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一番になりたくて、一番でありたくて。欲張りでわがままな私。
ゆらゆらと高速バスに揺られながら、窓の外に流れる街の光をぼんやり眺めている。
「また考えすぎてる」って、誰かに言われそうな気がするけど、それも自分なんだって、そろそろ許してあげたい。だって、どうせ考えちゃうんだもん。人間に生まれたからには、持っている脳みそをフルに回し切りたい。
自己否定が癖になりすぎて、このままじゃ卑屈な化け物になってしまう。
自分がどんな人間なのか、きちんと向き合わないまま、このモヤモヤが消えることなんてないんだと思う。頭の中で絡まっている糸を、一つずつ丁寧に解いていきたい。焦らず、ぎゅっと縛られた部分をほぐすように。
コンプレックスは誰にでもある。私にも、それは山ほどある。
小さい頃から「一番になりたい!」って強く思っていて、わがままで、寂しがり屋で、やきもちやきだった。今のいちばんのコンプレックスは太ってしまったこと。昔も太ももが痩せないのが嫌でたまらなかった。高い鼻が好きになれなかったし、もっと大きくてくりくりの目がほしかった。唇は薄くてスッとした形のほうがいいのにって思っていた。性格だってそう。もっとカラっとして、いわゆる「陽キャ」になりたかった。人の顔色ばかり気にしないで、もっと明るく、根っからの快活さを持ちたかった。
でも、大人になった今の私は少しだけ変わった。
みんなそれぞれに素敵で、みんな最高だって思えるようになった。もちろん、私も、あなたも。それに、人を羨む気持ちが少し減った気がする。無理してギラギラしなくてもいい。今の私でいいんだって、自然に思える瞬間が増えた。けれど、時々はちょっとだけ背伸びして、背中に冷たい風を受けたくなる。煌びやかで刺激的な世界も覗いてみたい。「もっと素敵になりたいな」って思ったりして。
コンプレックスを愛せるようになれたら最強だよね。でも、それはまだ少し先の話。潰せるコンプレックスは潰していこう。だから、痩せようって思う。
変わらないところもある。家族や恋人には「一番」でいたい。
一番愛されて、一番可愛がられて、一番信頼されて、一番認められていたい。そこだけは譲れない。たとえどんなに変わったとしても、「一番」にしてほしい。
わがままだし、独りよがりかもしれない。それでも、今の私はこんな感じ。それでいいんだって、思いたい。仕方ないじゃん。だって私は、愛されたいんだもん。