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夏の匂いと、平日シーシャ。

まだ梅雨が明けたわけではないだろう。ただ、もう外は夏の匂いで充満している。日差しも肌をさすように痛いので、この時期はもっぱら長袖ばかり着るようになった。子供の頃の夏を思い出すと、いまから五度以上は気温が低かったように思う。夏が来た!と思っても水温が低くて学校のプールの授業がなかなか始まらなくてもどかしかったり。暑いのは昔から得意ではないけれど、夏が近づくと何かとワクワクしていたことを思い出す。クラスの誰々と誰々が付き合いだしたとか誰が誰に告白した、だとかそんな浮いた話題が増えるのも夏だった。懐かしい。年齢的にも、関わっている人間の絶対数を考えても今はなかなかそんなにふわっとした甘酸っぱい恋愛の話題を耳にすることも少なくなった。なんだか寂しい気持ちになるが、それでもこの夏の匂いを感じると過去の淡い思い出がふわっと脳裏に浮かんでくる。今私はシーシャ屋でボコボコと音をたてながら競輪をみたり、作業をしていたりする。(なんだかんだ車券ばかり買ってしまって作業が進まないのは、内緒。)三年間つづいたコロナ禍のおかげで私の二十代の夏は特別な催しも行えず、あっけなく終わってしまった。二十年前の私は平日の真昼間に車券を買いながらシーシャをぶくぶくさせているなんて思いもしなかっただろうな。ただ一つ言えるのは、今は今で最高に楽しい。どうしても懐古的になりがちな性格ではあるが、過去に戻りたいかと言われると全くそんなことはない。制限された中での自由も悪くなかったけれど、大人になってからの開放感は格別だ。したいように仕事をする。そのためにまた準備や勉強をする。仕事が終わったらまた、自分だけの至福の時間が待っている。所謂資本主義のサイクルにまんまと踊らされているようにも思えるけれど、私はそれでいい。とにかく、生きている感覚がする。責任をもって自分の人生を生きられる喜びを知ることができたから、大人になれて本当に良かったと思う。ワクワク感は自分で作っていけばいい。そのワクワク感を人と共有できるように、めいっぱい働いたらいい。三十歳になってやっとしっかりと自我が芽生えた感じ。いいんだよ、したいことしよう。大事にしたいものに対して本気で取り組んで生きていれば、きっと幾つになってもワクワクしていられる。そう信じて生きていこう。さて、明日からは岸和田ミッドナイト競輪。また一つ、ワクワクが待っているぞ。

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