サントリーバー 露口
ぐびぐび飲みやすい流行りのハイボールに慣れた身には、レジェンドがそっとラワン材の一枚板カウンターの上のコースターに乗せてくれた一杯は、一瞬おや?と思えるほど炭酸がおとなしい。
そして氷が一つ入っただけの8オンスタンブラーということもあって、ややぬるめに感じられて、普段飲んでいるようなタワーで作った強炭酸のジョッキに比べるとまるで違うもののような感覚。
一口目でウィスキーの味がしっかり感じられて、その後からじわりと炭酸の感触がくる。
これぞ、60年前からずっと変わらず提供し続けてきた露口マスターの元祖ハイボールなのだ。
流行り病で、観光客が激減し、「この大街道も人通りがめっきり減ってねぇ」と寂しく笑うママ。でもそのおかげで、なかなか入れない人気店にこうしてお邪魔することができましたから、と。
61周年のコースターを眺めながら、周年ごとに作られたという記念の品々を見せてもらい、佐治敬三氏とのエピソードなんかを楽しく聞く。
気がつけばハイボールばかり何杯も続けて呑んでしまって、すっかり酔っ払ってしまった。
帰り際、このコースター、頂いて帰ってもいいですか?と聞くと、ママさんが「あたらしいのをどうぞ」と、一枚出してくれた。
また来ますので、いつまでもお元気で続けてくださいね。