コロナ禍のひきこもり支援① バイトが突然消えた…

ひきこもりの当事者にとって、コロナ禍での外出自粛はどう受け取っているでしょうか。けっこう評価が難しい問題です。

短期的に見ると、年度替わりの新鮮なフレッシュマンが誕生する時期というのは、心の中で「自分だけ取り残されている…」と危機感を抱く、あまり楽しくはないと感じる当事者が多い時期です。中には、そんな元気な若者の旅立ちや新生活の情報に頑なに目や耳を閉ざしてしまう人もいます。

未成熟なパーソナリティーの残る人にとって、嫉妬という感情は、人生をもてあそぶ厄介な代物です。

ただ、このコロナ禍でみんなが自粛していると、しかも中には採用取り消しの憂き目に遭うフレッシュマンも出るなどしていると、「自分だけが取り残されている…」という不安や嫉妬はおさまる人が全体の半分くらいはいるようです。もちろん、花粉症の季節が終わっても、堂々とマスクをつけて買い物などにも出かけて、自分の姿や容姿を他の人にさらさなくてすむため、外出のしやすさから少し楽になった人もいます。

また、障害年金などをもらっている人の場合は、自粛騒ぎになっても、経済的に大きく打撃を受ける人は多くはないこともあってか、比較的落ち着いているようです。

とはいえ、つらさやしんどさを味わう人も3割以上はいるようです。そもそも新型コロナは目に見えない、治療法のない、感染すれば 死ぬ危険性もある感染症です。病気としてのコロナの恐怖や、さらに経済が打撃を受けて自分の生活がどうなるか不安に襲われ、自ら命を断とうとした人も出ています。

さらに自粛が長引くことで、なんとかわずかな息抜き先を見つけて、癒されている当事者が、その息抜き先に行けなくなってしまうこともあります。そして、つらさをエスカレートさせて、ストレスを蓄積しているケースがあります。

例えば、なんとかジムには行けるようになった人がジムに行けなくなる。あるいは、サウナでストレスを発散している人が、サウナにいけなくなる。また、映画館に行けるようになった人が行けなくなる、などです。そして、ストレスをつのらせて、ひきこもり状態がひどくなったり、抑うつ的になったり、逆に荒れたりする人もいます。

また、なんとかアルバイトをできるようになった人はどうでしょう。せっかくバイトを始めたのに、そのバイトが自粛騒ぎでなくなってしまい、途方に暮れている人が少なからずいます。

そして、元気になってから、再び停滞状態(再ひきこもり化)に陥って、1ヶ月、2ヶ月と経過すると、仮にそこで外出や経済活動が自由に行えるようになったとしても、その流れについていけないひきこもりが多いです。 つまり、他の人は動き出しても、こんなひきこもりの人はそのままひきこもり続けることがあります。

誰がどうなるか。それはわかりません。ただ、支援者としては、コロナ後の先も見据えた支援をしていく必要がありそうです。

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Kiyoshi Ishikawa
サポートしていただければ幸いです。長期ひきこもりの訪問支援では公的な補助や助成にできるだけ頼らずに活動したいと考えています。サポート資金は若者との交流や治癒活動に使わせてもらいます。