#148 小説のお酒のシーンで感じた、酔いの表現力【一笑門 マガジン】
どうも!海先輩です!
このマガジンでは、毎朝配信しているPodcastプログラム「海先輩の一笑門RADIO」の内容を発信しております。
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おはようございます。海先輩です。
今日は、小説のお酒のシーンで感じた、酔いの表現力についてのお話です。
今読んでいる途中なのですが、角田光代さんの小説「くまちゃん」がめちゃくちゃ面白いです。
この本は"ふられ小説"と称されており、登場人物が次々に恋愛をして、振られて、というのを繰り返していきます。
そして最大の特徴が、前のエピソードで振った人物が次のエピソードで主人公となり、今度は失恋を経験する、これが繰り返し行われることです。
物語としては短編集みたいな感じで、複数のエピソードが集約されているのですが、前後のエピソードでやや繋がりがある部分も面白いです。
この小説を読んでいると、本当に表現力がすごいなと感じるんですよね。
言葉選びや細かな場面描写はもちろん、僕が特に感銘を受けたのが、お酒を飲んで酔った女性の表現です。
とあるエピソードに出てくる30代の女性は、バンドマンである彼氏の姉的存在だという同じく30代の女性に対して敵対心を持つようになります。
その姉的存在の女性は、おかずを作って持ってきたり引っ越しの手伝いをしてくれたりするのですが、彼女である私が知らない彼のスケジュールを把握していることも多く、にわかに嫉妬心のようなものも感じ始めます。
彼氏に「もうあの人に来ないでって言って」と言いたいですが、なかなか言えない。
そんなもどかしさを感じながら日々を過ごしていきますが、ストレスは募るばかり。
そんなことを思っていたある日、女性は小洒落たレストランが駅の近くにできているのを見つけ、ひとりで入ることにします。
いくつかの料理と赤ワインのボトルを頼むと、「うち、けっこう量が多いんですけれど、おひとりぶんの量に調整してお出ししましょうか」と親切な対応をしてくれました。
しかし女性は、「平気です、食べられます」と答えたんですね。
そこから食事とワインを嗜みながら、バンドマンの彼と付き合い始めて自分の生活は変わったなと思い浸り始めます。
そして、彼と暮らし始めた頃の自分はむしろ、今まで自分が最も嫌っていた類の女だったのに、それすらどうでもよくなるくらい、彼との生活は高揚に満ちていたと気づくんですね。
彼と暮らす以前の私だっら、あの姉的存在だとか言ってる女は一体なんなのだと恋人に詰め寄っていたに違いない、と女性は考えます。
なぜ血縁でもないいい歳した男の家に勝手にくるのか、彼女相手に何を自慢たらしくしゃべっているのか、なんであんなに大量の貧乏くさい料理を持ってくるのか・・・
と、不満がどんどん出てきて、気がつけばワインは残り3分の1ほどになっています。
このお酒を飲みながら、彼氏とその姉的存在だという女性に対する不満を考える様子が、見事にお酒の酔いのエスカレートを表現しているんですよね。
ひとりの女性が恋愛に悩み、お酒の力を借りて不満を吐き出そうとする様が、読者までも酔わせてくるような、そんな表現力に感銘を受けました。
この小説自体はまだ読了していないので、また読み終えたら全体の感想を書きたいと思います。
最近失恋しちゃったって人には特におすすめの本で、かなり元気がもらえると思うので、ぜひ一度手に取ってみてください!
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