『働くママ 専業ママ 子供のためにどっちがいいの?』ブックレビュー

妻の母が図書館かなんかで借りてきた本で、「是非読んでみてほしい」と勧められた本。妻の母はそれこそ小説から自己啓発、評論まで様々なジャンルの本を週1冊ぐらい必ず読む読書家で、時折こうして本を紹介してくれる。図書館の貸し出し本ってことで期限があるから、僕は結構切迫した感じで読み進めることができた。中身としては、実質的には『専業か兼業か』よりも『育児とどう向き合うか』の指南書であり、そうした意味では確かに夫側も読むべき本だったと感じた。自分なりに印象に残ったところを振り返りたい。

家で孤独の中で実践する育児は『独房』のようであり、『育児カプセル』状態。むしろ一人で育てるより様々な人と連携しながら育てるほうが楽だし、子供にとってもいろんな価値観の中でバランスをとりながら人格を形成できる。また、母親自身の孤立した状態での育児は同時に『母親の独裁化』(=子供は母親のみが頼りだと、逆に母親に見放されて孤立するのを避けるため、母親の前でだけいい子になるような『仮の自分』を形成すること)が進むので望ましくない。(P102)アフリカには「子供一人育てるには、村中の人が必要」ということわざすらある。(P123)

この孤独状態での育児の辛さはおこがましいながら自分自身にも思い当たる節があるんだよ。僕も自分で言うのもなんだけど、結構、いや正直並の夫・・・いやなんなら並の夫&妻たちには負けない自信がある。家事もほぼ全種類(※毎日全部をこなしているわけでは勿論なく、あくまで全種類を週間でこなすって意味。)やるからね。そんな中、頭の中で完璧にシミュレーションした手順でスケジュールをこなしている最中に、おむつ替えで今まさに変えたウンチ入りのおむつを白玉がしっっっかり握った時は「あ~~~~~~~↑↑↑」って自分でも恥ずかしい声出たからね。あれは自我が崩壊した瞬間だったな。でも偶然だけど、うちは基本的に『村中』とは言わないまでの多くの人に助けられた状態で育児ができていると思う。毎週僕の両親や兄にはお世話になっているし、地域の人にも優しくしてもらってるし、妻の妹や弟も月に1回ぐらいの頻度で来て泊まってくれているし、なんならその友達もめちゃくちゃ来るし、そもそも妻の母親と同居していてめちゃめちゃ家事も育児もやってくれている。まぁ僕が人を意識的に呼んでいるのはそんな深い意味はなくて、単に『新築の家なんてどうせすぐ汚くなるんだから綺麗なうちにみんなたくさん来といて』っていうのが発端だったんだけど、まぁ結果的によかったな、頼りまくっといて。

マザーリング(=母性的な養護)が重要。子供の反応に対しきちんと保護者側も即座に反応すること。それも寛容な態度であることが重要。そうでないと、子供は自身の発する信号に応対する人がいないと察知し、何事にも関心を示さない人格になる。結局、『専業主婦と働く妻』という軸では明確な子供への影響差はなく、むしろ母親がどういったモチベーションで仕事に向かっていて、結果としてどうやって育児と向き合えているかが重要。仕事が大変でストレスになるなら働くことは勧めない。ただ、フロイトが『人間として一番大事なことは何か』という質問に「愛することと働くこと」と答えた(P194)ことにもあるように、働くことは苦労や報酬だけでなく心に充実感や達成感、所属感を与えることも多々ある。自身が働ける環境にあり、それがポジティブに作用し育児に前向きになれるきっかけになるのなら、働くことで子供を保育園にいれることは十分善となりうる。

マザーリングについてはなるほどなぁって感じ。どっかの国(フランス?)の文化では乳児期に赤ちゃんが夜泣きしてもそのままほっとくとかっていうよね?あれもよくないってことよね。専業主婦と働く妻については至極そのままかなと思った。でもフロイトのいう通り、働くことってありがたい側面たくさんあるよね。仕事は大変だけど、必然的にいろいろ話すし、毎日いろんなことが流れていくし、給料っていうわかりやすい成果物が生じるし、そもそも通勤の電車とか駅までの徒歩とかもなんだかんだリフレッシュというか、生活にリズム感出るし。専業主婦はそれが丸々ないんでしょ?無理だわ、僕(笑)あと、仕事はロジックで正義を語れるからいいよ。育児はそうはいかない。子供が「ご飯食べたい」っていうからご飯出したら「そうじゃなくてアンパンマン見たいの!!」とかっていうこと普通にあるからねwwwあの方程式の解き方誰か教えてくれw


カナダの子育て支援の標語は「保護する者を保護せよ」(P181)。それだけ、周囲の保護のない状態での育児は大変。フォルクスワーゲンは従業員3万人の余剰人員が出た際に、解雇する代わりに全従業員10万人の労働時間を20%ずつ短縮し、その一方で賃金も20%カットするという方法で、従業員側にも雇用主側にも大きなメリットを生んだ。仕事を分配する『ワークシェアリング』の考えは育児参加者を増やせる点では有効。


一人当たりの仕事負担を分担することで時間も分配し、その効果としてみんなで育児に参加し合うことが有効だと。これは国絡みのデカい仕組みが必要だからなかなか難しいと思うけどね。ただその結果で子供が保育園にいくことは決して育児の上ではネガティブではないとのことが本の中で示されていたのでそれはよかった。実はご縁あって、来月4月からうちの白玉は2歳半ながら保育園デビューする。保育園についてはそもそも『空き枠的に入れない』っていう問題があったけど、もう一つ『入れるべきか(=保育園に入れるメリットとデメリットはなにか?)』って問いがあった。保育園に入れるメリットは一見『社会性を身に着ける』『友達が出来る』ってのが最有力だけど、よく考えるとそれは保育園に限ったことではなくむしろ普段家に来るたくさんの人たちと人見知りせずに話すことや公園で初対面の子と砂遊びすることで十分だと思ったり。でもデメリットによく上がる『風邪をもらいやすい』ってやつも逆を言えば『風邪をひくことで今後の免疫力も付く』っていうメリットも浮かび上がってきて、結局保育園を賛否するうえでヒントとなる要素がなかったんだけど、シンプルに『親がどちらがポジティブに育児に向かえるか』でいいと。うん、わかった。じゃあ4月以降、白玉を保育園に行かせる分、二人の時に今以上に鬼のように絡んでやる。覚悟しとけよ、白玉w

というわけで、深読みすると、『育児は自らの鏡』ってことなんじゃないかな。その人の育児がいいかどうかは、その人がポジティブな気持ちで育児に向かえているかどうかという。その点、最近の僕はいいと思う。年末年始とか、今考えるとちょっと色々疲れすぎてて怪しい時期があったけど。うん、今は研ぎ澄まされてきたと思ってる。妻やその母を始め、周りの皆様のお陰さんだね。
『妻のトリセツ』や『夫のトリセツ』に続き、この本も育児をするうえで妻側だけでなく夫側にも是非読んでいただきたいと感じました!


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