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『ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法』(ディズニーインスティチュート)ブックレビュー

スタバの本の参考図書にも掲載されていたので、読みましたよディズニー。いやぁこれは、、、いい企業の作り方の説明として、『どの企業にも活用できるスキームの紹介』というよりは、『ディズニーはこんな大枠で企業を形作っていて、実際こんな風に工夫していますよ』的なものだった印象。僕としては様々の企業に使える実践の仕方が知りたかったけど、実例集・具体例集だったもんだから、割と『よし、明日からはうちの会社でこうしよう』ではなく単に『ディズニーすげぇぇぇぇ!!』ってなってしまった。これ、ディズニー全く詳しくない僕より、なかなか一般レベルでディズニー好きな妻とかが見たほうが楽しめるんだろうなって感じ。
『ゲストは日常生活から抜け出し、ディズニーにしか創造できない世界に連れて行ってくれる“マジック”を求め』ており、そのマジックを起こす仕掛けは企業・従業員にとっては極めて現実的(偶然起こっているわけではなく、科学や論理に基づいている必然的)ものとのこと(P25~27)。そしてキーとなるメッセージは、『クオリティサービス』、つまり『細部にまで完全な注意を払い、期待以上のものを提供すること』(P34)。マジックの種明かし、してもらおうじゃねぇか。

『クオリティサービスコンパス』(クオリティサービスを実現するプロセス)のポイントは4つ。①ゲストロジーを確立する→②クオリティ基準を明確化する→③提供システムを整える→④統合する(P40)
① ゲストロジー:お客様を知る技術のこと。これにより、共通の目的『幸せを創造する』が掲げられた(P42)
② クオリティ基準:1)安全 2)配慮 3)ショー(成果物) 4)効率 という優先順位※優先順位や定義は企業によって異なる。
③ 提供システム:1)キャストの教育 2)セット(お客様の出会うところすべて) 3)プロセス(キャストとセットをまとめあげる)からなる(P46)
④ 統合:クオリティ基準と提供システムを掛け合わせ、具体的対策を考案する
共通の目的では目標、達成手段、対象顧客を明文化し、従業員に浸透させることが必要(P68)
クオリティ基準(優先順位)があることで目標に沿った判断や意思決定を行える(P78)
ディズニーのリピートの理由トップはキャストとの接触。そもそも第一印象が親しみやすい人を雇っている(P89、93)
キャスト育成の4段階は①オリエン②職種別研修③現地(拠点)オリエン④OJT(実地研修)(P94)
ゲストへの配慮の方法が行動リスト(パフォーマンスティップス)にまとめられている。ポイントは①目を見て笑いかける②ひとりひとりに挨拶し歓迎する③ゲストに接する④サービスを迅速に回復する⑤適切なボディランゲージを使う⑥素晴らしいゲスト経験を保つ⑦一人一人に感謝する(P102)
パフォーマンス文化(理想的なパフォーマンスの具体例やその実践)は各現場の経営陣とキャストで生み出される(P105)。作り上げるコツは1)単純にする 2)誰もが受け入れられるものにする 3)評価可能にする 4)研修・指導をする 5)チームからのフィードバックやアイディアを引き出す 6)業績を認め、報いる の6項目(P111)
セットへの細部へのこだわり:視覚・聴覚・嗅覚・触感・味覚に訴えかける(P147)
セットのクオリティを高く保つには、日々のメンテナンスが必要。これをしているのはすべてのキャスト(P152)
ウォルトは初期段階にて、才能あふれる人を緩やかに束ねるグループを作った。最低限の指示をし、あとは従業員の熱意にゆだねた(P162)
クオリティの高いサービスをするには、継続的に改良を続けていく(=『プラスする』)ことが大切(P164)
具体例)「行列でアトラクションを利用するための時間がかかりすぎる」への対策・・・(P171)
① 商品とサービスの工程を最適化する:一部サービスの利用時間を延長する
② ゲストの流れを最適化する:パンフレットで回り方例を提示する、各案内板で待ち時間を表示する、キャストが案内する
③ 列に並ぶ経験を最適化する:列を並ぶゲストを楽しませるよう、キャストやセットを工夫する

ビジョンを明確化し、落とし込み、あとは各キャストが実践しやすい仕組みづくりを優先して裁量権を持たせることが大切と。言葉にすると当たり前のことなんだけど、その仕組みづくりが凄いのなんのって。研修用の特殊な施設作ったり共通の目的への理解を深めるために映画作ったり、パーク内の情報連携システムだったりも圧巻ですよ。あとはところどころで語られていたセットに対する『細部へのこだわり』ね。凄いよ、ディズニー。
とはいえ、理念を浸透させ、継続させ、深めさせっていうのを現場に裁量権を与えることで実現させているところはスタバの本との共通点だったし、どの企業も目指すべき形だと思った。次にディズニー行くときには、もっともっと楽しめそうだな、こりゃ。


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