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シューリヒトの《ミサ・ソレムニス》
ベートーヴェンが残した最も偉大な音楽の、もっとも偉大な演奏記録のひとつ。
かのフルトヴェングラーもこの難曲中の難曲の演奏には極めて慎重で、たしか戦後には一度も振らなかったし、録音も残っていない。ベルリン・フィルが戦後にこの曲の演奏会を組んだ際も、フルトヴェングラー自身は指揮しようとはしなかった。代わりに白羽の矢が立ったのは、チェリビダッケでもヨッフムでもベームでもカイルベルトでも、もちろんカラヤンでもなく、老カール・シューリヒトだった。残念なことに指揮者の病気キャンセルにより演奏会は実現せず、人類永遠の遺産となるはずだった演奏は幻に終わった。
が、ここにご紹介した北西ドイツ放送響との貴重な演奏記録は、その文化史上、演奏史上の欠落を補って余りあるかもしれないほどの名演。私見では、トスカニーニの2種のライブとともにベスト3に挙げたい。録音は何しろ1957年という大昔のものだから良いとは言えないが、演奏の素晴らしさは十分にわかる。