石野夏実

2024年3月末に文学の同人誌と分科会である映画の会を卒業退会。 読書会や推薦映画の輪…

石野夏実

2024年3月末に文学の同人誌と分科会である映画の会を卒業退会。 読書会や推薦映画の輪番制当番で書いた文章を整理し、残しておきたいと思いnoteに参加しました。ゆっくり時系列でUPしていこうと思います。韓ドラなどの感想も混ぜながら。 1949年生まれ。まだ仕事をしています。

最近の記事

アメリカ映画リバー・フェニックス主演「旅立ちの時」

「旅立ちの時」1988年公開アメリカ映画感想 2021.5.15記             石野夏実   映画の会の5月の課題映画が「スタンド・バイ・ミー」(86年公開)になり、随分久しぶりに4人組に再会できた。 少年少女時代の思い出は、儚く束の間の出来事であるのに、何気ない時ふと無性に懐かしくなり、郷愁に浸るために存在するのであろうと「スタンド・バイ・ミー」を観るたびに思う。 もし戻ることが出来るのなら、あの日、あの場所で、今はもう会えなくなった友たちと再会したい。   折

    • 黒澤明監督「わが青春に悔なし」感想

      黒澤明監督1946年作品「わが青春に悔なし」モノクローム作品会員投稿    2021年1月4日 記                                               石野夏実   昨年末、東京新聞夕刊2面から「民主主義の意味を問う」と書かれた大きな活字と、原節子と藤田進の横顔のポスターが目に飛び込んできた。 それは、黒澤明監督の1946年作品「わが青春に悔いなし」の映画案内であった。 半年前に、モノクローム作品「竜馬暗殺」の感想を投稿した時と同じく「

      • デイミアン・チャゼル監督作品「バビロン」

        デイミアン・チャゼル監督2023年日本公開「バビロン」感想 2023.2.14記            石野夏実   2月10日金曜日公開だったデイミアン・チャゼル監督の超大作「バビロン」を数日遅れで本日(2/14)鑑賞。 映画館は平日午後1時始まり3時間超えということであるが、客席も前方は全く埋まっていず、後方もまばらであった。 初っ端からハリウッドの真夜中乱痴気騒ぎの破廉恥パーティーを結構時間をかけて流し、まずはフイッツジェラルドの小説「ジャズエイジの物語」「グレート・

        • デイミアン・チャゼル監督2作品「セッション」と「ファースト・マン」

          デイミアン・チャゼル監督「セッション」(原題Whiplash)2014年作品  数あるミュージカル映画の中で、私の一番のお気に入りとなった「ラ・ラ・ランド」(2016年)の監督デイミアン・チャゼル(1985年生まれ)の初期の長編映画「セッション」(2014年)をプライムで観た。 この映画は、邦題どおりジャンルでいえば音楽ドラマであり、アカデミー賞の録音賞を受賞しているということなので、迫力ある演奏が視聴できると期待した。 チャゼルのこの作品は、「ラ・ラ・ランド」の2年前に

        アメリカ映画リバー・フェニックス主演「旅立ちの時」

          アメリカ映画「ムーンライト」2016

          第12回 2022.11.20当番 バリー・ジェンキンス監督「ムーンライト」2016年作品感想                      8.30記   石野夏実   私が大好きな映画「ラ・ラ・ランド」がアカデミー賞の作品賞を獲れなかったのは、実はこの「ムーンライト」が作品賞を受賞したからだった、ということをあまり知らなかった。 話題作を観るのは好きなほうではあるが、この作品は何故だか観ることもなく今日まで来ていた。そして内容もほとんど知らなかった。 ところがである。。。観始

          アメリカ映画「ムーンライト」2016

          フランス映画「冒険者たち」感想

          第12回 2022.11.20「冒険者たち」他会員当番推奨映画〈1967年公開)フランス映画    2022.11.8記  石野夏実 監督はロベール・アンリコ、音楽はフランソワ・ド・ルーベ「レティシア」、原作者ジョゼ・ジョヴァンニ「生き残った者の掟」   若い男性や男のコたちはジョアンナ・シムカス(レティシア役1943~)、女性たちはアラン・ドロン(マヌー役1935~※2024.8逝去)、中年はリノ・ヴァンチュラ(ローラン役1919~1987)が目当てで観たであろう、今から

          フランス映画「冒険者たち」感想

          アメリカ映画「ミリオンダラー・ベイビー」感想

          第11回2022.7.21他会員当番推奨映画クリント・イーストウッド監督 「ミリオンダラー・ベイビー」2004年アメリカ映画                 2022.7.21記    石野夏実   日本公開は翌年(05)であったが、アカデミー賞の主要部門(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞)を授賞後の上映に興味を持ち、地元のシネコンに観に行った。 ずっと印象に残っていたのは、画面も話も暗くてボクシングの試合の光景だけが明るく白かったこと。当時は主人公マギーの悲劇があまり

          アメリカ映画「ミリオンダラー・ベイビー」感想

            小津安二郎監督「東京物語」感想

          第11回 2022.8.21開催 他会員当番推奨映画「東京物語」(1953年公開) 先日からもういちど観なければと思いながらも、後回しになっていた「東京物語」を日曜日を利用して観終わった。 昨年の1月に「わが青春に悔なし」(黒澤明監督1946年作品)を観ての感想をモノクロ作品ジャンルの方で掲載してもらっているが、その時に参考のため「東京物語」「晩春」「麦秋」(←これは途中まで)の「紀子3部作」をすでに観ていたのである。「麦秋」の残りも「東京物語」を観終わっての夜半に残りを少し

            小津安二郎監督「東京物語」感想

           アメリカ映画「マイ・インターン」

          第10回 2022.5.22他会員当番推薦映画 ナンシー・マイヤーズ監督2015年「マイ・インターン」感想                        2022,5,8記    エンドクレジットに「映画の最後に特典映像がご覧になれます」と予告が流れてきて、監督脚本制作の全てをこなした小柄で華奢なナンシー・マイヤーズの映像を見ることができた。 アメリカの女性監督作品を意識して観たことがなかったので、俄然、彼女に興味がわいた。 wikiで、彼女が1949年生まれで私と同い年であ

           アメリカ映画「マイ・インターン」

          日本映画 黒澤明監督「天国と地獄」

          第10回 2022.5.22 実施 他会員当番「天国と地獄」 黒澤明監督 「天国と地獄」 1963年(昭和38)公開 2022.5.14記        5月の旧作品テーマが「天国と地獄」に決まり、黒澤明(1910年~1998年明治43~平成10)監督作品に向き合うための良い機会を得た。黒澤映画ファンの当番に感謝。 一昨年の暮れ、プライムで黒澤監督の「わが青春に悔なし」を観て感動し、すぐに感想文を投稿した。この映画は敗戦翌年の46年(昭和21)の公開であった。これをきっか

          日本映画 黒澤明監督「天国と地獄」

          アメリカ、ドイツ合作映画「愛を読む人」

          第9回(2022.2.2.)他会員指定映画「愛を読む人」〈2008年公開)感想 2008年の米独合作映画。日本では翌年に公開された。 原作は、ドイツ人の法学者のベルンハルト・シュリンクの1995年に発表された自身の少年時代を題材にした小説「朗読者」。ベストセラーになった原作を読んでいないので、映画を観ただけの感想です。   この映画、最初の方から素っ裸になる場面が多いため、惹かれあうその必然性を探しながらもエロ映画ですか、と思ったほどだ。ヨーロッパには、かなり年上の自分の母親

          アメリカ、ドイツ合作映画「愛を読む人」

          イタリア映画「81/2」(1963年公開)

          第9回フェデリコ・フェリーニ監督1963年作品「81/2」(2022.2.20発表) 旧作映画担当の順番が回ってきて、さて、誰の何の作品にしようかと思ったところ、頭に浮かんだのはフェリーニの「81/2」であった。 前回のF氏担当「オルフェ」に刺激を受け、ジャン・コクトーに興味を持ち書簡集を手に入れたり詩集や文庫を机に並べたり、少々ハマってしまったその流れで、今回、一度はまとめて勉強したいと思っていたフェデリコ・フェリーニ監督の作品を選ぶことにした。 学生時代は、パゾリーニの映

          イタリア映画「81/2」(1963年公開)

            日本映画「恋妻家宮本」感想

          第8回2021.11.21 会員推薦映画「恋妻家宮本」(2017年公開)感想 この映画は、50歳になる宮本陽平=阿部寛が主人公、宮本の妻=美代子に天海祐希共演のホームドラマである。この作品の様な映画のジャンルは、何と呼ぶのだろう。ホームコメディ(喜劇)と呼んだほうが、より相応しいのでは、と思った。 最初、題名を「恐妻家」と見間違えた。「恋妻家」(こいさいか)などという言葉を見たことも聞いたこともなかったからである。読み方もわからなかった。ラストシーンで、息子夫婦が住む福島の小

            日本映画「恋妻家宮本」感想

          日本映画「明け方の若者たち」感想

          2021年12月31日公開 松本花奈監督「明け方の若者たち」感想 2022.1.24記     石野夏実 1月20日のこと、朝食もすみ東京新聞の朝刊を何気なく繰っていたら、文化欄に紙面を大きく割いた映画の囲み。「明け方の若者たち」の松本花奈監督のきりりとしたカラー写真が目に飛び込んだ。23歳の監督は、卒業を控えた現役大学生ということだった。 記事=恋に仕事に主人公は揺れるが「どん底になっても、時が癒してくれて思い出になることを表現したかった」=に素早く目を通したら、仕事もオ

          日本映画「明け方の若者たち」感想

          フランス映画「オルフェ」1950年公開

          第8回(2021.11.21)同人推奨映画 監督のジャン・コクトー(1889~1963)は私が中学生の時に亡くなった。だから、その短くも強い印象を与える名前は覚えやすく身近なのであった。 ただし、知っていたのは名前だけで、作品に触れたのはずっと後である。 肩書は詩人、小説家、劇作家、画家、映画監督、脚本家、評論家などなど。その芸術分野での多才ぶりは、総合芸術である「映画」によってもっとも発揮されたと思う。 「オルフェ」に限らずフランス映画は、映画の中で語られるセリフが、会話

          フランス映画「オルフェ」1950年公開

          日本映画「彼女がその名を知らない鳥たち」感想

          同人推奨(2021.8.22)映画「彼女がその名を知らない鳥たち」(2017年10月公開) 1か月ほど前に同じ白石和彌監督の「ひとよ」(2019.11公開)を観て、掲示板に感想を投稿した。「ひとよ」は一気に観ることが出来たが、この「彼女がその名を~」は嫌悪感が半端なく湧いてきて、10分もたたないうちに、また今度観ようと思ってしまう作品だった。 8月に入り例会も近いので観なければと思いつつ、やっと今日観終わることが出来た。 この映画が例会の映画に指定された時、いや、その前にも

          日本映画「彼女がその名を知らない鳥たち」感想