【試し読み】島二郎はなぜ尻を見せるのか #C103新刊 #ちいかわ考察
※2024/05/17追加
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詳しくは下記!
※本記事は執筆途中の原稿を掲載したものです。完成版とは多少異なります。予めご了承ください。
第一章 イントロダクション
はじめに/本書執筆の経緯
(試し読みでは割愛します)
考察テーマ設定
本書における考察は基本的に「島二郎は何故尻を見せるのか?」という問いに対する答えを出すことを目的とします。そのため『ちいかわ』という作品全体の包括的な作品論や作家論を提示することは目的としません。ただし、右記の考察テーマに付随する形で島二郎というキャラクターや「島編」、もしくは『ちいかわ』という作品についても、考察結果を踏まえて本書後半で少しだけ持論を述べたいと思います。
考察する作品の範囲は、島二郎が登場する「島編」を中心とします[1]。ただし、それ以前のエピソードについても必要に応じて適宜触れます。
「島編」より前のエピソードを参照する際は、講談社より刊行のコミックスに収録されている範囲(第5巻収録の「黒い流れ星」編および「モモンガは」まで)はコミックス版を、それ以降はWeb掲載版を対象とします。また、特装版の付録や関連商品なども一部参照します。
以上が本書におけるおおよその考察テーマ設定でした。それでは早速、次の章から考察に移りたいと思います。
第二章 データで見る島二郎の尻
データの算出方法
「島二郎は何故尻を見せるのか」という考察テーマに取り掛かるためには、まず「島二郎が尻を見せていた」という事実を確認する必要があります。
そこでまず「島編」全129回において島二郎が登場したエピソード数とコマ数、島二郎の尻が確認できるエピソード数とコマ数をカウントし、その比率を割り出しました。
ただ、その比率がどうあれ、もし島二郎以外のキャラクターの方がより積極的に尻を見せていたのだとしたら、相対的には島二郎はそれほど尻を見せていたとは言えなくなってしまうかもしれません。そう考えると島二郎に関するデータを取得するだけでは不十分なように思えます。
そのため「島編」に登場する他の主要キャラクター12名、すなわち、ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、ラッコ、カニ[2]、モモンガ、一葉[3]、双葉、くりまんじゅう、シーサー、セイレーン、人魚についても同様の項目でカウントし、各種比率を算出しました。これによって相対的にも絶対的にも各キャラクターがどれだけ尻を見せているかを数的に判断できると考えられます。
各種数値を集計にあたっての基準は以下のように定めました。なお、これは私の主観に拠った便宜的なものですので、基準に違和感がある方はぜひご自身でチャレンジしてみてください。
□集計基準
何をもって対象のキャラクターが登場しているとカウントするかは、そのキャラクターの身体が一部でもコマ内に描かれているかで判断した。声(吹き出し)のみの場合はその場面に登場していると判別できる場合もノーカウント(今回の集計の主目的は尻を見せているか否かであるため)。
吹き出しの中に描かれるキャラクターの顔は、登場回数には含まない。
キャラクターが想像している図に描かれるキャラクターは、登場回数には含まない。
回想シーンは原則的に登場シーンにカウントするが、回想している主体となるキャラクター自身が同一のコマ内に描かれている場合はノーカウントとする。
鎧さんはレギュラーキャラクターではあるが1回しか登場していないため集計から除外。
人魚は二匹または三匹を1としてカウント(個体を識別できないため)。
尻が出ていると判断する基準は、丸出しでない場合は主に尻のアンダーラインが出ているか否かを判断基準とした。尻尾は出ているが尻のアンダーラインが見えない場合などはノーカウント。
対象キャラクターが真横を向いているアングルの場合、尻が見えていてもノーカウント。
セイレーンと人魚の尻尾はノーカウント。
背面が見えているが衣類やマント、尻尾などによって尻が見えない場合は「尻(着衣等)」とし、別カウント。
リュックなど衣類や尻尾以外によって尻が隠れている場合はノーカウント(「尻(着衣等)」にも含まない)。
これらの基準を元に数値を算出し、表にまとめたのが巻末の「島編における各キャラクターの尻見せ早見表」(命名・妻、以下、表)です。次の項にてこの表の項目や数値について解説します。
表の各項目解説とデータ概説
まず表の各項目の意味についてご説明します。「エピソード番号」は2023年3月14日の投稿を1番とし、便宜に付けさせていただきました(公式的なものではありません)。イラストのみの6月25日の投稿はこの番号から除外し、11月26日の投稿を129番の最終回としています。
「コマ数」は各回のコマの数、「尻数(生)」は尻が露出した状態で描かれているキャラクターの総数、「尻数(着衣等)」は、尻が衣類や尻尾などで隠れているキャラクターの総数をカウントしたものです。ラッコ師匠はほぼ毎回マントで尻が隠れていますし(例外はセイレーンに尻を確認するためマントをめくられた7月22日の投稿での1回のみ)、モモンガは多くの場合尻尾で尻が隠れています(7月25日の投稿1コマ目のロングショットなど)。
キャラクターの「登場コマ数」についてはメインどころを左から登場順に記載し、各回ごとに何コマ描かれているかをカウントしています。
「尻(生)内訳」「尻(着衣等)内訳」は先述の各総数の内訳になります。「備考」欄には本考察に取り組むにあたって気になった要素を記述しました。
表の最下部には各数値の合計に加え、各キャラクターの登場話数、登場率、生尻出回数、生尻出話数、各種生尻出率などを記載しています。各率の小数点第二位以下は四捨五入しています。
なお、カウントは全て人力ですので、データに間違いがあることも十分考えられます。その点はご了承ください。
ちなみに、この表は先述の通り今回の考察テーマの分析のために作成したものではありますが、数値を見るだけでも興味深い発見が得られます。
たとえば、「島編」における主人公・ちいかわの登場率は約75%であり、物語全体の1/4は主人公不在、というか他のキャラクターが主人公となっていることが分かります(一葉双葉の過去編などが大きく影響しているようです)。またハチワレは登場率約74%とちいかわに肉薄しており、うさぎに10%ほど差をつけています。これは、7月4日の投稿のセイレーンから逃げた先の民家で人魚に関するうわさを知るシーンなどに見られるように、その場にうさぎがいてもちいかわとハチワレ二人にフォーカスしているケースが度々あることが影響しているようです(その場にうさぎがいることはその前の7月3日の投稿から明らかです)。
このような数字から読み取れることの他にも、「島二郎が登場したのは69番目の回だから、129話全体の半分を過ぎた後だったのか」とか「そういえば、ナガノ先生が入院していたため5月は投稿が無かったなあ」「3月半ばに始まって11月末に終わるまで、8カ月半もやってたのか」など、表を見て改めて気づくこともあります。ぼんやり眺めるには面白いデータになっていると思いますので、本書のテーマ以外の点からもぜひお楽しみいただければ幸いです。
圧倒的数字を持つ島二郎
それでは本題である島二郎の数字について見てみましょう。
島二郎は登場したのが物語半ばを過ぎてからであり、登場話数29話(私たちは公式の島二郎を30回も見ていないのです)、登場コマ数100回(でも公式の島二郎の絵を100回見ている)、登場率22.5%となっています。他の多くのキャラクターに比べて登場回数、登場率ともに低く、レアキャラであることが分かります。メインどころで島二郎よりレアなのはくりまんじゅうとシーサーだけです。
一方、尻を出していた回数は……
〈試し読みはここまで〉
以上、C103新刊ちいかわ考察本『島二郎はなぜ尻を見せるのか』の一部を抜粋してご紹介しました。
それでは、この続きは2023/12/30発行予定の非公式考察本『島二郎はなぜ尻を見せるのか』でお楽しみください!コミケでお会いしましょう!
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