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個人図書館 2

 私はいつものように橋本弥生さんの家を訪問しました。
 弥生さんはとても良い人です。私みたいなずうずうしい人をいつでも笑顔で向かいいれてくれるのですから。
 私は弥生さんにドーナッツを手渡しました。そしていつものようにダイニング・キッチンに行くと、そこには見知らぬ女性が座っていました。その女性は読んでいた本から頭を上げて私を見ると、軽く会釈をしました。

「私の友達で、中川美奈子さん。あなたの話をしたらとても興味を持って、どれほど楽しいものなのかと試してみたいって」
 と弥生さんは美奈子さんを紹介してくれました。私は「ははは」と苦笑いをします。

「ドーナッツ、今日は2個づつだね」
 と弥生さん。
 いつも私はドーナッツを6個買ってくるので、今日はその3等分で2個づつになります。3で割れて良かった、と思うのです。
「美奈子がシュークリームを買ってきてくれたから、それも一緒に食べましょう」
 弥生さんはそう言って微笑みました。

 弥生さんがいつものおいしい珈琲を入れてくれたので、私たちはそれを飲みながらドーナッツとシュークリームを食べます。

「読書倶楽部みたいね」
 弥生さんはそう言って笑った。
「うん、もっともっとメンバーを増やそう」
 私がそう言うと、弥生さんは目を丸くしました。
「ごめん、ごめん。迷惑ですよね」
 私は慌てて取り消します。
「でも何だか楽しい」
 美奈子さんが笑います。

「柄澤さんは本当に本が好きなのね」
 弥生さんは半分呆れ顔で私を見ます。
「いえ、だってここには本当に読みたい本が一杯あるんですもの」
 私は自分の気持ちを正直に言います。
「そんなに本が好きなのに、自分じゃ買わないんですか?」
 美奈子さんが口を挟みます。美奈子さんはロング・ヘアーで、ちょっとキツイ印象を受けるほど整った顔立ちをした美人です。

「欲しい本を全部手に入れていたら、とてもじゃないけどお金も場所も足りないですから」
 私は反論します。
「それじゃあ柄澤さんのお宅にもたくさんの本があるのね?」
 弥生さんが尋ねる。
「ええまあ。でも私のアパートは狭いからそれほどたくさんは置けないし、私の部屋にある本は古いものばかりですよ」
「ふうん、行ってみたい」
 弥生さんが呟く。美奈子さんはうれしそうに皆を見ている。

「じゃあ、今度は柄澤さんのアパートに集合ってことで」
「え?」

つづく。



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