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「施行前に生じた事項にも適用する」とは何か?

前回のnoteですが、「適用」とは何か? はやはりわかりません。法務省民事局に確認するしかないと思います。国会議員かその秘書が電話すれば、対応が良いでしょう。ただ、それでも曖昧な回答になるのではないでしょうか。

改めて、附則の条文を引用します。

民法 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第十六条から第十八条まで及び第十九条第一項の規定は、公布の日から施行する。

(民法の一部改正に伴う経過措置の原則)
第二条 第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。 ) の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、同条の規定による改正前の民法(附則第六条において「旧民法」という。 ) の規定により生じた効力を妨げない。

実は、「この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし,旧法によつて生じた効力を妨げない。」という附則はこれまでもよくあったようです。実際に平成23年の民法改正(766条改正)でも附則にありました。

「遡及立法における経過規定の解釈問題」という論文を見ると、

「この法律の施行前に生じた事項にも適用する」とともに,「旧法によって生じた効力を妨げない」という経過規定を置くことが通例となっている6)。しかし,これらが何を意味するのかは必ずしも明らかではない

P221

とあります。つまり、よくわからない。ただし、「遡及適用」のようだという論文です。施行日の後に、遡及適用があるということです。でも、「何がどのように遡及するのかは、よくわからない。個別具体的な内容により違う。裁判で争われることもある」ようです。

戦後の家族法改正において,民法改正法(昭和22年12月22日法律第222号,昭和23年1月1日施行)の附則4条が,「新法は,別段の規定のある場合を除いては,新法施行前に生じた事項にもこれを適用する。但し,旧法及び応急措置法によって生じた効力を妨げない。」と定めたことである。この規定に関しては,次のような解釈が示されていた)。「本文の場合は,但書の反対解釈として,旧法及び応急措置法によって,未だ効力を生じていない場合がこれに該ると言わなければならない。すなわち本文の場合は,『新法施行前に生じた事項』,つまり成立はしたが,効力発生要件を未だ完全に充足せず,従って効力の一部ないし全部を生じていない事項がこれに該ることとなり,この事項については,その残された効力発生要件を新法によって吟味し,その予定されていた効力を発生せしむべきか否かが決せられることになる。これに対し,但書の場合は,新法施行前に成立すると共に,その時の法により,完全に効力を生じつくしてしまった事項が,これに該り,その効力がそのまま維持されることになるのである」。

P244

とありますが、やはり何を言いたいのかわかりません。ただ、「施行日の後に遡及適用がある。何が遡及するのかは、裁判所によって個別具体的に判断される」というようです。

ここから先はまた私の推測ですが、

今回の法改正によって、
「父母の養育義務・扶養義務・協力義務」が規定されました。また、連れ去りは「急迫の事情」がなければ、違法な親権の単独行使になることになりました。

こうした法改正の内容は、施行日の後の親権者判断において、施行日の前に父母の義務を果たさなかったり、違法な連れ去りをしていると、親権争いで不利に扱われるとか、その程度かも知れません。「施行前に生じた事項にも適用する」とは。

とはいえ、やはりよくわかりません。
法務省に問い合わせるルートがある人は確認して欲しいと思います。

とりあえず、離婚前の別居親に現状、アドバイスしたいのは、
①なるべく離婚しないで、共同親権が施行されるのを待ちたい。(いつ施行か不明ですが…)
②養育費や婚費は払って、親の義務を果たそう。(そうしないと親権争いで不利になる)
ということです。

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