韓流ドラマ「ミスター・サンシャイン」(2018年)感想

2018年韓流ドラマドラゴン制作「ミスター・サンシャイン」
                                2024,1,6~1,11記  石野夏実
 
 2022年の韓国ドラマ「二十五、二十一」をNetflixで観て、ヒド役キム・テリのファンになり、他のドラマを検索したらイ・ビョンホンと共演の2018年放送ドラマ「ミスター・サンシャイン」を見つけた。
1時間(以上)モノで24話あるが観ることにした。
混乱の暗い時代に向かう頃の歴史ドラマである。

1871年の辛未洋擾(ジェネラル・シャーマン号事件)から話が始まる。
奴婢であった夫婦のひとり息子ユジン(イ・ビョンホン)が主人公。
父は殺され母は井戸に身を投げ、ひとり追っ手から逃れる途中、匿ってもらった陶工のツテでアメリカ人牧師に連れられて密航し、アメリカに上陸。
苦労を重ねたが米軍海兵隊で上官を助け大尉となり、一度は捨てた祖国の朝鮮に大統領命で公使代理として帰還することになった。
それらが第1話のあらすじである。

韓国の歴史は教科書レベルでしか知らないので、今回のこのドラマは韓国を知る上でも興味深い。
しかし日本が韓国を植民地化し横暴を振るったという事実を韓流ドラマはどのように映像化するのであろうか、興味深いし真摯に受け止めようと思った。制作は見応えのあるドラマを作ることで信頼のおける「スタジオドラゴン」だ。
監督は韓国一の脚本家といわれているキム・ウンスク(女性)と「太陽の末裔」と「トッケビ」で組み、今回も共同で大作に挑むイ・ウンボクである。

1871年といえば明治元年が1868年であるので、日本の歴史年号と対比させながら中国の歴史も参考に、かなり長い24話ドラマであるが、第2話から共演の高貴な家柄の「お嬢様」と呼ばれる未婚のエシン=キム・テリも出てくるので、頑張って観ていこうと思った。

身分差別が当たり前の時代、奴婢であったユジンの出自に最初は躊躇し動揺したエシンであったが、徐々に気持ちが変わりゆく様と、ユジン以外にも許婚者、若いがヤクザの親分、このふたりにも恋されていて、もうひとりホテルの美人支配人も加わり5角関係が切なく展開する。

歴史だけ追うのでは殺伐としていて、韓流ドラマにならないのである。3人の男たちの関係も徐々に変わり友情=信頼が生まれてくる。ホテルの支配人は美しく孤独だが強くてカッコいい。

イ・ビョンホンは22年に「私たちのブルース」という、済州島のとある漁港の町を中心にしたドラマにも主演。生活感のある珍しいドラマなので続けてすぐ視聴。
登場人物も多く、年齢層も幅がある群像劇の中心人物のひとりで、小さなトラックに生活雑貨その他色々を積み込んで行商して回るアンちゃんの役を演じていた。
他のドラマでも主役で観た記憶があったが、庶民的な役が似合いすぎていたため、アメリカ海軍大尉役のイメージとギャップがありすぎた。
しかし上手い。日本でいえば内野聖陽と容姿がやや似ている。

「ミスター・サンシャイン」は、5年前のドラマなので当時28歳であった元々童顔のキム・テリに比べ、48歳のイ・ビョンホンが少し老けて見えたのは致し方がなかったが、役どころとしてはふたりともイメージ通りの適役であった。
1月7日は6話までを1.5倍速で観た。私は韓ドラの1.5倍速は意外と違和感はなくダレることが少ないので、この速さは話数が多いドラマを観るのには適していると思う。昨日は10日(水曜)の夜であったが、24話最終回まで観終わった。
1本が1時間以上と長いので、1.5倍速でもかなりの時間をとられたが、すでに全配信が終わっている韓流ドラマはまとめて一気に観るに限ると思う。
この「ミスター・サンシャイン」は制作側も出演者もかなりの時間をかけた大作であった。構想から脚本も丁寧で、制作の意気込みも伝わる。
撮影地も美しく、ロケも多かったはずだ。43億円の製作費がかかったというのにも頷ける。
伊藤博文の暗殺、日韓併合という日本の韓国植民地化、ここまでが描かれている。
清国、ロシア、アメリカ等との関係、当時の満州のこともあまりよく知らない私たちは、もっと韓国と中国、日本の関係を地理的にも歴史からも学ぶべきだ。

惹かれあい相思相愛のふたりであるが、バッドエンドはつらい。英語の読み書きは出来るがハングル文字が書けなかったユジン。逆にアルファベットから学び始めたエシン。多くの民の死を乗り越えて今の韓国がある。
                       
      

 
  
 

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