虫との戦いが大前提の山奥小屋暮らし
※当記事は虫の画像が含まれています。苦手な方は閲覧にはご注意ください。
山奥小屋暮らしと虫は切っても切れない関係にあります。
田舎というと虫が多いというイメージが強いとは思いますが、しかしそれに加えて「虫が存在することによってどのように生活に影響があるのか」ということまで想定することは意外と難しいです。
特に僕のような、小屋暮らしを始める以前はずっと街中で育ち、自然と言えば公園や街路樹として街の一角にのみ存在する物だと思ってきて、家の中では基本的に虫とは無縁の生活を送ってきたような人間はなおさらです。
だからこそ、山奥に引っ越してすぐはそのあまりの虫の多さに面くらい、ある程度対応するまで多くの戸惑いと試行錯誤を経てきました。
山奥小屋暮らしに置いては「虫と共に生きる」ということが大前提になるのです。
そこで今回は、山奥小屋暮らしにおいて虫たちに僕がどんな被害に遭い、そして対処していったのか、実際に体験し感じたことについて書いていきます。
侵入対策
虫はとにかく家の中に侵入してきます。
アパートやマンション暮らしでも、ゴキブリだったりハエだったりが発生・侵入してくることがありますが、山奥での暮らしは虫の数だけでなくバリエーションもまたけた違いです。
何なら、あまりにも虫が侵入してくるのが当たり前すぎて、ゴキブリを見かけても「ゴキブリが出た」ではなく「虫が出た」になってしまってその脅威度がぼやけてしまうほどです。
最初山奥に引っ越して仮拠点に使っていた空き家はそれこそ虫の侵入が深刻過ぎて、特に夕方以降日が落ちてからは室内の照明に虫がたかってしまって、常に視界には羽虫が飛んでいて、数十秒に一回は顔に虫がぶつかってくるという状況で、まともにPC作業すらできないような有様でした。
その後小屋を作成し、引っ越したら少しはマシになるかと思いきや、状況はそこまで好転しませんでした。どうしても夕方以降日が落ちると、小屋のごくごく小さなすき間から虫が侵入してきてしまうんですよね。
では最終的にどうしたのかというと、どんな小さなすき間も徹底的に埋めていくこと、室内の光が外に漏れないようにすること、床からの侵入には粉状の殺虫剤を撒いておくことなどを行い、ようやく我慢できる程度までには虫の侵入が納まりました(とはいえ、日に1~2匹はごく小さな虫が侵入してくる。)
室内のすき間埋めは、スポンジやシーリング材で行っていき、本当に「こんな所から侵入するか?」と自分でも疑問に行うぐらいの僅かなすき間とも呼べないような接合部まで埋めていきました。
室内の光がもれないよう、最初はカーテンだけ取り付けていれば十分かと思っていたのですが、それでも夜間の蛾の侵入がなかなか減らなかったので、最終的には窓をアルミシートで完全に塞いでしまいました。その結果かなり光に集まる系の虫の侵入は減ったので、どんなにわずかな光でも漏らさないようにするのが重要だということがよく分かりました。
アリやトビムシのような、ごく小さくて地面を這って侵入してくる系の虫には、地面に事前に撒いて侵入を防止できる粉状の殺虫剤が非常に効果的でした。
それまで一日に10匹以上侵入してきていたトビムシが、撒いてからすぐ入って来なくなり、また殺虫剤が雨で流されることがあるとすぐにまた侵入されたりということがあったので、その効力に間違いは無いと思います。
ハチの巣作り対策
人に危害を及ぼす虫として代表的な物に「ハチ」特に「スズメバチ」があげられます。
僕が小屋暮らしをしている山奥にもスズメバチが大量に飛来していて、庭先で飛んでいるのを頻繁に見かけますし、何と引っ越し前の2023年の秋ごろに土地の様子を見に来た時には空き家のすぐ近くにオオスズメバチの巣ができてしまっていたぐらいです。
↑ハチがいなくなった後の巣を撤去した時のYOUTUBE動画
なので、今年は絶対に巣を少なくとも家の中に作られたくないと思い、庭の植木に合計6個の「ハチトラップ」を仕掛けました。
4月~6月にかけて設置することで、営巣を始める新女王バチを駆除して家の周辺に巣を作られる可能性を下げることができます。
結果、2ヶ月と少しぐらいの期間の設置で76匹もの女王バチを駆除することができました。その内のほとんどがオオスズメバチやキイロスズメバチと言った人に対しても攻撃性の強いスズメバチだったので、なかなか恐ろしいことだと思います。
他にも、軒下や床下、屋根裏などハチの巣が作られやすいような場所は常に意識して見張っておくことで、とりあえず今年は何とか巣を作られることを防ぐことができました。
吸血性の虫対策
人に危害を加えることのある虫としてハチを先に挙げましたが、彼らは基本的に防衛でしか人を襲わないので、不慮の事故であったり家の近くに巣を作られてしまったりということさえなければ襲われることはありません。
しかし、虫の中には積極的に人間に飛びつき・取りつき、害を与えてくるものたちがいます。それが吸血性の虫です。
もっとも代表的な吸血昆虫として蚊があげられますが、実は僕がいる山奥にはあまり蚊はいません。蚊は流れのない水たまりを産卵場所として選びその数を増やすので、恐らく僕の住む周辺にはそういう水たまりになる場所や物が少ないからだと思われます。
しかし山奥には、蚊以上に脅威となる吸血性の虫が多くいます。それが「アブ」「ブユ」そして「マダニ」です。
「アブ」「ブユ」はどちらもハエ目の昆虫ですが、アブは大型、ブユは小型です。そのどちらもが皮膚を食い破って出血させ、その血を舐め取る習性を持っています。
大型のアブに至っては皮膚を食い破られた時にかなりの痛みを感じるそうですし(幸い僕はまだ噛まれていない)、ブユは噛まれた時は気付かないぐらい何もありませんが、しばらくしてから強烈な痒みがかなり長い間(1週間近く)続きます(こちらは実際に体験した)。人によっては赤くはれたり水ぶくれができたりと重篤な症状が出ることもあるようです。
「マダニ」はその名の通りダニの仲間ですが、一般的に知られる布団とかにいるダニと違い、草や藪に潜んで生き物に取りつき吸血する、視認できるぐらいダニとしては大きい虫です。
毛や服など繊維質の物に張り付き、皮膚まで這って進み、頭を突っ込んで皮膚を食い破りそのまま数日かけて血を吸うという習性を持っています。山奥に引っ越して早々僕もやられました。
マダニが真に恐ろしいのはSFTSというウイルス性の感染症を媒介すること。感染する可能性は決して高くは無いのですが、いざ感染し発症してしまうと非常に高い致死率を持つ(30%ほどとも)非常に恐ろしいウイルスです。
さて、これら吸血性の虫に対する一番の対策はとにかく「肌を出さない」ことです。
長袖長ズボンは当たり前、靴は長靴を、手には手袋を装着し、できるだけ首回りも隠す工夫が超重要です。
皮膚に塗る系の虫よけスプレーもアリですが、どうしても汗で流れていってしまって特に夏場は効果が薄れがちなので、やはり野外作業などの襲われる可能性が高い時には肌を出さない服装で過ごすことが重要です。
そして、マダニ対策として作業から戻ったらすぐに着替えて、体にマダニが取りついていないかを確認することも重要です。
万が一マダニに刺されてしまった場合、自分で引っこ抜くとマダニの体が皮膚内に残って化膿してしまったり、つまんだ際にマダニの体液が体内に逆流してしまうことがあるため、皮膚科に行ってその部分の皮膚ごと切除してもらうことが一番良いようです。僕も噛まれた当時は皮膚科で切除してもらいました。
まとめ
僕が山奥小屋暮らしにおいて経験してきた、様々な種類の虫との闘いの記録を今回はお伝えしていきました。
断言できることは、虫が大の苦手と言う方は山奥での小屋暮らしは絶対にやめておいた方が良いということです。
地球上の全生物の6割が昆虫だという話があります。ダニやらムカデのような節足動物をそこに含めればもっとだと思いますが、山奥に住んでいると地球上の生物のほとんどが虫なのだということが嫌でも実感できてしまいます。
自然の中で生きるというのは即ち他の生物と共に生きるということ、更にそれは虫と生きるということにつながります。
小屋暮らしとはいかずとも田舎暮らし、山奥暮らしを目指す際には、そこには間違いなく虫との戦いが待ち受けているということをどうか覚えておいてほしいと思います。
以上で今回の記事は終わりです。
もしよろしければ次回の記事もご覧いただけると嬉しいです。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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