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2024年11月おすすめ本≪山口ミライ共創ラボ≫
山口市産業交流拠点施設指定管理者であり、山口ミライ共創ラボの運営を務める森ビル都市企画のスタッフが、今月読んだものの中でおすすめしたい本を厳選してお届けします。
由布院ものがたり - 「玉の湯」溝口薫平に聞く
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大分県由布院の温泉旅館「玉の湯」のご主人、溝口薫平氏による本書は、彼が長年取り組んできた「湯布院のまちづくり」に対する深い思いとその軌跡を、全10章にわたって丹念に描き出しています。溝口氏が育った「わが町、由布院」への愛情と信念が、本書全体を貫く大きなテーマです。
各章では、「まちづくり」という大きな課題に対し、ひとりの旅館の主人として、あるいは地域住民として、どのように考え、行動してきたのかが綴られています。例えば「由布院の危機」では、由布院が抱えた困難や外部からの脅威について語られ、それをどのように乗り越えたのかが語られています。「ドイツへ行く」では、視野を海外に広げ、異国での学びを持ち帰り由布院の発展に役立てる姿勢が描かれています。そして、「由布院憲法」に象徴される理念は、湯布院がいかにして単なる観光地ではなく「発信するまち」へと成長していったのかを示しており、まちづくりの根本的な理念が見事に反映されています。
本書の魅力は、時代背景こそ異なるものの、その民間主導の取り組みやコミュニティを基盤としたまちづくりのプロセスが、現代にも通じるヒントを提供している点にあります。特に、「地域とともに」進めるプロジェクトの中で、個人の想いと地域全体の利益のバランスを取る難しさや、長期的な視点で地域に根ざした計画を育て上げる重要性がリアルに描かれており、現代においても参考になる内容が豊富です。
地域の未来を見据え、観光地としてではなく、人々が共に暮らし、未来を創り出す「まち」として湯布院を捉える溝口氏の視点は、現代の地域再生に取り組む人々にとって大きな指針となるでしょう。
会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション
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「会話」によって私たちはいったい何をしているのでしょうか。
会話とは、人と人とが言葉を交わし、情報を伝達すること。そんなシンプルな行為のように見えて、実はその中には幾重にも重なる営みが含まれています。
本書では会話の中で起こる相互のやり取りを「コミュニケーション」と「マニュピレーション」に分け、コミュニケーション=発言を通じて話し手と聞き手のあいだで約束事を構築していくような営み。マニュピレーション=発言を通じて話し手が聞き手の心理や行動を操ろうとする営みとして、小説や漫画などのフィクションで起こっている会話とそれに伴う登場人物の新世や行動の変化から会話を読み解いていきます。
会話の中で登場する言葉1つ1つには、その言葉の本来の意味以上に様々な思いや、企みを含んでいます。分かりきったことをあえて言葉にすること。伝わらないことが前提にあるからこそ言えること。言葉とは全く逆の本心をしのばせること。会話とは全てが「約束の積み重ね」であり、それを続けていくことで成り立っている。その重なりを感じ取れれば、会話の解像度がさらに増していくような感覚を覚えた1冊でした。
「読み」の整理学
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この本では、情報の整理術として「アルファ読み」と「ベータ読み」という二つの読み方を提唱しています。アルファ読みは内容を素早く把握し、大枠を掴む読み方。一方、ベータ読みはじっくりと読み込み、深い理解を目指す読み方です。情報過多の現代において、この二つを使い分けることで、効率よく情報を整理し、自分の力となる知識に変える。そんな具体的なヒントが詰まった一冊です。
眠れないあなたに おだやかな心をつくる処方箋
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この本は、夜眠れなくなるみなさんへ、著者が気付いた日常のストレスや不安から解放されるためのちょっとした考え方や意識をまとめた処方箋のような本です。すべてを真に受け過ぎずに逃げること・よけることも大切だと再認識することができました。また後半では具体的に心を落ち着けるための方法や、リラックスを促す習慣が紹介されており、きっと自分に合ったアプローチを見つけることができます。眠れないという人に限らず、日々の忙しさに追われストレスを抱える多くの人にも、自分自身と向き合う大切さを教えてくれる優しい一冊です。
その他おすすめ本
・山口ミライ共創ラボ とは
山口市産業交流拠点施設は「出会う、つながる、生まれる、広がる」をテーマに様々な機能・人材・技術・アイディアのコラボレーションを通して、地域課題の解決・改善、新しい価値・人材の創出を目指しています。令和6年度からは山口ミライ共創ラボ と題し、新たな価値観との出会いをコンセプトにそれぞれのテーマのプロフェッショナルと山口の未来について参加者の皆さまと共に考えていく機会をつくっています。