それなりにそれなりに
「逆巻く波も静まりて…」
何のフレーズ?ええと、なんだっけ?
30分ぐらい考えて、スッキリと思い出した。
平成14年に閉校した母校の校歌の一節。
アホな小学生のときは、クチパクをしたり、適当な鼻歌にしたり、
いかに歌わないかを頑張った。
入学してから卒業するまで何百回と、くちずさんだはずだが、歌詞の意味までは意識しなかった。1番にある「励み合う」を「ハゲ見合う」と思って、面白がっていたぐらいだ。本当にアホな小学生だ。
良い学校だった。同級生は、自分を含め11人。その後、5年生で転校生が加わり卒業する時は12人だった。クラス替えはないし、全校生徒の顔、名前はもちろん、住んでいる家や親兄弟まで知っている。そんな地域だ。
ウニやアワビ、カキ、ホタテ、アイナメ、カレイ、アジ、サバ、柿、アケビ、イチジク、桑の実、栗などなど、海と山の恵み、景色の移ろいで季節を感じ、大人たちは忙しそうにしながらも、暮らしを楽しんでいた。
すでに当時、ファミコンは出始めていたが、子どもたちは学年関係なく外で遊ぶ。部活の野球が終わった後に、広場で野球をして遊ぶのも恒例。上級生が開発し、投げ込んでくるゴムボールの変化球をプラスチックバットで捉えるのが目標の毎日だった。
誰しもが、子ども時代は懐かしいと思うだろうが、年々ふるさとへの思いは強くなる。津波のせいだけではなく、年齢のせいなのかもしれない。
そんな時、ふと思い出した冒頭の校歌。
逆巻く波も静まりて
門出の船に風薫る
ああ新たなる日本の 文化の国をつくるべく
日本の文化はつくれないけれど、アホはアホなりに頑張っているぞ。
あたたかな記憶に助けられる疲れた金曜日のおわり。