忘れられない、1本の缶コーヒー

社会人になりたての頃。

あの頃は会社とはなんたるかをわかっていなくてとにかく毎日精いっぱいで、緊張感だった。支店に配属されて1週間ぐらいは、先輩の営業マンの現場同行をした。その時同行させてくれたAさんが、昼休憩の時にコーヒーをおごってくれた。

10年経った今でも忘れられない。うちの会社は『先輩がおごる』『上司がごちそうする』とかっていう面倒な慣習がなく、それをなんとなく感じ始めてきていたから、おごってくれたこと自体に驚いていた。そんな僕に、Aさんは言った。

「え、あんまりおごられてないんだ?まぁうちの会社そうだよね。でも今後、仕事でお世話になっている協力会社の人とかに会ったら、たまには『いつもありがとうございます』って言って1本ぐらいおごるといいよ。いつもの感謝がちゃんと形で伝わるなら、たかだか100円ぐらいのものをケチる必要ないでしょ

こんな言葉だった気がする。

10年以上たった今。逆に後輩社員と現場同行したとき、僕はこの話を添えてできる限り1本飲み物をおごってあげている。こうして人は繋がっていくわけだ。

人が繋がるきっかけになるなら、たかだか100円ぐらいのものをケチる必要ないでしょ。

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