第28回 地域活動家に聞く商店街空洞化の打開策
[2014年2月5日]
先日、宮崎でとある地域活動家の方とお会いしました。その方はご自身でもお寿司屋さんをはじめいくつかのお店を経営しつつ、商店街組合の理事にもなり、加えて諸々の地域イベントや活動を精力的に仕掛けられている方です。冒頭の地域活動家という表現は、彼自身が自分を称しておっしゃっていました。
地域に対する使命感とビジネスセンスの両方を兼ね備えたすばらしい方で、面白い話をいくつも聞けたのですが、その中の一つは、彼が理事をやっている商店街は、閉まったままのお店や空テナントが一つもないというものでした。
彼は、「理事としてシャッター店を出さないように努力するのは当然でしょ」「シャッター店が生まれるのは商店街組合の理事の責任」「商業モールで空テナントがでれば、責任者はクビでしょ」と、事も無げに言い放ちます。
そうは言っても、後継者難、地権者の考え方や税法上の問題等が交錯し、難しいのが商店街。特に歴史がある商店街であればあるほど難しいものです。
どうしているのか聞いたところ、「商店街組合費を、空テナントが出た場合、地権者に払ってもらうルールにしている」とのこと。地権者は店を閉めたままテナントも入れずにいると、安くない商店街組合費を請求され続けるので、テナントを入れるべく努力するのだそうです。妙案です。
商店街の空洞化を代表として、解決が難しい地域の課題はたくさんあります。打開策も見つからず、打ち手もなく、あきらめてただただ衰退していく現状を受け入れているだけの地域がほとんどです。また、仮に今回のように画期的な解決策が出てきても、多くの場合は反対意見に押され、実行されることはほとんどありません。彼も相当な反発があったのは間違いないと思いますが、それでも実行し、結果として奏功したわけです。
地域地域にはなかなかキレイ事では片付けられない事情があります。「反発」と簡単に書きはしましたが、反対する側は反対する側で考え方があるわけで、反対する側や守る側がいい/悪いの話では決してありません。今回の件も乱暴と言えば乱暴です。ですが、それでも突き抜けて動く人物が現れないと根本の問題解決に至らないことが多いのは事実です。
彼のような知識と実行力と熱意を持った地域活動家をどう誕生させていくのか。日本の地域コミュニティの一つの重要なテーマだと思います。
(株)フューチャーリンクネットワーク
代表取締役 石井 丈晴
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