「桜を見る会」で野党はどのように失敗したのか

立憲民主党が支持を落とした理由

「未来選挙プロジェクト」の三春充希さんが、「立憲民主党の支持率はなぜ下落したか」というNoteを書いています。

詳しくは記事を見て欲しいのですが、2月末からの2ヶ月間で、2%程度ですが確実に支持を落としています。

立憲民主党の支持率が落ちた要因として、彼は考えられるものを4つ挙げています。

①高井崇志氏の不祥事
②山尾志桜里氏の離党
③代表選規定
④新型コロナウイルスの影響

三春さんが言うように、①は時系列的にありえないので、残り3つのどれかと見て差し支えないでしょう。特に、立憲民主党のコアな支持者にとって、パートナーズに投票権を与えなかった③は、けっこうネガティブなインパクトがあったのではないかという気もします。

桜を見る会と新型コロナウイルス対応

そしてもう一つ考えないといけないのは、立憲民主党だけではなく、共産党や国民民主党・れいわ新撰組なども、自民党とともに支持を落としつつあるという点です。これはどう理解するべきなのでしょうか。

ただ、④の「新型コロナウイルス」対応についてですが、野党の「桜を見る会」追求についても考え合わせる必要があると思います。

2月下旬の産経・FNN合同世論調査で、「国会は桜を見る会と新型コロナウイルス対応とどちらの問題を優先して審議すべきか」という設問に対し、実に89.0%の人が「新型コロナウイルス」と答えています。


桜コロナ

桜を見る会について、首相の説明に「納得していない」と答えたのは立民、国民、共産、社民の各支持層で100%。自民でも61.9%、公明も74.8%と圧倒的です。

にも関わらず、与党支持者では90%以上、立憲民主党支持者でも85%が、コロナウイルス対応を優先すべきだと答えているのです。

野党は国会において「桜を見る会」という政局にかまけており、新型コロナウイルス対応という現実の問題をおざなりにしていた―そういう印象を持っている人が、実際のところかなり多いのではないでしょうか。

念のために書きますが、野党が新型コロナ対応を求めてこなかったというのは端的に事実と異なります。立憲民主党の公式ページによれば、

大串「(ダイヤモンド・プリンセス号が横浜に停泊した翌日の)2月4日の衆議院予算委員会で、新型インフルエンザ特措法上の「新感染症」に指定すれば、(政府が隔離と停留強制などの)強力な措置を現場で行える、と野党は提案しました。でも政府はそれを拒否した」

明らかに、政府・与党よりも、野党の危機意識の方が早かった。

ただし、世論調査・支持率という文脈においてファクターとなるのは、事実がどうかではなくて、「国民がどう見ているか」です。

その意味では、「与党の対応も酷いが、野党も決め手に欠けるのに桜を見る会問題をだらだらと追求し、新型コロナウイルス対応をおざなりにした」という印象が、立憲民主党をはじめとする立憲野党の支持率低下に繋がっているという側面は、確実にあるように思われます。

「桜を見る会」の本質は、安倍首相の背任罪

私は、野党は「桜を見る会」を追求するべきではなかった、とは全く思いません。むしろ、11月中旬に問題として遡上に上がったときに、アッサリと安倍政権に引導を渡すべきだったと思うのです。なのに、野党は2月まで議論を引き伸ばした。それが致命的に、戦術ミスだったと考えています。

どういうことでしょうか。

「桜を見る会」の本質は、極めて単純なのです。安倍首相の公私混同および税金の私物化、それに尽きます。

そして、安倍首相がやったことは、端的に犯罪なのです。それを、私たちみんなが知っている事実から、(実際に検察が動くかどうかは別として)ロジックとしてはごく簡単に立証できます。

以下、ごく簡単に説明します。

①総理大臣が主催する桜を見る会の目的は、国に対して功績や功労があった人を慰労すること。

②しかし、安倍晋三事務所が、桜を見る会への参加者を「募」り、結果として、政治家・安倍晋三の支持者たちが税金でもてなされた。

③安倍首相は、「皆さんと共に政権を奪還して、7回目の『桜を見る会』であります」と挨拶した(毎日新聞 2019年11月19日)。
つまり、会の主催者である安倍首相自身が、(政府の功労者ではなく)自身の(広義の)支持者たちを招待し、もてなしていることを知っていた。

安倍晋三は、自身の利益のために、「国の功労者を慰労する」という総理大臣の任務に背き、国民の財産たる公金に損害を与えた。

ゆえに、安倍首相の行為は、背任罪に抵触している。

Q.E.D

すごく簡単でしょ?

念のため、刑法第247条を引用します。

他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

これは、安倍晋三としては言い逃れのしようがないと思います。まあ、「募集はしてない、募ってただけだ」とか意味不明の言い訳はしてましたが。

実際、今年に入って上脇博之・神戸学院大教授らが、「安倍首相が開催要領を無視し、任務に違背したことは歴然だ」として、背任罪で告発しています。(朝日新聞 2020年1月14日

野党の決定的な戦術ミス

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