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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第36節・京都サンガF.C.戦)

11月9日はサンガスタジアム by KYOCERAで京都サンガF.C.戦です。

火曜日にACLエリートの上海海港戦があったため、川崎フロンターレは中3日での連戦となります。対する京都サンガは、優勝争いをしているサンフフレッチェ広島をアウェイで撃破。リーグ戦は連勝しています。一週間のインターバルがある中で、この試合も入念に準備してくると予想されます。

 シーズン序盤の等々力での対戦は、京都に0-1で敗戦しました。川崎戦の決勝弾を京都の川﨑が決めるという少し紛らわしい決着でした。

なおこの試合はその川﨑颯太が累積警告により今節は出場停止。こちらは脇坂泰斗が負傷で欠場ですから、お互いに中盤の主軸であるキャプテンを欠いた対戦ということになります。

 サンガスタジアムでの試合といえば、去年はあまりに劇的な勝ち方をしました。

 覚えている方も多いと思います。
0-0で迎えた後半のアディショナルタイムの小林悠による劇的ヘディング弾。大島僚太からの絶妙なクロスを頭で合わせて、ゴールネットを揺らしました。

 倒れながらゴールネットを揺らした小林悠は、素早く立ち上がると、ユニフォームを脱いでゴール裏に詰めかけていた川崎フロンターレのサポーターに向かって駆け寄っています。そして脱いだユニフォームを力強く掲げていました。

 祝福するチームメートにもみくちゃにされていましたが、それでも自分のユニフォームを掲げ続けていたのです。自らの背番号11を見せ続けていましたが、その訳を試合後にこう語っています。

「試合前にも11番のユニフォームを着ているサポーターがチラチラ見えていたんです。今年はなかなか怪我が多くて、そういうサポーターにも不甲斐ない気持ちがあった。それでもアウェイの京都まで駆けつけてくれた11番のユニフォームを着たサポーターを見て、『俺はまだ決められるぞ!』というのを見せたかった。『やってやったぞ!』と。決めたらやろうと思っていました」

 自分を応援しているサポーターのために。
ユニフォームを脱いだことで(非紳士的行為として)イエローカードをもらいましたが、それでも思いをサポーターに伝えたかったのです。それが小林悠というストライカーです。

 そしてもう一つ。家族のためでもあったと言います。

「僕がゴール決めていなくて、泣いている息子の動画があるんです。それを試合前に見て、『絶対に決めてやろう』って。ハーフタイムにも見て、その感情のままピッチに入ろうって」

サポーターのため。愛する息子のため。そして、何より自分のため。

去年の小林悠の劇的ゴールは、そんないろんな想いが詰まった決勝弾でした。もしかしたら、今は「鬼木監督のため」という思いも乗っているかもしれません。

 大島僚太からのパスで決めるゴールも、今年はまだ見れていません。2年連続弾を期待しつつ、そんな大事なゲームの見どころを語っていきたいと思います。


※上海海港戦の勝ちレビューとなります。試合翌日の公開練習後の囲み取材による、鬼木監督に関するコラムを二つ追記しています。一つは試合後に長く話し込んでいたケヴィン・マスカット監督とのエピソード。もう一つは、自身の退任が決まったことを告げた際の、ご家族の反応について。貴重なお話を聞かせてもらったので、ぜひどうぞ。全部で約14000文字のレビューとなっております。

→■(※追記2)「(息子に)『辞めることになったから』と話したら、涙ぐみながらご飯を食べていました。それで、こっちもグッと来てしまって。そこから、みんなでもらい泣きではないけれどね・・・」(鬼木監督)。指揮官が明かす、退任を告げた日の家族の反応。そして、鬼木家に流れていた8年の歳月に思うこと。

では京都戦のプレビューをスタート!

※追記してます。→■「ミーティングの映像が出た時に、俺のところにもう丸がついている(笑)。そのぐらいの感じでした」(佐々木旭)。恩師であるチョウ・キジュ監督を語る佐々木旭。あのオウンゴールから2年。自らの成長を示す舞台がやってきた。


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