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『素直な心になるために』(松下幸之助)ブックレビュー

“経営の神様”、松下幸之助さんの本を読みました。といってもこの『素直な心になるために』はいわゆるビジネス本ではなく、経営者に限らず人としてどうあるべきかを書いた指南書。最近自分自身をより見つめたいと思っていて、この手の本を読むのが好きなのよね。

本を紹介する前に、まず松下幸之助さんを知っておくことが大事だと思った。言わずもがな、『松下電器器具製作所』、現パナソニックの創業者。経営者として、『ガラス張り経営』(経営の実態について秘密を持たず、ありのままを知らせる経営)『ダム経営』(人・モノ・カネ等のあらゆる面で一定の余裕を確保する経営)『雨が降れば傘をさす経営』(当たり前のことを適時適切に実行する経営)『適材適所の経営』(各自の持ち味が最大限生かされる配置を考える経営)などといわれる法則に則って、事業を成功させた人物です。

そしてこの本の全体としては、言い方は難しいけど『校長先生が全体朝礼でするような、表面的で聞き飽きたような正しい綺麗事を実際にやり遂げた松下幸之助さんがとうとうといっていくからこそ深く感じられる本』です。人としてどうあるべきか、それはどうしてか、そうすればどうなるか。わかってはいるけどできない、逃げてしまうことを再度確認させられる本となっています。レビューしていきましょう。 

序章:素直な心の意義について

物の豊かさはあれど心の豊かさが足りない世の中(P12)
『素直さ』はその場その場になびくイメ―ジではなく、むしろ力強く積極的な内容をもつ。物事の真実を見極めてそれに適用していく心であり、強く正しく聡明になる(P15
人間は本来素直なもの。年を経てそれが表面に出づらくなっているだけ(P20)

心の豊かさが足りないって、わかるわぁ~。なんかギスギスしていて、否定しあっている世の中よね。たとえば、SNSで便利に意見を言い合う世の中にはなったけど、反面消極的な意見や批判的な意見が目立つようになって、傷つく人が増えていたりさ。便利=幸せにならないのが難しいところ。互いを尊重する素直な心があれば、それが叶うんだと。
確かに本来は人って素直なものだと思う。白玉(3歳の長男)やおにぎり(10か月の次男)の言動(大きな声で泣く、些細なことでも笑う)とか動作を見ていて、本当に彼らは純真、純朴だなぁと思うし、学ぶべきものがある。素直な心、取り戻したい。

第1章:素直な心の内容十か条

①    私心にとらわれない:全体の利益を考える(P28)
②    耳を傾ける:自身の不完全さを自覚し、身分や年齢が下の者の声も聞く(P33)
③    寛容:相手の非を温かく許す(P36)
④    実相が見える:透明な心で本当の姿を見る(P40)
⑤    道理を知る:遠い慮りをもって物事をとらえる(P45)
⑥    全てに学ぶ心:世の中のすべての物事が自身への教え、勉強になる(P45)
⑦    融通無碍(ゆうづうむげ):より正しい見方考え方を求め、変化に応じる(P51)
⑧    平常心(P54)
⑨    価値を知る:助言に対し、価値を感じ感謝する(P59)
⑩    広い愛の心:他者への愛、慈悲の心(P63)

 ②⑥⑨あたりが特に好きかな。
中でも⑨は、記者を目指していた就活時代を思い出した。面接で記者の方に『記者としてあるべき姿』を聞いたとき、「大切なのは、自分が真っ白であること。たとえ相手が犯罪者であったとしても、なにかを教わる気持ちで素直にまっすぐに聞くこと」みたいなことを言われたことがある。それに近いものを感じた。

第2章:素直な心の効用十か条(抜粋)

思い通りになる(P73):思い通りになるように、自分から順応していける。相手をあるがままに認め、相手の思い通りにしながら導いていけるため、結果的に自分の望ましい結果を得られる
日に新たになれる(P80):世の流れを見越し、変化に応じた新しい考え方を生み出せる

 第3章:素直な心のない場合の弊害十か条(抜粋)

周知が集まらない(P110):素直な心がないと、周囲の助言を素直に聞けないし活かせない。そうした人間には助言する人自体が減っていく。
生産性が下がる(P148):互いへの調和、譲り合いがなくなり、結果不必要な非難や争いが起きる

第4章:素直な心を養うための実践十か条(抜粋)

強く願うべし(P156):朝起きた時に噛み締める、など
日々の反省(P162):中国の名言に『治にいて乱を忘れず』(平和な時も油断はせず昔の争いを思い出すべし)という言葉があるように、一日の終わりに素直な自分でいられたかを振り返る時間を持つべし。
常に合言葉にして唱えあう(P168)
先人に学ぶ(P176):読書など
物や動作で忘れないようにする(P182):お守りをもつ、深呼吸や瞑想を取り入れる

日々の反省は大切よね。僕は一人で風呂に入っている時に、振り返りすぎて自分が嫌になることがあるけれど、まぁそれも大切ということかな苦笑

終章:素直な心になることを願いつつ

才能や知識の優れた人は多いが、素直さを欠いている側面もある(P194)
相手が気に食わない、間違っている場合でも強要することなく、たとえ改めさせたい場合でも和やかな姿を保ちながら行え。また、どのような考えにも取り入れるべき何かしらのものはあるのではないかという視点を持て(P201)
悪を少なくする努力はすべきだが、絶無にできないことは素直に認めて素直な心で対処することを考えよ(P205)

凄く素敵な終章。
薄っぺらい人が多いなぁと感じる世の中。凄い人はいいけどなんか尊敬できない、みたいな。だからこそ、まずは自分が素直な心をもって、中身のある人にならなきゃと思った。
自分と合わない人や、悪に対する態度についても同感。昔会社でどうしてもおかしいと思う社員の方がいて、力づくで改めさせようと思ったことがあったんだけど、結局相手も相手で反感をもって、全体としてうまくいかなかったことがあった。悪に対して正義感をもって改めさせたい気持ちは大切だけど、でもやり方によっては逆効果なのよね。反省していますよ、今は。

 34歳で読みました偉大な経営者の“校長先生の話”。かなり感じるものというか、思い出すものが多かった。今年は何といっても『本物の人間を目指す』年だからね。こういった本をどんどん読んでいきたい。


 

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