第26回 餅は餅屋じゃなくなる世の中
[2013年12月5日]
「餅は餅屋」とよく言われます。何事においても専門家に任せた方が良いという意味でも、専門外のことに手を出すべきではないという教訓として使われる場合もあります。ですが、世の中の変化が早く、「餅は餅屋」と言っていられなくもなりつつあります。
餅だけでは食べていけず餅屋が餅屋以外を始めることもあるでしょうし、それまで餅屋じゃなかったところが参入して餅屋を始めることもあったりします。またそもそも餅が餅じゃなくなって、結果として餅屋じゃなくなることもあります。
実例で言えば、昔は沢山あった八百屋さんや魚屋さんがなくなり、スーパーが取って代わり、今度はそのスーパーの競合としてコンビニが登場。そのコンビニには銀行のATMが置かれ、銀行業務も始めたり。
ウォークマン等の音楽プレーヤーの普及と共に町中に拡大したレコード店やレンタル屋が、今度はその音楽プレーヤーでのネット販売がライバルになり苦境に立たされたり。
ITの進化によってスマートフォンが登場。単なる電話機だったはずがカーナビやゲーム機能までも持つようになり、従来のカーナビメーカーやゲーム機メーカーのライバルになったり。
本やCDのインターネット販売事業者が、今や日用品の販売まで手を広げたり、コインパーキングがレンタカー(カーシェアリング)を始めたり。
社会の急激な変化を目にすると、「そんなのうまくいくわけない!」と、ついつい否定的に見てしまいがちですが、結果としては変化が定着し、いつのまにやら当たり前になっていることがたくさんあります。
進化論で有名なダーウィンが、「最も強い種や最も賢い種ではなく、最も変化に強い種が生き残る」と言ったとか言わないとか諸説ありますが、その昔、地上最強の生物だった恐竜は環境の変化であっさり滅び、環境変化に強かった弱小生物が生き残ったことなどを見るに、強い物ではなくて、変化に柔軟な者こそ生き残るというのは一理あるのではないかと思います。
拙速にただ変わればいいってわけではありません。それまで大事にしてきたモノを失っては元も子もありません。でも大事にすべきは根底にある理念や哲学なのであって、事業や商売のやり方は社会の変化にあわせて柔軟に変わっていく(進化していく)必要があるのではないかと思います。
地域社会においても日々変化しています。私も含め、そんな地域の変化についてとかくネガティブにとらえ、根拠なく「昔は良かった」と懐かしみ、結果、変化について行けなくなるのはよくある話です。弊社も、根底にある理念はそのままに、「巧遅は拙速に如かず」という孫子の言葉を肝に命じていきたいと思います。
(株)フューチャーリンクネットワーク
代表取締役 石井 丈晴