第55回 情報源の確認で真否の判断を
インターネットがすっかり当たり前になった昨今、ニュースを知る機会も従来の新聞・TVから、インターネットで知る機会が増えてまいりました。総務省が毎年発表する27年の情報通信白書でも「ニュースを知る場合に最も頻繁に利用するメディアの推移」に注目し、新聞やテレビからインターネットへ大きくシフトしていると解説されています。
実際に自分の行動を振り返っても、さっと手軽に手元のスマホでニュースサイトやニュースアプリで情報を取得することがすっかり当たり前になりました。見る度になかなかキャッチーで興味をそそるタイトルで、新しい情報が並んでいるので、飽きませんし、それなりに楽しめます。
ですが、よくよく読むと、情報に信憑性が低いニュースがかなり混ざっていることに気づきます。特にいろいろな情報源からニュースを集めて表示をするようなサイトやアプリなどは、情報源を見ると全く聞いたことがないようなサイトやメディアからの情報も配信されています。時には個人ブログからの配信記事がもっともらしいニュースのように並んでいたりします。それらの多くは取材など一切していない架空の情報だったり、全くのでたらめ記事なことが良くあります。普通に考えればとても信用出来ないような情報源のニュースであっても、それが有名な検索エンジンのニュースサイトであり、加えて大手新聞社からの配信記事と同列に並ぶので、ついついしっかりと確認された情報だと錯覚してしまい、多くの人は信じてしまいます。
こういった情報配信元は基本的には閲覧数を稼ぎ、広告収益を増やすことを目的にしています。ですので少しでも多くの人にクリックして閲覧してもらうことをなによりも優先に考えます。ですので、すべてとはいいませんが、大部分の配信元は情報の信憑性よりも、少しでも多くの人に見てもらいやすい(多くの人に興味を持たれやすい)記事を書こうとするわけです。これが過熱化していった結果、極端な解釈、架空な情報、信憑性のない情報が多く並ぶようになってしまっているわけです。これは、かなり深刻な問題かと思います。偏向記事によってやり玉に挙がり直接的に被害を受けた方はもちろんですが(炎上、と呼ばれる現象)、虚偽のニュースに踊らされてしまっている、圧倒的多数の視聴者の方が、被害認識がない分深刻です。偏った批判、不当な攻撃、狭量な差別を冗長し、日本のコミュニティの破壊にもつながるのではないか、と危惧しています。
これは「インターネットは自由な世界だから情報の真否は関係ない」とか、「情報弱者は自己責任」とかで片付けられる問題でもないと思っております。とはいえ、法整備によって規制をかけるのもまた違う議論かと思います。インターネット普及に会わせて、「ネットの情報を鵜呑みにせず、情報源をよく確認し、真否をきっちりと判断する」という情報教育、啓蒙活動が重要なのではないかと思います。
(株)フューチャーリンクネットワーク
代表取締役 石井 丈晴