アメリカ映画「マイ・インターン」

第１０回　２０２２．５．２２他会員当番推薦映画　ナンシー・マイヤーズ監督２０１５年「マイ・インターン」感想
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２２，５，８記　
　
エンドクレジットに「映画の最後に特典映像がご覧になれます」と予告が流れてきて、監督脚本制作の全てをこなした小柄で華奢なナンシー・マイヤーズの映像を見ることができた。
アメリカの女性監督作品を意識して観たことがなかったので、俄然、彼女に興味がわいた。
wikiで、彼女が１９４９年生まれで私と同い年であることを知り、俳優以外の分野で映画作りをしているタフな存在の女性監督を頼もしく思った。
因みに、４９年生まれのアメリカを代表する女優にメリル・ストリープがいるが、ふたりは０９年にナンシー監督で「恋するベーカリー」を撮っている。（※原題は「It's Complicated」であって、時として邦題のつけ方のセンスのなさ、あるいはセンスありすぎに驚嘆）
ナンシー監督の他作品を観たことがなかったので、参考のため「ハート・オブ・ウーマン」（２０００年※原題は「What　Women　Want」この邦題もすごい）と「ホリディ」（２００６年）を観てみた。２本とも途中までしか観ていない。
この手のビジネス系ラブコメモノ？は、アメリカ特有のTVドラマの延長のようで深みがないので、映画にしてまで観るモノなのかとパスなのである。（ナンシーはTVドラマ脚本家出身である）
しかし興行的には大ヒットしているという現実があるので、わたし的には観客層支持層を知りたいところだ。

日米ともに第２次大戦後に生まれた世代は第一次ベビーブーマーと呼ばれ、日本では特に団塊世代と呼ばれているが、総体として男性に比べ女性が取り上げられることは少ない。
なぜなら、その塊のほとんどが生涯的な職業とは無縁で20代で結婚し、その後は家庭に入り専業主婦となっていったからだ。
その中で、結婚し子どもを育てながら仕事も継続し脚本家監督プロデューサーとして成功したナンシー・マイヤーズは５０歳で離婚したが、仕事と家庭を両立したアメリカ女性の代表のひとりでもあるのではないだろうか。
おそらく女性を主人公にした過去の映画には、コメディであっても彼女の思いが散りばめられているのではと。
そして「マイ・インターン」は、その総決算なのでは、と思った。

さて「マイ・インターン」であるが、若い主婦がIT時代の服飾通販の波に乗りCEOとしてバリバリ働き始め、仕事に没頭する。
家事育児は、夫にハウスハズバンドとして役割を任せた。その夫は淋しさからママ友と不倫をして家庭が壊れそうになったが、最後はギリギリのところで持ち直した。
表舞台の会社では、彼女は自転車で社内を移動するほど忙しい口八丁手八丁のやり手CEO。
しかし多忙にも限界がきていて、適任者がいれば自分はCEOを降りてもいいと思っている。
インターン（見習い）の募集時に、シニア・インターとして応募してきたのは定年退職後のやりがい探しの70歳のおじさん（おじいさん）。

彼（ベン＝ロバート・デニーロ）は合格し、CEOの下に配属される。
最初はうっとおしくて、見習いの後の雇用は却下予定のCEO（ジュールス＝アン・ハサウェイ）であったが、運転手も完璧に務まる人生の大先輩のおじさんを相談相手に、独りよがりから視野を広げていく。
この映画は年の差友情物語でもあった。
「マイ・インターン」は、「ハート・オブ・ウーマン」から１５年を経ているので、社会の変化が見て取れる。PCもスマホも格段に進歩し普及し、通販による生活スタイルの劇的な様変わりは、アイディアひとつでITを上手く使える業種であれば、男女関係なくサクセスストーリーが生まれる時代になってきたことを示している２０１５年の作品であった。

＜テーマ１＞この映画で一番共感できる登場人物はあなたなら誰ですか？
　７０歳のベンです（笑）
私は７２歳ですが、いまだに週３回午前中を中心に電車に１５分間乗って働きに行ってます。ボランティア関連は７０歳で引退しましたが、仕事は社会参加の一部としても気に入っています。職種は、娘夫婦の自営のお手伝いです。お給料を頂くということは、確かに頭も気も使い責任もありますが、生活に緊張感とリズムをもたらします。ベンの選択は正しいと思います。
心身の健康が許せばですが、定年がないのでもう少し働こうと思っています。

＜テーマ２＞ラストシーンの続きがあるとしたら、どのような内容が来ると思いますか？
ジュールスはそのままCEOで。
ベンは財務にも詳しそうなのでCFOに。
まだそれほど大きな会社ではないのでCOOはいらないのでは。
有能な誰かが育ったらその人物がCEOになり、ジュールスはCOOになればいい。
今の時代、会社はチームワークが見直されているので、外部からの招へいよりも内部からの抜擢の方がいいと思う。