映画「エール」とリメイク版「コーダあいのうた」感想

第15回2023.8.20実施 会員推奨課題映画2014年フランス映画「エール!」(日本公開2015年)と2021年アメリカ.フランス.カナダ合作映画「コーダあいのうた」(日本公開2022年)感想
                                                           2023.7.30  石野夏実
 
フランス映画「エール!」とそれのリメイク版21年公開「コーダあいのうた」を続けて観た。
「コーダ」のほうは21年作品対象の第94回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞(父親役)を受賞している。
総合判断すると、甲乙つけがたい2作品であった。
両親が聾唖者で「エール」は弟、「コーダ」は兄も聾唖者という一家。主人公の女子高生だけが正常者である。
一家の職業は、フランス版は酪農家で英語版は漁師一家である。
両親は夫婦仲も良く、兄弟も家業を手伝い家族仲良く暮らしている。娘は手話で両親の耳となり口となって通訳し代弁する。
彼女がいなければこの一家は成り立たない。(とそれぞれが思っている)

歌が好きなことと、片思いの男のコが入部するので彼女も合唱部に入部した。顧問の先生に声質の良さと音程の確かさで目をかけられ、校内発表会の主役として私的レッスンを受け上達していく。
地元を離れ音楽の学校に進むか、留まって今までどおり暮らすかの選択が彼女に迫る。
フランス版のルアンヌ・エメラも英語版のエミリア・ジョーンズもそれぞれに若く可愛く歌も上手でこれからが楽しみな新鮮な女優だった。

気になる細かい箇所が「エール!」にはなかったが「ゴーダ」にはふたつほど。
主役の漁師の娘であるはずのエミリア・ジョーンズが色も(腕はある程度焼けてはいたが)白く顔立ちが整いすぎていて生活感がない。それとお金がなく貧乏している一家なのに車が2台あって、乗用車の方はわりといい車なのだ。
アカデミー賞を3つも獲れたのは、おそらくコロナ下で対抗作品の数も少なく話題作もそれほどなかったからではないだろうか。
もちろん2作ともヒューマンドラマで感動的。
使われている曲も選曲が良かったが、「コーダ」の「Both Sides Now」(青春の光と影)とエンドロールの「Beyond the Shore」が無難ながら歌詞もとても良かった。
「エール!」は発表会での歌の歌詞のユニークさに拍手。
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①一番好きなシーンはどこですか?
 
家族が見守る中、選抜会場で主人公が手話を交えて歌った箇所は感動的。
父親が娘の歌を聞きたいといって歌わせ、喉を触って振動で音を感じる場面。 
家族と別れての旅立ちの時、走り出した車を停めてもらって、全速力でもういちど立っている三人のところに走り、4人で固く抱き合いまた全力で走り出すシーンにグッときました。
この全力疾走が最高! 

②「家族の通訳」と「実力が分からない歌の才能」あなただったらどちらを重要と考えますか?

後悔しないよう自分の進みたい道に挑戦してほしい。親も、そちらを望むと思う。

③「コーダ あいのうた」も見た方に質問です。
どちらが良い映画だと思いましたか?

内容出来栄えは甲乙つけがたいです。声質は、エミリア・ジョーンズの方が好きでした。もちろん歌声もルアンヌ・エメラは癖がなく上手でした。
容姿全体像は、エミリアはすごく癖がなくて美少女ですから漁師の娘役にやや違和感。酪農家の娘らしく好演はルアンヌ・エメラですかね。
 

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