見出し画像

灰色領域。

心が、まるで掌の中の砂時計のように、ひと粒ずつ、静かに崩れ落ちていくのを感じる。誰にも触れられていないはずなのに、自分の輪郭がぼやけて、少しずつ消えていくみたいだ。

いつからこんなことが始まったんだろう。どこで何が壊れてしまったのか、もう思い出せない。それでも、毎日の些細な出来事が私の中で積もり積もって、今ではどれが現実で、どれが嘘なのか、全てがごちゃごちゃに混ざり合っている。

それでも世界は、無情に広がり続けるだけ。息苦しいほどの広がりの先に、私が辿り着ける場所なんてあるのだろうか?きっと、ない。救いなんて、どこにもない。時代は空っぽの容器で、その中身を探しても、虚しさが手に残るだけ。

「さようなら、お隣さん。」

君と過ごしたあの時間。確かにそこにあったはずの記憶が、もう遠い霧の中に飲み込まれている。あんなに確かだったはずなのに、今では虚ろで、ぼんやりとした影だけを残して消えてしまった。

当然だけど、私がいなくても世界は変わらず回り続ける。そこにいる誰もが私を必要とせず、私もまた、誰かを必要としているわけじゃない。ただ、ここに自分がいるだけ。冷たい朝の空気が肌に染みる。自分の輪郭を確認するみたいに、ここで立っているだけで精一杯だ。

口をついて出た言葉は、どこかへ消えていく。夕焼けも同じように、私からどんどん離れていく。煌々と光る夜の街を思い出そうとしても、頭の中は霞んでいて何も描けない。ただ、指先から零れ落ちるのは、無数の後悔ばかりだった。

嫌だ。昨日も、今日も、明日も、全部が嫌いだ。消えてしまいたい。全部、なくなればいいのに。

これは紛れもない本心。でも、逃げたところで何も変わらないって、わかってる。ひとりで泣き続けても、誰も気づかないし、状況だって変わりはしない。現実なんて、もう見たくもない。ごめんなさい。でももう、耐えることに疲れてしまった。

これから、どうやって生きていけばいいの?誰に尋ねても答えはない。ただ、この胸にこびりついた悲しみを抱えて、静かに消えていくしかないんだろうね。

wowakaさんの音に浸りながら眠ろう。おやすみ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?