鍛治をたずねて三千里 (3) 薄削りの究極を追う 山本文義氏 動かない台
削ろう会会報53号 寄稿
かれこれ35年ほど前のことである。四国愛媛の宇和島湾、とある鉋鍛冶が釣りの旅に来ていた。それを聞きつけたひとりの大工が宿を探しあてて訪ねて行った。大工はその縁で二枚の鉋を手に入れた。がしかし、思ったほど切れなかった。
その大工は山本文義さん、宇和島市吉田の入り江から少し入った緩やかな坂に続くみかん畑の側に細工場はある。削ろう会は小樽大会(2003年9月開催)を初めて見学し、大会への参加は厚木大会(2004年4月開催)からだった。それから薄削りに