コロナ禍のひきこもり支援⑤ 半沢直樹は大人のチート信仰!?
先日、あるひきこもりの若者と話しました。
コロナ禍でも訪問して直に面談することはけっこうあって、3分の1以上は直に面談しています。半分以上はモバイル面談になっていますが。
その話の中で、最近のライトノベルやアニメの流行の話になりました。
いわゆる「なろう系」(小説家になろう、というサイトに多くみられるライトノベルの一つのパターン)といわれる転生チートもの(まず今の世の中で事故などで死ぬなどして、別世界に生まれ変わる=転生する。すると、不思議なことに最初から最強、最高、そして時にはモテモテになっているというもの)の話から始まりました。
これは少なくない若い人たちの潜在的な欲求や願望を反映しているものではないかというわけです。この議論については、いろいろなところでされていますね。全部がどうなのかはともかく、そういう傾向があるのは僕も間違いないと思います。
ところが、そこで話はテレビの半沢直樹の話となりました。
そのひきこもりの人は「半沢直樹は大人たちのなしえぬ欲求や願望を形にした、大人のなろう系物語ではないか」というのです。
つまり、大人たちは現実には会社社会の中では上司や取引先の嫌な相手に「倍返しだ!」とか「堂々と正論で言いまかす」ことなど転んでもできません。いわゆる「大人の対応」をして、対立せずに丸く抑えます。
だから、ストレスもたまります。
そして半沢直樹などがヒットしているのは、ようは若者のなろう系にみられるチート願望(最強願望)と同様、会社社会でのチート化願望をひそかに反映しているのではないかというわけです 。半沢直樹などでは、いろいろありながらも最後は必ず「倍返しだ」の決め台詞が決まることになります。いわば安心してみられる番組で、そう考えると、昔の水戸黄門シリーズ(最後は逆転の印籠でスッとする)とも同じかもしれません。
考えてみれば、今はコロナの影響で会社に行かなくなって、そのせいかどうかはわかりませんが、自粛中はサラリーマンなどの自殺もどうも減っているようです(これから経済危機で増えるかもしれませんが)。会社に行くのはとんだストレスと感じる人も多いようで、テレワークや家庭での巣ごもりもあながち悪いばかりではないかもしれませんね。
努力しないで最強になりたい、成功したいという欲求や願望は、今も昔もひそかに多くの人の心の中にあったものかもしれません。