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【全文無料】「流れ」大きく変わった1年 2022年の日本政治を振り返る

2022年も、あと少しで終わりを迎える。

今年は新型コロナウイルス流行3年目に突入。様々な場面で制限が緩和され、自由が戻ってきた。しかし年末を迎え再び流行が見られており、まだ先は見通せない状況だ。

また、ロシアによるウクライナ侵攻は、第3次世界対戦が勃発するのではないかと世界中を震撼させた。日本でも防衛費に関する議論が盛んになり、いよいよ「平和ボケ」状態ではいられなくなった。

そして、7月には安倍晋三・元首相が演説中に射殺されるという痛ましい事件も発生した。言論を暴力で弾圧することは決してあってはならないことで、改めて「言論の自由」について問い直すきっかけにもなった。

存在感を示せなかった野党の成れの果て

昨年の衆院選では、自民党・公明党への風当たりが強く、野党が議席を伸ばすのではないかと予想されていた。しかし、蓋を開けてみると、自民・公明が過半数を大きく超えて圧勝。維新は3倍以上に伸ばしたものの、そのほかの野党では伸びが見られず。立憲に至っては、10議席以上減らし、100議席を下回った。

そして「自民党一強体制」の時代が再来した。当時、野党内でも立憲ー維新間の対立があったことから、野党も一枚岩になることはできなかった。

立憲は衆院選終了後に枝野代表が辞任を表明。代表選が行われ、候補者内最年少だった泉健太衆議院議員が代表に選出された。泉代表は「提案型野党」を目指し、これまでの民主党ー立憲民主党の路線とは一線を画すとした。

しかし立憲は、今夏の参院選でも議席を減らし、比例代表では維新の後塵を拝す結果となった。ここで焦った立憲は、あろうことかこれまで対立してきた「維新」との連携を選んだ。

維新は8月に代表選を実施し、大差で馬場伸幸衆議院議員が代表に選ばれた。松井前代表は立憲との連携に否定的で、同党の足立康史衆議院議員に至っては、立憲民主党への批判で懲罰動議が出された経緯もあった。しかし馬場代表は、立憲との連携に舵を切ることとなった。

この連携は、将来的な選挙協力については明確に否定した一方で、今後も連携に向けて調整を進めているという。

安倍元首相の射殺と「統一教会」

参院選も終わりに差し掛かった7月8日、ある一報が全国中に衝撃を与えた。

「安倍元首相が銃撃受け死亡」

奈良県内で演説中だった安倍晋三・元首相が男に銃撃され、心肺停止状態に。その後、死亡が確認されたというものだった。安倍元首相という誰もが知る人物が非業の死を遂げただけでなく、戦後、首相経験者が暗殺されるといった例がなかった日本においてこのような事件が発生したことは、日本の歴史に大きな影を落とすこととなった。

しかも犯人の動機は、安倍氏とは別のところにあった。それは、宗教団体である「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対する積年の恨みだった。犯人の母が旧統一教会に入信したことをきっかけに一家は困窮状態に陥り、そのことで被害を被ってきた犯人は、統一教会の幹部を殺害しようと長い間狙っていたという。しかしその矛先はいつしか安倍氏へと向けられていた。

事件当初は「言論の自由」に対する冒涜に向けられていた批判も、いつしか「統一教会の実態」や「統一教会と政治の関わり」に向けられるようになった。

9月国会では、立憲と維新が共闘し、統一教会と政治の問題を追及。霊感商法に対する規制法案も共同で提出するに至った。

相次いだ閣僚の更迭・辞任

今年10月、経済再生担当相を務めていた山際大志郎衆議院議員が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関係があり、韓鶴子総裁とも接触があったことを認め大臣を辞任。

翌月には、法務相を務めていた葉梨康弘衆議院議員が自民議員のパーティーで「法相は死刑執行のはんこを押す時だけニュースになる地味な役職」と発言したことが批判を招き、大臣を辞任。過去にも同様の発言をしていたことが発覚した。

また、総務相を務めていた寺田稔衆議院議員は、後援会の政治資金収支報告書の会計責任者に故人を記載していたり、妻が代表を務める政治団体の資産報告書で貸付金が不記載となっていたりといった政治資金問題が相次いで発覚し、辞任に追い込まれた。

先日には、復興相を務めていた秋葉賢也衆議院議員にも政治資金問題が発覚。親族に政治資金を還流させていたことや秘書が前回の衆院選時に選挙運動の報酬を受け取っていたことが指摘され辞任に追い込まれた。

大きく変わった政界地図

激動の一年だった2022年には、政界の構図にも大きな変化がみられた。

特に国民民主党の行方には注目が集まった。長期にわたり立憲民主党と協調路線をとってきたが、今年一年は「脱立憲」「脱野党」とも取られる方針をとった。なかでも、国民民主党が政府予算案に賛成したことで両党の対立は決定的なものとなった。7月の参院選では、一人区のうち4選挙区で立憲・国民民主両党(推薦含む)が対立した。特に、香川選挙区では国民候補を玉木代表が、立憲候補を小川淳也政務調査会長(当時)がそれぞれ支援、火花を撒き散らす戦いとなった。また、共産党が支援する候補は支援しない方針をとったことも注目された。11月には、再び予算案に賛成し、「脱野党」化を改めて印象付ける形となった。

先ほどあげた維新と立憲の連携も相まって、野党間の協力体制の大きな変化があった1年だった。

また、公明党や共産党といった、組織に支えられた政党の退潮傾向もみられた。参院選比例票を見ると、公明党は25万票減らし、現有議席を1失った。共産党に至っては70万票近く減らし、2議席を失った。政党支持率を見ても、(参院選付近はブーストがかかっているものの)公明党は下落傾向にある。共産党は参院選前に大きく落としたものの、現在はやや復調しているか。

三春充希氏作

また、自民党内の対立も深刻化した。高市早苗衆議院議員は、岸田首相の「増税」発言・方針に公然と反対。高市氏は経済安全保障担当相を務めており、閣議方針に反対すれば更迭のリスクもある。そうした状況での高市氏の発言は、リベラル派と保守派の対立を巻き起こすものであると予感された。時期を重ねて、高市氏に近い杉田水脈衆議院議員も自身の発言で総務政務官を事実上の更迭となった。

2023はどう動くか

今年は激動の一年間で、どの出来事をこの記事で取り上げようか悩まされた。来年は4月に統一地方選挙が行われる。各党とも候補者擁立を急ピッチで進めており、各自治体で激戦が予想される。

国政選挙は現時点で予定されていないものの、衆議院が解散する可能性も現実味を帯びてきた。現時点ではまだ自民党に有利に働きそうなものの、今後の動き次第では野党が議席を伸ばす可能性もある。

いずれにしろ、来年も政治的に大きな動きがある一年になるだろう。


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