[読書ログ]「あさえとちいさいいもうと」
「あさえとちいさいいもうと」
作:筒井頼子
絵:林明子
全然自分のはなしが書けないので、その分読書する。
あらすじ
あさえが家の前であそんでいると、おかあさんが、銀行に行ってくるから待っててね、と出かけてしまいました。
妹のあやちゃんはねんねしていたはずなのに、目が覚めて泣いて出てきてしまいました。
あさえはあやちゃんといっしょに遊びだしますが、夢中になって道にチョークで絵を描いている間に、あやちゃんがいなくなってしまいます…。(絵本ナビより抜粋)
感想
これで990円。激安です、福音館さん。
「はじめてのおつかい」のコンビ。
本当に絵がいい。
絵が良すぎる。
絵の中で一緒にあやちゃんを探すそわそわ感。
似たような服を着ている、他の子。
最後のページで遠くにお母さんが見えるのも、安心感を増大させていていい。
絵はこういう細かいディテールが大事。
大人よりも子どもはこういう絵の違いや変化を敏感に察知する。
そうやって、ページを戻ってみたり、絵をすみずみまで見たりする。
レビューだとおかあさまたちが、今の時代に子どもだけでお留守番はありえないと書いている。ひやひやするし、危ないという感覚から、賛否両論出るようだ。
物語としては、姉妹愛、あさえの成長物語、情調の獲得段階の子どもを描く点で、お母さんを物語からいったん退場させたほうが、話が進めやすいし、話に説得力が出て、途中のドキドキ感も出せる。
途中、あやちゃんがいなくなったとき、お母さんに怒られることを気にするのではなく、あやちゃんの心配をするところがこの話の良いところだと思う。
わたしなら、妹がどうなっちゃったんだろう、という不安と同時に、お母さんに責められた時のことを思ってしまうなあとぼんやり思った。
(実際、わたし自身には妹がいるが、迷子になるのはいつも自分のほうで、妹は怖がりなので一度も迷子にはならなかった)
最後の書き方もシンプルでいい。
書き手とすると、あさえにこのあと一言言わせたい気になるが、何も言わない。
何も言わずにぎゅっと抱きしめる。
これがいい。
絵本だからこそできる表現。
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