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ゆし豆腐の想い出

鍋を開けると「ゆし豆腐」が現れました。
新しく始まった朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」の舞台は沖縄です。
 
「ゆし豆腐」は、型に入れる前のふわふわの豆腐で、大好きなんですよね。
ちなみに型に入れて固めるとゴーヤーチャンプルーなどに使う「島豆腐」になります。
 
20代半ばから30代にかけ、沖縄の仕事が入ると滞在を延長し、
在日米軍兵士向け(だったらしい)の広いマンションに住む友人の家に居候していました。
友人はフリーダイビングにはまっていて、海に入っている間、
僕は防波堤に寝転がり、ビールを飲みながら、海を眺めてぼーっとすることがお気に入りの時間。
すると、ぽつりぽつりと他のフリーダイバー(素潜り)が現れます。
 
ある時、彼らが海辺近くの沖縄そば専門店に連れていってくださいました。
そこで、ほぼ全員が頼んでいたのが、ゆし豆腐そば。
上一面に、ふわふわの豆腐が浮かんでいて、そばは全く見えません。
 
周囲は、ジャックマイヨール(映画「グラン・ブルー」のモデルになった伝説のフリーダイバー)と一緒に潜った話で盛り上がっていたけれど、僕はゆし豆腐そばにくぎ付けでした。
それ以来、僕は、皆さんが素潜りしている間、そのそば屋で、ゆし豆腐そばをつまみにビールを飲んで待つようになります。
たとえ素潜りに誘われても、「僕は、ゆし豆腐そばで!」と言いながら。
 
40歳になる頃、旅仕事の打ち上げで、慰安旅行も兼ね、沖縄へ飲みに行くことになったことがあります。
その時、コーディネーターが選んでくれたコンドミニアムが、このそば屋近くでした。
 
コンドミニアムの下の階の飲食店から出前で運んでくださる料理をつまみ、
部屋に備え付けられた生ビールのサーバーで飲みながら、
窓から海をぼーっと眺め、
旅仕事の想い出話に花を咲かせていました。
 
当時から僕は早寝早起きだったので、皆さんが飲んでいるのを横目に「お先に」と寝させていただき、
朝、起きて、ふらりと散歩に出掛けていきます。
 
「あれ?イシコは?」
「また、そば屋じゃない?」

 皆さんが起きて出掛ける準備が整うと、僕を朝から(と言っても10時くらいだったと思うけど)やっているそば屋へ呼びに来ていたなぁ……とゆし豆腐そばの写真を探すのですが、撮ってなかったようで、
別の店のゆし豆腐がついた定食の写真が出てきました。

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