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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2022:パリ・サン=ジェルマン戦)
7月20日は国立競技場でパリ・サン=ジェルマン戦です。
「Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2022」と銘打たれたツアーの一環ですね。メッシ、ネイマール、エムバペ・・・世界トップクラスの選手たちがいるクラブが来日。そして最初にJリーグ王者である川崎フロンターレと対戦します。
川崎フロンターレが海外の強豪クラブとの対戦した試合でいうと(ACLを除く)、ここ10年では2015年にドイツのドルトムント、2019年にイングランド・プレミアリーグのチェルシーFCがありました。
2015年に等々力競技場で完敗(0-6)を喫したドルトムント戦は衝撃的だったものです。当時のチームを率いていたのは風間八宏監督。2015年といえば、風間体制になって4年目。ボールを扱う技術を磨き、「ボールを握るサッカー」を展開している真っ最中で、チームスタイルとしてはかなり先鋭化していた時期です。当時の主力は小林悠、中村憲剛、大島僚太、谷口彰悟、車屋紳太郎といった面々であり、引退した中村憲剛を除くと皆現在もチームに在籍しています。今のフロンターレにもつながっている面々がいたことがわかります。
しかしそんなボールを握るスタイルを掲げ、技術で勝負するチームが真っ向勝負を挑んだところ、完全なる力負けを喫しました。あれよあれよと失点を重ね、ドルトムントにコテンパンにやられています。
この試合で目の当たりにした力の差は、当時ヘッドコーチだった鬼木達もショッキングだったと話していたほどです。それだけに自身が監督として率いて臨んだ19年のチェルシー戦では、ドルトムント戦の反省も踏まえて、Jリーグチャンピオンとしての自分たちの力量を図る一戦だと位置付けた上で挑んでいました。
試合自体は前半から苦しい展開でしたが、谷口彰悟とジェジエウを中心とした守備陣が水際で耐えスコアレスで後半に。試合終盤、中村憲剛の浮き球をレアンドロ・ダミアンのヘディングで叩きつけて1-0で勝ちました。
世界的な強豪クラブであるチェルシーに勝利。満員の日産スタジアムに響いたバスケットケース。そして試合終了前に歌い上げるアバンテも最高でした。
今回のPSG戦はどんな試合になるのでしょうか。
こういう親善試合では、やはり「自分たちに足りないもの」を見つけるという視点になりがちです。しかし、今回の鬼木監督は違います。
「足りないもの」ではなく、むしろ「何が通じるのか」。そういうものを見たいと言っていたんですね。
「足りないものを探すのは簡単なことですし、選手自身が感じることが多いと思います。むしろ、何をやれるのか。自分たちが積み上げてきた攻撃がどれくらい通用するのか、そこを見たいです。あとは守備のところでも、選手にも言いましたが、『これぐらい』という感じでプレーしていたら、やられてしまうレベルだと思います。自分たちのサッカーを突き詰めていく上で、ひとつの基準になると思います。そのあたりを見たいです」
自分たちがどこまで通用するのかを確かめながら、その基準も教えてもらう。
ではそんな一戦のポイントを語っていきたいと思います。今回は、試合二日前の濃厚なトレーニングを麻生グラウンドで取材できたので、そこも触れながらプレビューを展望していきます。
では、スタート!
■気になるスタメン予想。谷口彰悟、山根視来、脇坂泰斗が日本代表により不在。この3人の位置に入るのは誰だ?
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