二十歳で死ぬ私①

ああ、全てを捨ててしまいたい。この地獄から抜け出したい。そんなことは微塵も思わないけれど、でも、ここから消えたかった。

自分の意志を自身で制御できないことが理解できた。生きていると不幸なことはあるけれど、私の不幸は世間の人と変わらないくらいのものだろう。幸せな時間もおいしいごはんも毎日当たり前に存在している。友達にもいつでも会える。そんな自分の人生の何が不満なのかと聞かれると、自分でもあまりよくわからなかった。自分が何をしているのかよくわからなかった。

人は死ぬために生きているということを知ったとき、私はわかりきっていたことなのに、少し残念に感じてしまったらしい。

生きることの意味が何なのか、答えが出たときには3年の月日が経っていた。答えは、考えることが無駄であるということだった。人の意志が1秒で豹変すること、好きは簡単に嫌いに変わってしまうこと、期待は自分の傷をえぐること、こんなことが当たり前という形で、僕の目の前に立っている。

自分の存在に疑問を抱く。自分から出てきたはずの疑問は、追いつけない速さで一人先を走る。先に行くくせに、すれ違う友人をすぐ仲間にする。走り続けた先に何があるのか、それは誰にもわからないことも、先は真っ暗でなにも見えないのに、たまに白い光が指すことも、それは一瞬で消えてしまうものであることも全部わかっている。けれど止まることを許してくれない疑問は、私を睨みつけながら前を行く。疑問は答えがないという答えが怖いらしい。走ることも、君を追いかけることも疲れた。



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