無題

待遇に不満を持っているすべての人に伝えたいこと

■2019/11/12 Ver1.02(目次追加版)■

タイムラインを見ていると、いまの仕事や待遇に不満を持っている方々が本当に多いんだなと感じます。

#手取り15万 というハッシュタグが流行したように、厳しい環境で働き続ける方々が、まだまだ大変な思いをしているし、
また、そんな労働者を上手にビジネスに活用()する企業の多いこと。。

そんな労働者とは正反対に、ホリエモンみたいなスゴい人が『そんな会社やめればいいのに。』みたいな極論もバズってたりして、
実際苦しんでいる人にはなんの参考にもならない対立構造?が出来上がっています。

僕がこのnoteで伝えたいことは、
もちろん待遇を改善しようとしない会社は悪いけど
『働く側ももう少し出来ることがあるんじゃない??』
ということ。

日々の僕の仕事のなかで感じることが増えてきた今、ちょっとだけ、
『すごーく現実的な話』
を、したいと思います。

このnoteに書かれていることを実践しても、待遇改善がされないなら、その組織はマトモな評価能力を持ちませんので、早めに出ていくことをオススメします(そしてうちのコールセンターに来ませんか?笑)。

逆に、ここまでしなくてもちゃんと待遇を考えてくれる会社は、本当に良い会社なので下手に出ていかないことをオススメします。


目次
まずは僕が誰なのか(自己紹介)
①『待遇』とは何か
②待ってても待遇なんか改善しない
③正しく『交渉』をしなければ待遇は改善しない
 ┗交渉の基本1:相手を知る
 ┗交渉の基本2:相手に伝わる伝え方をする
 ┗交渉の基本3:相手が「実行しやすい」ようにする
 ┗交渉の基本4:相手のメリットを考える
 ┗交渉の基本5:諦めない(目的と手段をはき違えない)
④正しく交渉ができれば、仕事の幅は広がる
上級の話(さいごに)


まずは僕が誰なのか(自己紹介)

すみません。まず、この話の前提をはっきりさせるために、僕の紹介から。

画像1

僕は、とあるICT企業に20歳でエンジニアとして入社し、現在はコールセンター長という仕事をさせてもらっています。

センター長は3年目。
メンバーは正社員(11)と常勤・非常勤スタッフ(26)合わせて37人。そんな組織で毎日バタバタと、でも楽しくお仕事をしています。

役職レベルは「課長」です。新卒入社から管理職まで12年なので、昇格スピードはそれほど遅くはないと思ってますが、どうなんだろう。

まぁ、それは置いておいて、僕はこれから話すことを意識して働いているので、今の待遇に一切の不満はありません。


正確に言うと、待遇不満は数年前まで、多少はありました。

というのも、僕は大学を出ていなかったので、同期の大卒・院卒初任給に追い付くのに、かなりの年数を要してしまい、その点には結構、不満がありました。
特に院卒初任給(修士)は、短大卒扱いの僕からすると結構エグイ差額でして、管理職になる前年に、ようやく超えるに至りました。長かった。。

でも、自分の仕事は好きだったし、人間関係も良かったし、何より他の会社でやっていけるような確固たる自信なんて無かったので、特に転職もせず、続けていました。


そんな境遇の中で、これから話すことを完璧ではないながらも細々と継続した結果、やっと、会社からの評価=報酬が自己評価に追い付いてきた、という感じです。

(いや「継続した結果」かどうかは分からないですね。たぶん自分の頑張りなど微々たるもので、上司や会社が動いてくれたおかげです。特に『お前の給料は安すぎる。何とか上に訴えていくから。』と僕を励まし続けてくれた歴代の上司の皆さんには、本当に感謝しかありません。)


自分を見ていても、周りを見ていても、自己評価と会社からの評価は、なかなか合わせることが難しいと感じる日々です。

会社側の事情も考えると、実際の活躍の数年後に待遇が追い付いてくる、というイメージかな。この感覚は、日本企業だけかもしれませんが。


・・

ということで、ここから本題に入りますが、かなり現実的なことを、どストレートに表現しています。読んでいて苦しくなってしまう人がいるかもしれませんが、大事なことなので、頑張って読んでくださったら嬉しいです。

あと僕のことは嫌いになっても、これからも大事なことを沢山書いていきたいので、フォローは外さないでくださいね(笑)


では、本題。

①『待遇』とは何か。

画像2

このnoteでは「待遇」について話をしますが、待遇の中身は

A)報酬(給与賞与、退職金など)
B)昇進・昇格

の二つに絞って、話を進めます。

ただ、職場環境の改善とかいう話でも、理屈は同じですので、参考にしてください。


蛇足ですが、この先に『交渉』の話が出てきますが、交渉においてもこのように、

話の前提を揃える作業

はとても重要です。

僕は『待遇改善』というのを給与をイメージして話しているのに、相手は昇進のことをイメージしていたら、話は噛み合わないですからね。

その作業もせず、自分の主張をぶつけ続けても成果は出ませんし、それが交渉だと思っている人は、そもそも良い仕事はできません。少なくともマトモな組織はそう判定します(どストレートな表現とはこんな感じです、、)


②待ってても待遇なんか改善しない

画像3

まずは超初級。

会社に訴えもせずに、

『薄給で20年も頑張ってるのに会社は給与を上げてくれない!』

とツイートしてる方。
会社にどんな訴えをしましたか?

会社に訴えることもなく嘆いてるのは、分類上は、ただの『陰口』です。

最低賃金であと20年頑張るのが嫌だったら、まず会社に訴えてみることをオススメします。


ビジネスの原則は「安く仕入れて、高く売る」。この差額が利益です。

給与は、ある意味では労働力の仕入れみたいなものですから、
「従業員を大事にする!」と言いながらも、本音は「できるだけ安く使いたい」と思うのが、当然の経営者心理です。

でも、経営者から見れば、自分のビジネスに従業員は一生懸命協力してくれているわけですから、感謝もありますし、長く残ってほしいという思いを持つのも、人間なら当然のこと。

従業員が幸せになるよう、報酬は渡せるなら多く渡したいんだけど、無尽蔵に渡せるはずもない。

特に毎月の給与は固定費だから、上げるのって一定のリスクがあるんですよね。

そんな、諸々のバランスの結果が「待遇」であるということを、忘れてはいけません。


だから、従業員から不満の声が上がらなければ、

社長『あ、このくらいで大丈夫なんだ。』

と思わせてしまうのは、ある程度仕方ないことなんです。だから積極的に声を上げなければいけません。
(不満があるのに)黙っているのは負けていることと同じです。


そしてもう一つ。会社は意外と、従業員がそんな不満を持っていることに、気付いていません。

日本人は本音を隠すのが上手ですから、本音を隠した偽物の笑顔でも、無駄に人を安心させてしまうものです。悲しい話ですが、現実です。

逆に、、
もし会社が不満に気付いているのに20年も待遇が変わらないなら、相当ヤバいです。
会社からしても、マトモな組織なら『この人辞められたら困るな』と思ったら何か待遇考えますから(いきなり待遇が変わることは有り得ないが、何らか会話が生まれるはず)、20年も待遇変わらない人は『いつ辞められても大丈夫』って思われてるだけです。
これ本当にヤバいです。会社に不満を垂れているように見えて、現実は「そんなヒドイ会社にしか居られない程度のスキル」を全世界に公開してるってこと。そんな組織の中においても、重要でない程度の働きだ(つまり新人と変わらない)と思われているってこと。ツイートしてる暇があったらマジでスキル磨くべきです。

だから、会社はまだ気づいていない!と思って(思い込んで)、声を上げていきましょう。


ちなみに、組織に貢献しているはずで、自分が居なくなったらこの会社大変だよ!?って思って、ちゃんと訴えてるのに待遇が変わらないよ!という声もチラホラ聞きますが、それが次の話。

『訴え』と『交渉』は、明確に違います。

ぜひ、交渉をしましょう。


③正しく『交渉』をしなければ待遇は改善しない

画像4

みなさん、「交渉」って何のためすると思いますか?

当たり前のことですが、交渉は「何かを変えるため」、待遇であれば「待遇を良くしてもらうため」にやりますよね?

つまり、交渉の目的は「待遇を良くしてもらうこと」です。


で、、皆さんが会社(主に上司だと思います)に何か訴えたとします。

そこで、何を言われますか?


ぼく「こんなに忙しいのに、こんな給料じゃ、納得がいきません。

上司『いや、みんな同じ給料で働いてるんだから、お前だけ上げるわけにいかないだろう。』


だいたい、最初はこんな感じで厳しい返事を受けませんか?

これ、当たり前です。

会社も会社で、人事制度というルールがあり、それに則って社員の待遇を決めていますから、そのルールを急に逸脱することなど、できるはずもありません。

先の事例で、上司が『よし分かった!給料上げてやろう!』とか言い出したら、その上司もヤバいし、そんなことが出来る組織もヤバいです。言ったもん勝ちの組織は別の意味で大変な思いをします。


でも、ここで大事なことは、上司は「今の」ルールに則っているだけで、余程バカな上司でなければ、その制度に不満を持ち優秀な人材が去ってしまうのであれば、それは制度に問題があることを、理解するはずです。
(これが理解できない管理職には現実世界でお会いしたことはないですが、タイムライン見ていると多すぎて、ギャップに驚いてます。それかみんな盛ってない?笑)

上司は、今のルールに則って「事情」を話します。不満がある現在の待遇が、どういう経緯で生まれているのかという「説明」をします。

実は、多くの人がこの「説明」の段階で、いとも簡単に心が折れてしまい、何の交渉もせず簡単にあきらめてしまいます。見事に。


僕から見れば、そんなのは「交渉の入口にすら立てていない」です。

交渉なんてそんなに甘いものではありませんから、これから「真の意味での交渉」というものがどんなものなのか、基本的なところだけですが、解説していきたいと思います。


交渉の基本1:相手を知る

これは初級。

ということで、交渉の基本中の基本でありながら、ほとんどの人が実践していない「相手を知る」を解説します。


『待遇改善を訴えたい』が目標だとして、その待遇がどんな経緯で決められてたものか、理解していますか?

たとえば給与であれば、会社の評価ルール、評価と給与の関係、手当のルール、、更には、ルールを決めて管理しているのが誰で、何があれば見直しがかかるのか、見直すには誰の承認が必要なのか・・等。

それも分からず「納得できない!改善してくれ!」と訴えたところで、今の待遇が正にルール通り運用されているのであれば、

上司『いや、別にルール通りだし・・』

と思われて終わりです。


いま、なぜこの現状なのか。すべての現象には理由があります。

その理由を探り、どこに改善の余地があるのか特定してから交渉に臨まなければ、解決は望めません。


ちなみに、多くの企業がそうだと思いますが、直属の上司に交渉をして、ぜんぜん話が通じない、聞いてくれない場合、普通は一つ上の上司に交渉を試みます。

ぼく『**課長にこう言われたのですが、部長はどう思われますか?』

会社により、それが許されていない場合もあるのかもしれませんが、何らか吐き出し口がないと、完全に最下層の管理職に判断が委ねられてしまう(=けっこう危険な組織構造だと思う)ことになるので、直属上司に訴えが通じない場合の逃げ道は、何らか用意されているはずです。


ここまでは組織の攻略の話。

直属の上司個人を攻略するにしても、順序立てて説明した方が理解しやすい人なのか、図に示して全体観を見せた方が理解しやすい人なのかを知っておけば、上司に理解しやすい説明をすることができます。


好きな食べ物を食べながらの方が話は弾むかもしれないし、
超重要なプレゼンを控えた前日に話してもちゃんと聞いてもらえる可能性は薄い。
もしかしたら昨日、部長にめっちゃ怒られて凹んでいるかもしれない。


相手となる組織や人を良く理解し、準備をすることは、交渉するうえで基本中の基本です。

逆に言えば、この準備がしっかり出来ていれば、交渉はかなり有利に進められます。
(もしかしたら真逆で「この組織では論理的に実現不可能」が早めに発覚し、諦めることができる、の方面かもしれません。でも無駄な戦いをしないという意味では、良いのでは?そのうえで辞めるか続けるかは、また考えたら良い話。)


交渉の基本2:相手に伝わる伝え方をする

これも初級。

広東語を理解していない僕に、広東語でいくらアメをねだられても差し出すことができないように、交渉は常に「相手が理解できる言葉で」進める必要があります。

例が悪かったですね。言語を間違えたらもちろん伝わらないので、ここで大事なのは「言葉の定義」です。

前項「相手を知る」と重なる部分がありますが、「良い待遇」「苦しい」「大変だ」「経験」「実績」等の言葉の一つ一つは、人によって持つイメージが微妙に異なります。


ぼく「20年働いて、経験を積んだのに、給料が高くならない。」

上司『給料を上げるほどの経験とは言えないでしょ。』


言葉の定義というのは概ね「主観」であるため、こういったギャップは永遠にゼロにはなりません。

それゆえに、主観でいくら訴えても、相手が異なる定義を持っていれば、相互理解は得られなくても仕方ありません。

だからこそ、主観のギャップを嘆いたり是正したりするのではなく、主観にギャップがある相手にも通じる伝え方を、考えなければなりません。


ぼく「20年間の業務の中で、経験を必要とする△△や〇〇という業務を、入社時より半分の時間でこなせるようになりました。時間内に多くの業務ができるようになっているのに、同じ給料なのは納得がいきません。」


のように、データや事実を引っ張り出して訴えることで、相手にも(ほぼ)同じ認識を持ってもらうことができます。


それだけではありません。相手が急いでいるときにガーッと話しても覚えてもらえませんし、開口一番に対決姿勢を押し出して『テメェなんで安月給なんだコノヤロー!!』から話し始めても、相手は拒絶反応を見せるだけですので、自分の考えを正確に伝えることはできません。


ぼく「**さん(上司)、いつもお疲れ様です。忙しそうですよね。そんな中でお願いをするのは申し訳ないんですけど、どうしても訴えたいことがあって・・」

そんな風に話し始めれば、聞く側もしっかり耳を傾ける体勢(心構え)を作ることができます。


もちろん、多くの場合は部下より上司の方が、コミュニケーション能力に優れているわけですから、部下の言葉の稚拙さをカバーできる上司であるべきなのは大原則です。

でも、上司がそうでなかったら、自分で何とかするしかないですよね?僕が書いているのは、そういうことです。他人がすべきことはあるが、期待して待ってても何も生まれないよ、ということ。


交渉の基本3:相手が「実行しやすい」ようにする

ここは結構見落とされがち。中級ぐらいかな?

上司に何か交渉をするということは、そのあと「上司に動いてもらう」ということですよね?

上司が動くということは、それなりに負荷が発生します。ましてや、課長であれば部下の訴える実情を部長やその先に伝えなければなりませんから、ある種の伝言ゲームが発生します。必ず、です。


そんなとき「俺は上司に言ったぞ!あとはよろしくな!」ってやってません?

もうその時点で、交渉に負けています。


これ、店舗販売に自社商品を売り込むことに似ているんです。

ちょっと想像してみてもらいたいのですが、
あなたが雑貨屋の店長だとして、どっかのメーカー営業マンに『あなたのお店にウチの商品を置いてください!』って頼まれた時、パーンと商品だけ置かれても、いやコレどうすんねん!ってなりますよね?

でも、その営業マンが、掲示用のPOPを置いて行ってくれたり、数パターンの値札を作ってくれたり、「100個売ったら報奨金10万円出ますよ!」みたいなインセンティブが設定されていたら、じゃぁ置いてやろう!ってなりますよね。


依頼ごとを実行する時には、その「実行のしやすさ」は、ものすごく重要なカギになります。

・自分の考えを文面にまとめる(+メモ程度で上に持っていきやすい)

・実行をすることで組織にどんな効果があるのか考え記載する

ぐらいの工夫は、当然すべきでしょう。

それをしなくても動いてくれる可能性は十分あるので「とにかくまず訴えてみる!」というのは大事なことですが、その時の上司の反応を見て、次の対策を考える、というのは当然の思考として持っておくべきです。

一度目のチャレンジで動いてくれないとしたら、その結果には必ず理由があり、もしかしたら、上司に「実行のしやすさ」を提供できていないのかもしれません。


もしかしたら、上司がすごく難しいと思っているルートの他に、もっと簡単な達成ルートを見つけたなら、それを教えてあげるのも手です。

例えば、昇格の話であれば、昇格推薦をするには昇格試験を受けなければならない、と思い込んでいる上司に対し

部下『昇格規則を読んだんですけど、取締役会の抜擢昇格ってあるんですね。アレって実例あるんですか?』

といった感じで、別ルートに気づかせてあげたりとか。


このように、自分が訴えた後の上司の行動(苦労)に配慮して、上司が上位上司に訴える活動を支援してあげることが大切です。


交渉の基本4:相手のメリットを考える

これは初級と中級の間ぐらい。

例えばあなたが塾の講師だとして、知り合いママから

「あなた塾講師ですよね?うちの子に算数教えてあげてもらえませんか?お金は払いませんが。」

って言われたら、やらないですよね?


相手は、相手のメリットがなければ、動きません。

「部下の意見を集めて上に訴えるのが上司の仕事だろ!」と思っている方もいるかもしれませんが、

管理者の仕事は、どちらかというと会社の求めに対して部門の存在と利益を守る仕事です。つまり

「会社から見て部門が正常に回っている(ように見える)かどうか」

が、上司たる人間の最重要課題です。


いっつもいっつも部下の意見を伝言ゲームしてくる課長職など、会社から見たら迷惑そのものです。

だからこそ、上司に交渉をする時には、

「この主張を会社に訴えることで、こんなメリットがあるんですよ。」

と、そっと耳打ちしてあげましょう。


一番効果的なのは意見の集約ですね。

本来、雇用契約は個人と会社の契約ですから、正式に意見を集めて・・とやるとそれは組合になってしまいますが、

そうではなくアナログな範囲で。つまり「似たような不満を持ってる人が何人かいるみたいですよ。みんな退職を検討してて・・」っていう噂レベルのやつです。


部下『みんな中々本音を言わないですが、**さんがこの辺りの人たちに声をかけて情報集めて会社に伝えれば "ちゃんと平等に部下の意見を聞けるヤツだ" って、良い評価になったりしませんか?』

とか言っておきましょう。


逆に言い方をすれば、上司にとって、優秀な人材が抜けることは最も恐怖です(それを恐怖だと思わない上司はマジでヤバいので、一刻も早く離れましょう・・)。

会社から見ても「なんであいつを辞めさせたんだ!」と言われる。仕事が回らない。結果、自分の評価も下がるし、部下からのイメージも悪くなる。

だからこそ、そういう「上司が持つ価値観」に焦点を当てて、上司自身が「動きたい」「動かなければ」と思えるような状況を作ってあげること。


相手のメリット(デメリット)を考え、どうすれば上司が動いてくれるか、を考えましょう。


交渉の基本5:諦めない(目的と手段をはき違えない)

ここまでの話、全て「やってみましょう」ではなくPDCAのことを話しています。

交渉でも何でもそうですが、難しいことを叶えようと思った時、

一度試してみただけで、いきなり目的を果たせるなんて、珍しいこと

ですよね?

ボウリング初心者が、いきなりストライク取れないですよね?


こうやって書けば「そりゃそうだよね」って思うのに、待遇改善のこととなると、みんな一発目のチャレンジしかしない。

『何度もやってるよ!』と言う割には、PDCAが回っている感じがしない。ただボールを投げてるだけ。

組織で自分の待遇を変えるって、すごく大変なことですよ?会社のルールが絡んできますから。


人は諦めそうになると、目的を忘れて、本来手段だったことが目的になり始めます。

最初は、待遇を改善させたくて会社と交渉していたつもりなのに、交渉が難航するにつれて、交渉していることが周囲に知れ渡り、期待を集め、いつしか同僚たちのヒーロー的な存在になり始めた。

「会社と戦う田中さん」的なイメージが浸透してきたために、上司との会話の際に、つい戦っている姿を見せるべく声が大きくなる、、上司に強い言葉を使ってしまう、、

そこまで極端でなくても、毎月1回の面談で同じことを言い続け、「俺は言い続けたのに!」と陰口を垂れてしまう。

それはもう「交渉をすること」が目的化してしまっています。
もともとは上司や会社を動かしたくて活動を始めたのに、いつしか「交渉を続けている自分」に満足度してしまっている。

(そんなんだから他の仕事も成果が出ず、待遇が変わらないのでは?)


そうではなく、本来の目的に向かって活動をしていれば、なぜ上手く行かなかったのか?なぜ期待していた反応が得られなかったのか?に対し反省をし、目的に向かって改善をするはず。

それが正しいベクトルに向かっていれば、いつか必ず結果は出ます(色んな意味で)。


「でも、いつまで努力を続けたら良いのか分からないよね?」


そう思ってしまったアナタ。「交渉の基本1」を忘れていませんか?

どんな単位で人事評価サイクルが行われ、どんなプロセスで見直しがかけられるのか、理解できてないですよね?

普通に考えれば分かると思いますが、1年サイクルで待遇を決める評価制度が、交渉から1年以内に変わる可能性は薄いですよね?

1年なんて長いよ!と思うなら、もっと短いスパンで評価される会社に行ってみてください(あるのかな)。それはそれで、精神的に疲弊すると思います・・。


話が逸れました。
諦めなければ必ず叶う!などと言うつもりはありませんが、交渉は簡単に変わらないから交渉をするのであって、変えたいという思いは粘り強く、力に変えていかなければいけません。

返答が無いなら、返答を求めれば良いし、
変わる気配が無いなら、意見がどう処理されたのか聞けば良いし、
仕組みが分からないなら、知っている人を探して聞けば良い。

能動的に動くって、そういうことだと思います。


④正しく交渉ができれば、仕事の幅は広がる

画像5

つまり、正しく交渉もせず不満を垂れ流す人がこれだけ多いということは、
それだけ多くの人が、

正しい交渉をすることができず、相手を動かすことができていない

ということ。


日本の教育現場では、生きるうえでこれほど大事なことを一切教えてくれませんから、自力で学び、経験を積み、実践した人だけ、こういった能力が成長し、欲しいものを獲得していきます。

現状を変えたいなら、正しい交渉が不可欠です。
(もう少し言えば、会社を辞めるべきか?の判断を誤らないためにも、辞める前に正しく交渉してみる姿勢は大切。)

肌感覚ですが、この基礎~中級レベルの交渉ができる人が、日本には1割もいないんじゃないかと感じています。


勘の良い方はお気づきになられたかもしれませんが、

交渉力とは、良い仕事をする能力そのものです。


目的を見失わず、粘り強くPDCAを回し、相手に伝わる会話をし、目指す成果に向かうベクトルを維持できる人。

そんな人だったら、だいたいの仕事ができますし、だいたいの会社が欲しがってくれます(たぶん上司になれます)。笑

『上司をコントロールする』というと大袈裟ですが、それに近い感覚で仕事ができると、上司の言うことを聞くだけだった過去に比べたら、見える世界も変わってくるはず。


不満を力に変えて、会社と交渉するという活動は、
自分自身の業務遂行能力を鍛えることとイコールである。

ということを、ご理解いただけたら嬉しいです。
(さらに言えば、今の会社に、いかに貴重な人材であるかをアピールする大チャンスでもある・・)


上級・・

あれっ?上級がないじゃん!と思われた方、、

僕ごときで、上級の交渉スキルを解説できません。ごめんなさい。


交渉スキルの上級というのは、

相手に確実に「YES」と言わせるための
・論理展開や事前の根回し
・リソース(主にお金や情報)の活用
・日頃の信頼関係の構築

といったところです。このあたりは、レベルが高すぎて、先述のように一般化した解説が非常に難しい。

極論言ってしまえば、交渉の最重要事項は信頼関係であり、それさえガッチリできてしまえば『お前が言うならOKだよ!』って言われるようになる。これ最強(僕は全然たどり着いていない)。


話術に関しても上級って、もう心理戦ですからね。指先がどう動いたとか、瞳が右に行ったら嘘だとか、ちょっと汗かいてるとか。そのへんは、よく分からん。


そんな、外交交渉や裁判沙汰、企業間の重要な交渉事に駆り出されるレベルの交渉力の持ち主なら、おそらくこのnoteは読んでいないでしょう。笑


ということで、僕のエラソーな戯言は、ここでおしまいです。


そうそう、この話は僕の経験とか、周りの人たちの体験談をもとに作成していますから、これで全部だよ!なんて思っていません。

もし「これが足りない」「これは違うと思うよ」とか、「こんな事例を載せた方が分かりやすくなるんじゃない?」みたいなことがあれば、遠慮なく(優しく)教えてください。笑

ノウハウって、そうやっていろんな人たちの叡智を集合させることで、良いものに仕上がっていくと思っているので、どんどんバージョンアップしていきたい。


最後になりますが、厳しい待遇で働く方々の言葉で気になっているのが、なぜかこの厳しい待遇を『社会問題』『政治が何とかするべき』みたいに考えてしまっている点。

少ない給料でもそのまはま働いてくれる人がいるから、そんな仕事やそんな待遇が減らないんです。

待遇は、自分で勝ち取らなければ変わりません。
政府がもし、法律を変えて待遇を上げてくれたとしても、国から会社への補助金がなければ利益を削ることになるので、会社の経営が厳しくなるだけです。
逆に、国から会社に補助金が出るなら、巡り巡って僕らの税金が上がるだけです。結局、お金の総額は同じだと考えれば、政府がやってくれることは「きっかけ」にしか機能しません。

自分自身の能力を上げて(または訴えて)、待遇改善を勝ち取り、そのぶん会社に価値を提供できるようになる。これが待遇改善の本質です。

そのことを、より多くの方に理解して欲しくて、こんなnoteを書きました。


最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!


2019/11/12 Ver1.02(目次追加版)
2019/11/10 Ver1.01(最初と最後にちょっと追記版)