動的姿勢評価について【身体機能的評価】

身体の機能的な評価には様々な手法があります。
例えば立位体前屈という方法で、立った状態から腰を曲げて前屈し床に指先がどの程度届くかというものです。
小学校の時にこのようなテストが体育の時間にあったことを覚えていますが、これはFFD(Floor Finger Distance)という評価方法としても実際に用いられています。
このFFDの評価対象は下肢後面の筋肉(殿筋群、ハムストリングス、下腿三頭筋など)の柔軟性、腰椎屈曲の可動性、股関節屈曲の可動性、膝関節伸展の可動性、足関節背屈の可動性というものです。
床からプラスマイナス何センチという計測であれば、その数値が判断の対象となりますが、動的機能を評価するという視点になりますと、FFDにおいては

例えば
▶︎腰部を屈曲していく際に殿部を後方に引いていないか
▶︎屈曲時に腰椎の屈曲を誘発できているか
▶︎前屈の際に頚部を伸展していないか
▶︎体幹を真っ直ぐ前屈しているか
といったポイントを挙げることができます。

これは言わば、
「数値として現れないものを見る」
ということであり、動きが終わってからでは見逃してしまうものかもしれません。

顎関節を例にとると、口が開くときというのは、上顎に対して下顎が下制をすることで開口が成立します。
この際、左右の顎関節や関節円板、開口に関わる筋肉などが正常に機能していれば上顎に対して下顎が垂直に下制しますが、何かしらのトラブルが生じている場合には下制時に右や左に下顎がブレる場合があります。
このような現象を「偏倚:へんき」といいます。最終的には上顎に対して下顎も真っ直ぐゴールするとしても、動きの最中には正常なルートを脱して寄り道をしてしまう場合があるのです。
このような現象は顎関節のみならず、全ての全身運動において生じる可能性があり、動く前、動いた後だけの観察では重要なボディランゲージを見逃してしまうことになります。

このような身体の機能評価をする際には、あまり学問や理屈で考えずに自然を眺めるように人体の動きを見てみて下さい。

森の木々が風に揺れるように、川を流れる水のように、人間の身体も本来は自然で角のない美しい動きを持っています。

身体をアートな観点でみる、時にそんな意識が必要になると考えています。

IMIC 石川貴章

いいなと思ったら応援しよう!