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清居が平良に執着するその心理と、ふたりの未来【清居はなぜ平良からの愛情表現に拘るのか?】

 『美しい彼』S1(※1)でまだ平良への想いが成就する前の拗らせた恋心を、自分から平良に伝えるという選択肢が全くなかった清居。
プライドや意地になっていた点もあるが、
清居が常に平良からの行動や言葉だけを切に求めていたこと、さらに平良への執着へと加速していく点に着目して深層心理をのぞいてみたい。(実写軸ベース)

 子どもの頃に充分に形成されなかった愛情の基盤は大人になっても修復されることはないと、大学の頃に習ったことがある。
[心の基盤]の安定度は人間生活をしていく中で様々な壁にぶつかった時にその耐性が問われてくる重要な基礎だ。
 子どもの心の生育は、ほぼ母親との関係性によって基盤がつくられるが、清居は鍵っ子で母親とのコミュニケーションの時間が少なかったこと、さらに再婚し兄弟ができたことにより、得るべき愛情が欠如したまま育った。

 清居が子どもの頃アイドルに憧れてテレビの中に入りたいと思ったのも、ずっと母親にかまってもらいたい、もっと自分を見てもらいたいという満たされなかった気持ちの表れだ。そうして育った清居の"愛情を司る器"には穴が空いたまま。満たされて水がキープされることはきっとないのだと思う。


 清居は平良への気持ちがまだ恋心かどうかも気付かぬ間から、平良の気持ちの中身を確認するために、無自覚とはいえキツイ言葉や態度で接することで、何度も何度も平良の気持ちを量っては見定めていた。
 その姿は恋する乙女心としていじらしくもあり、警戒心でもあり、期待しないための防御でもあった。また、切実さが見え隠れもしていた。
時に、母親から満たされるはずだった無償の愛を必死に求めているようにも感じられるほど。

 自分に向けられる平良からの言葉や行動、
"見つめられる"ことに拘ることも、清居が無意識に愛情を求めているからだと思う。
そして舞台の上で見つめてくる何百の瞳よりも、平良の"世界にたったひとりしかいないというくらい深く熱い眼差し"だけが、完璧に自分の飢餓感を埋めてくれると気づいてしまったことにより、清居の平良への執着は益々強固になっていく。

 しかし切ないのは、そんな強い平良の眼差しであっても、どれだけ注がれても満たされたとしても、
幼少期に形成された愛情の器の作りの問題でまたすぐに不安になってしまうことだ。

だから清居は平良の愛を確認する。
寝たフリを繰り返している(推測)のも、平良の自分への気持ちを確認せずにはいられない行為だ。

 ちゃんと自分を見ているか。
ちゃんと自分を好きか。離れていかないか。
見つめ続けることが愛情の証明かのごとく。
何度だって確認してしまう。

清居の愛情確認はエンドレス。
平良の揺るがない執着と途切れない永遠の愛は失えない。
執着の塊な平良でなければならないのは必然。
どこまでも追いかけて、その瞳で深く見つめて、
想いを注ぎ続けてくれることが清居の魂の祈りだと思う。


 平良に出逢ってやっと背中を預けられる場所を見つけられた清居。そしてS2(※2)を経て、エターナル(※3)で永遠を誓ったふたり。
でも平良という存在に出逢ってしまったから、
もう平良がそばにいることでしか、本当の意味で清居は心の安寧を保つことはできなくなってしまったように思う。
平良を失った人生を、清居はこの先もう1秒も考えられないだろう。
清居はこれから人生で唯一の存在を手にした幸せと同じ重さで[唯一【平良】を失う恐怖]とも共存していくことになるのだと思う。
 それでも、平良の揺るがぬ愛とその果てしない執着の強さに救われ続けていくのだろうと思う。


 強烈な執着と執着の絡み合う相互依存。
唯一無二のふたり。
手を繋いで歩くふたりの未来を誰も邪魔できない。
きっと美しいふたりだけの未来は、
狂おしいほど幸せでかけがえのない時間を紡いでいくに違いないと思わせてくれる。



 手の届かぬ輝く星でいるよりも本当はその手で汚されたい。
それと同じくらいどこまでも優しく慈しみの愛で抱きしめられていたい。

 囚われているのは清居の方
 所有されたいのは清居の方
 暴かれたいのは清居の方
 証が欲しいのは清居の方
 平良を失えないのは清居の方

平良という唯一に焦がれて、
平良という鎖に繋がれる。
それは魂を蝕む甘美な毒にも似ているかもしれない。

END



拗れた清居の愛情へのスタンス。
愛情の器の欠陥のせいで不安が募っていく。
でもそれはこちら側から見える景色でしかなく…。
清居自身はこの飢餓感の仕組みに無自覚だということが、更に切なく愛おしく思わせる部分だ。
判っていないから平良に対して余計に拗れていく。
自分の事が1番分からない。平良も清居も。
分からない。自分も相手も。
それでも互いを求めて足掻く姿が、同じ人間として共感を呼び、ふたりを見つめずにはいれなくさせる。

S1の清居のツンツンした態度は、平良だけにしていることだ。
平良にだからこそできる態度だと思うと、清居がいじらしくて愛おしくてたまらなくなる。
清居は試してもいるけど、結局は最初から平良を信じたいという気持ちがある。それがいつしか完全に信じるに変わっていっていることが感じられるから、高校生の平良と清居のふたりの時間を観るのがたまらなく好きだ。
これからも何度も何度も観続けると思う。
S1あっての『美しい彼』なのだと何度も噛み締めて止まない。
激重長文を読んでくださった方へ🌹
本当にありがとうございます🙏💐

※1)S1→『美しい彼』シーズン1の略
※2)S2→『美しい彼』シーズン2の略
※3)エターナル→『劇場版美しい彼〜eternal〜』の略


2023/06/28
2024/03/16  X投稿したポストを加筆訂正してまとめました。

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