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「なぜ初陣で見せるものが大事なのか」 (ACLE MD7・浦項スティーラーズ戦:4-0)
「とにかく入りのところをしっかりとやろう!」
初陣となる試合前のロッカールーム。指揮官である長谷部茂利監督からは、立ち上がりの重要性が強調されたと選手は証言します。
ゲームの入り方は、キャンプからのチームの課題でもありました。だからこそ、長谷部フロンターレの初陣で、「ふわっと入ること」だけはあってはならなかったのでしょう。
内的要因だけではありません。外的要因も立ち上がりからアラートに戦わなくてはいけない理由でした。日本勢にとっては、難攻不落のスタジアムである浦項スティールヤード。この日のキックオフ時の気温は6℃。想定していたマイナスにはならなかったものの十分な寒さです。
そして、まるでコンクリートのような硬さだったというピッチ。試合翌日のGK山口瑠伊に聞くと、「びっくりしました」と苦笑いし、明かしてくれました。
「もう・・すごく硬かったです。これ(地面のアスファルト)ぐらい硬かった(笑)。試合が始まるとスイッチが入ってアドレナリンが出るんですけど、公式練習の時にびっくりしました。セービングで飛ぶと、(着地で)毎回痛かったです」
コンクリートのように硬いピッチで横っ飛びするなんて想像もしたくないものです。もちろん、GKだけではありません。ピッチを動き回るフィールドプレイヤーにとってもだいぶ勝手が違ったようでした。新加入選手である伊藤達哉が明かします。
「ピッチが相当硬くて難しかった。止まる動きや方向転換が難しかったです。なかなかうまく自分の守備からいい形でというのがあまりなかった。そこは反省です」
どの選手も体験したことのないほどの硬いピッチで、ときに踏ん張りや自由が効かない。実際、前半終了間際には三浦颯太とタッチライン側でもつれたジュニーニョが止まることができずに、フロンターレ側ベンチにいたチョン・ソンリョンと激突するという出来事がありました。浦項のジュニーニョは新加入選手なので、彼はこのピッチに慣れておらず、うまく踏ん張りが効かなかったのかもしれません。
つまり、どんなイレギュラーなことが起きてもおかしくないゲームでした。しかし終わってみたら、4-0で勝利を飾っています。
ポゼッションでは下回るものの、前半に打たれたシュートはゼロ。守備で相手をうまくコントロールしながら、試合を進めることができていました。1点リードしていた後半は、一人少なくなった相手を攻め立てて3得点。見事な勝利でした。
では、困難も多かった難攻不落のスタジアムで、長谷部フロンターレはいかにして勝利を持ち帰ってきたのか。選手の証言も交えながら、たっぷりと振り返っていきたいと思います。
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