【小説】機械のような少女　アズラベール　プロローグ

仄暗い塔の中を、表情のない顔で降る少女。 塔の中心に、塔を突き抜けるような勢いで備え付けられた螺旋階段を、革靴を履いて無心で降るこの少女の名はアズラベール。 歳は15歳、つい数週間前に中等部を卒業したばかりである。 そして、彼女の容姿でよく人の目を惹くのは、この辺りの地域では珍しい、黒い髪と真っ黒な瞳。 それを証拠に、彼女は、同じように一族の9割が黒髪・黒目を持つことで有名な名門、モルガン家の1人なのだった。 そのアズラベールの片方の手に握られているのは、１枚の写真。 そ