシルバー 8~12月はゴールド」の教えです。
これは京友禅のデザイナーさんから教わった基本の色使いです。今回は長襦袢の半衿ですが、長着も羽織も帯も足袋も・・・この基本に基づいてそろえていけば間違いありません。
 わかりやすく言い換えると、シルバーは寒色系。ゴールドは暖色系と言っても良いかもしれません。この基本はまた別の記事にて詳しく説明しますが、ここでは同じ着物で”1~7月”の時の掛衿と”8~12月”の時の掛衿のイメージの違いを見てください。ぜひ頭の中で1~7月:春から初夏のイメージ、8~12月:秋から冬のイメージを想像して写真をみてください。

1~7月
8~12月

いかがでしょうか。
なかなか今自分のいる季節を無視して、頭の中で違う季節をイメージするのは難しいかもしれません。でもイメージできると結構しっくり来るかと思います。実はこれが和装の色の基本だったりするのです。


3、半衿と帯

 ついでに着物のコーディネートの例として、一つ。
 「半衿」と「帯」の色を合わせると、しっくり納まります。

半襟が「紺」
半襟が「茶」


「今日はどの帯にして羽織はどうしようかな」なんて組み合わせを考える時、半衿の色から考えるのも有りです。
 例えば、半衿が紺なら、着物は反対の明るめにして、帯も紺系の色。足袋も紺にして草履は少し明るめの青系・・・みたいに、半衿から全体の色のバランスを考えるのも有りです。
 あとこれは自分の感覚なのですが、長着が柄がはっきりしているものだったら半衿は無地。逆に長着の柄が目立たないものだったら半衿は柄物。長着と反対のイメージで着ると良いのではと思います。「柄」の半衿に「柄」の長着、うまく合えば格好良いですがちょっとでも間違えるとガラガラで煩くなってしまいます。ここらへんは着物上級者に任せて、着物を着始めたばかりの方は、間違いの少ない無地の色物から半衿を選んでいけば良いと思います。


4、半衿の生地

 半衿の生地についてですが、半衿として販売しているものは手軽で良いのですが、自分好みの生地を半衿として使うのも面白いものです。

 着物好きな人に聞いてみると、「端切れを見ると、”これって半衿に出来ないかな”って考えてしまう」というでしょう。そのくらい半衿に使う布は自由です。
 よく使われるのが”手ぬぐい”。手ぬぐいの巾を折り曲げて、そのまま衿に付けるのはよくみかけます。他にも手芸屋さんの端切れコーナーで探したりもします。


 半衿はとても自由な物ですが、自由なだけあって組み合わせが難しいものでもあります。上記に書いたことが少しでも参考になれば嬉しく思います。

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