人造人間『學天則』
東洋初のロボット『學天則(ガクテンソク)』。
机に座っているような姿で、高さ約3.5m、幅約3m。肌は金色。
一緒に写っている人間と比べてわかるようにデカいです。
顔は色々な人種からパーツを組み合わせたデザイン。
右手に鏑矢型のペンを持ち、左手に霊感灯と名付けられたライトを持っています。
ゴムチューブによる空気圧変化で頭や腕、胴体を動かすことができました。他にも頭のバネや歯車で表情を変えたり頬を膨らませたりと表情を変えることもできました。全体の制御は突起の付いた回転式ドラムによって行われたそうです。
そんな『學天則』、残念ながら現存しておりません。
海外で捨てられちゃいました。なんてこった……
だがしかし、そんなことでは諦めないのが日本人。
1992年(平成四年)、大阪市立科学館が外見を模した動かない小型のレプリカを展示。
そして2008年(平成二十年)、満を持して実物大の復元品が大阪市立科学館に登場!
ただし設計図が現存しないので完全な復元ではなく、写真や残された文献から制作されたとのこと。
うーむ、ド迫力!
『學天則(復元)』が動くさまを動画でご確認ください。
https://www.youtube.com/watch?v=EqIKjQWrwYg
発表された当時もだいたい同じような動きをして、さぞかし来場者の度肝を抜いていたことでしょう。
『學天則』ってどこかで見たような聞いたことがあるようなと思った方、もしかしたらそれは「帝都物語」ではないでしょうか。
荒俣宏原作の小説「帝都物語」、もしくは映画「帝都物語」。
『學天則』と制作者である西村真琴博士が登場します。
しかも西村真琴博士を演じたのは実子である俳優の西村晃氏。
西村晃氏と言えば水戸黄門の黄門様で有名な俳優さんです。
驚きの親子関係でありこれ以上ない納得の配役でしょう。
『學天則』の名前の由来は「天則(自然界・宇宙の法則)を学ぶ」。
そして西村真琴博士は『學天則』に「世界の平和」「人類の友好」「科学の暴走の危険性」「芸術と科学の融合」という願いを込めていたそうです。
はたして今の世界を博士が見たら何と言うか……
考えるまでもないのが辛いところです。