「大事な人がいなくなるとチームは強くなる」(FUJIFILM SUPER CUP 2024・ヴィッセル神戸戦:1-0)
国立競技場での「FUJIFILM SUPER CUP 2024 」は1-0で川崎フロンターレが勝利。3度目のスーパーカップのタイトル獲得となりました。
決勝点を決めたのは、ファン・ウェルメスケルケン際です。
後半3分、セットプレーのこぼれ球をクリアしようとした山口蛍の間合いに詰めていくと、ブロックした足に当たったボールが、そのままゴールネットに吸い込まれました。
試合前日のオンライン会見に出席し、メディア対応。
前夜にはtvkの「ファイト!川崎フロンターレ」で自分がインタビューした様子が流れたのをテレビで見ていたので、「明日、活躍してくれるといいなぁ」ぐらいに漠然と思っていたのですが、まさか決勝弾を決めてしまうとは。いくらなんでも、出来過ぎですね。
日本でのプロデビュー戦でいきなりのゴールに、本人も喜びを口にします。
「こぼれ球を狙っていたので、転がってきてくれたのはうれしかったです。その中で運もありましたが、結果的にしっかりゴールを取れたので本当にうれしかったです」
自身も認めたように、こぼれ球自体は狙っていても、ちょっとした運も味方して転がり込んできたゴールだったと言えます。その意味で、この日の国立競技場にいたサッカーの女神は、オランダ帰りの彼にちょっとだけ優しかったのかもしれませんね。
ただ、それが来ても掴み取る実力がなければ、サッと通り過ぎてしまうものが運というやつでもあります。彼はそれを見逃さなかったし、何より勝負の際(きわ)とは、そういうところに潜んでいるものだと思います。
試合後のミックスゾーンでは、テレビ取材だけではなく外国メディアからも取材を受けていました。
たくさんの取材がありすぎて、最後に行うペン記者陣の囲み取材の時間がほとんどなくなってしまうぐらいの人気ぶりでしたよ。まさに名刺代わりのゴールでしたね。
試合の方はというと、天皇杯王者である川崎フロンターレは、直近の公式戦であるACL・山東戦から11人全員を入れ替える完全ターンオーバーを実施しています。鬼木監督が同カテゴリーの相手に、11人全員を完全に入れ替えて臨んだ公式戦というのは、正直、あまり記憶にないですね・・・ありましたかね?
去年であれば、天皇杯優勝直後のACL・蔚山現代戦、真夏の天皇杯準々決勝・アルビレックス新潟戦からセレッソ大阪戦のアウェイ2連戦など、超過密日程の際に大幅な入れ替えがあったのを覚えています。ただ前者では瀬古樹、後者では大南拓磨と、連続スタメンになった選手はいましたので、11人全員は入れ替えていません。
一昨年(22年)はACLの集中開催による超過密日程がありましたが、GKチョン・ソンリョンがグループステージ全6試合をフル出場しましたからね。
下のカテゴリーが相手になる天皇杯での総入れ替えは過去にもありましたが、同カテゴリーの相手と対戦する公式戦となると、あったかどうか、すぐには思い浮かびません。いずれにせよ、過去7シーズン指揮を執ってきた鬼木監督の傾向からすると、8年目の珍しい決断だったと言えます。
一方、Jリーグ王者のヴィッセル神戸は、現状でのベストメンバーに近いスタメンだったように感じました。
前半は、ピッチ状態も影響したのか、両チームとも長いボールを選択する展開が多くなっています。
こうした狙いがどこに合ったのか。そして、なぜ川崎フロンターレが勝てたのか。試合を振り返っていきましょう。
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