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「グローバリストに支配される日本の食と農─属国農業から脱却せよ!」(『維新と興亜』第7号、令和3年6月)

 わが国の農業がグローバリストに支配されようとしている。
 本来、農業政策の最も重要な目的は自国民のために安全な農作物を生産することにある。その根本が軽視され、「稼げる農業」「農業競争力強化」の掛け声のもとに、企業利益優先の「農業のビジネス化」が加速しようとしている。
 菅政権が六月中旬に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)二〇二一」にも、「輸出を始めとした農林水産業の成長産業化」が盛り込まれ、「新たな農業・農村ビジネス展開を大胆に進める」と記された。
 菅政権の農業政策は、小泉政権以来の新自由主義路線の流れに沿ったものであり、第二次安倍政権が強行した「農業改革」の延長線上にある。安倍政権において、抵抗する農水官僚を粛清し、グローバリストによる農業政策を強行したのが奥原正明事務次官だ。彼は「農業が産業化し、農水省が要らなくなることが理想だ」と公言していた人物だ。グローバリストの代弁者によって、わが国の農業政策の決定権は奪い取られたのだ。
 農水官僚が沈黙する中で、規制改革推進会議など、竹中平蔵氏らのグローバリストの巣窟である諮問会議が、一気に日本の農政をぶち壊したのである。モンサントなどのグローバル種子企業の要求に沿って、主要農作物種子法が廃止され、自家採取の原則禁止を規定した改正種苗法が施行された。今、わが国の食料安全保障と食の安全は崩壊の危機に直面している。
 さらに看過できないのは、菅総理が「主食用米から高収益作物への転換」を推進すると語っていることである。コメ作りを軽視しているとしか思えない。
 「斎庭の稲穂の神勅」を持ち出すまでもなく、稲作は日本人の生活、文化そのものであり、農業はわが国の共同体と相互扶助を支えてきた。
 今こそ我々は、グローバリストの手から農業政策を取り戻し、属国農業から脱却しなければならない。そのためには、国民があるべき農業政策とは何かを正しく理解する必要がある。
 かつて財閥の横暴、社稷の崩壊に直面して昭和維新運動が台頭した時、農業の本義に立ち返らんとする農本主義思想が光を放った。我々は、改めて農本主義に学び、「農業とは何か」を問い直すべきなのではないか。


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