ニューヨーク駐在記録「初めての給食」
私たちは、クラスメイトから誘われた誕生日会には必ず出席するようにした(大体、誕生日会はクラス全員か同性のクラスメイト全員を誘うことになっている)。誕生日会は主に土日に行われるため、可能な限り夫に行ってもらい、そこで他の父兄と交流をもつようにした。私はクラスの行事でスナックや飲み物などを募集しているときには、必ずサインアップした。これらの行動はすべて、まずは親が学校というコミュニティに溶け込まなくてはならないと感じたからだ。
また、私は学校帰りに学校近くの公園に息子を連れて行くようになった。実は夏の間、その公園で息子が蜂に刺されるという事件があったため、それ以降は足が遠のいていたのだが、身体を動かすのは息子の気晴らしになるし、学校帰りの子供達が遊んでいることもあったから、友達作りにちょうどいいと思ったからだ。
息子は誕生日会で知り合ったママの紹介で、週に2回、近所のマーシャルアーツ(武芸)を習うようになっていた。息子は家でも学校でも笑顔を見せるようになっていた。イライラも減ってきた。
そうして、冬休み明け。
息子がボソッと突然「給食、食べてみようかなぁ」と言い出した。NYCでは無料で給食が提供される。給食といっても、ピザとかハンバーガーとかで、日本の給食とは程遠いけど、タダなのはありがたい。でも、お弁当を持って行っても給食を食べてもどちらでもよかったので、今まではお弁当を持参していた。私が息子の言葉を聞いて「いいじゃん。食べてみたら?」というと「どうやって給食を頼めばいいのかわからない」という。特に申請など必要なく、カフェテリアに行けば食べられるはずなのだが、念のため担任の先生に「息子が給食を食べてみたいようだが、注文の仕方がわからないと言っている。手助けをしてもらえないか?」とメールをすると、先生からはOKの返事がきた。
翌日、息子は初めてお弁当を持たずに学校へ行った。そしてお昼過ぎ、先生から写真が送られてきた。息子が嬉しそうにハンバーガーをほおばっている姿がそこにはあった。