ニューヨーク駐在記録「登校拒否」
9月当初、学校から送られてくる息子の写真には、ぎこちないながらも笑顔があった。しかし、10月には完全に笑顔が消えていた。顔に表情がないのだ。
息子は家でもイライラし、些細なことで騒ぐようになった。学校のことを聞いても話さない。話そうとしない。明らかに状況は悪くなっていた。
そんな時、学校からハロウィーンパレードの着替えのボランティア募集があった。どうやら、学校周辺をパレードするのに、低学年なので着替えの手伝いを必要としているようだった。これなら娘を連れていかれそうだ。学校での様子を知るチャンスを逃すまいと、私は早速申し込んだ。
そして、当日。教室へ行くと、プリンセスやらアメリカンヒーローやら魔女やら、思い思いの服装に着替えている子供達がいた。
息子はこの日のために買った忍者のコスチュームに着替えて、準備完了。ボランティアに集まった親たちは、着替え終わった子供達の写真をガシガシ撮っていた。
私も負け時と撮ろうとしたが、息子は全く笑わない。しかも、他の子供達はクラスメイト同士で話したり、写真を撮りあったりしているのに、息子は誰ともしゃべらず、ただ立っているだけ。
それはパレードにでても同じだった。息子が他の子と話している様子は全くないし、誰も息子に話しかけない。文字通り息子は独りぼっちだった。
現実を目の当たりにして、私の気分は完全に沈んだ。
それから何日もたたないある日、家で暴れていた息子は言った。
「学校に行きたくない。英語がわからないんだ!先生は指さして教えてくれるけど、クラスの子が何を話してるのかわからないんだ」
息子は堰を切ったように泣き出した。どうして私は息子をここまでほったらかしにしてしまったのだろう。どうしてもっと早くに気づいてあげられなかったんだろう。自分が情けなかった。
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