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塩タタキ

高知へ向かう高速バスの車内で、後ろの席にくっついて座っている、見るからにあからさまに訳ありげな上司と若い女性社員が、高知の鰹のタタキについて喋り始めて、

「高知でカツオ食べたことある?」「もちろんありますよおっ、もう!課長ったらヤダァ」
「俺さ、千葉で鰹のタタキ食べたら血が出てきたからさ、店員に文句言ってやったんだよ、なんだこれは!って」「すごい!さすが課長!」


みたいなことを言ってるので、それは血ではなくてドリップでは?と思ったけれど、むしろこのふたり、なんでコロナ禍なのにわざわざ隣にくっついた席に座ってるんだろう、今夜のお宿は一体どうするんだろう。

「課長、わたしちょっと酔っぱらっちゃったかもしれません・・・」「そ、そうか。ど、どうする?俺の部屋で少し休みがてら飲み直すか?」

みたいな展開が気になって、カツオどころでは無くなった。

まあ、とはいえ塩タタキ、当然食べるんですけどね。

2人前になると舟盛りだ


四人がけのテーブルでひとりでちびちび昼間から呑んでいると、
日本酒はなにがおすすめですか?と、聞いている隣のテーブルのお兄さんたちに、店員さんが
「好みもあるから・・・辛口とか甘口とか・・・」などと眠たいことを言ってるので、隣から
「お兄さん、これおすすめ!」と、どろめでついっーと呑んでいた久礼の瓶を見せる。



「じゃあそれを!・・・お、いいですねえ、コレ」と喜ばれて満足満足。

また次の店で青さのり天を肴にちびちび呑んでいたら、後ろの席のおじいちゃんが
「地酒はなにが美味しいの?」と店員に聞いていて、
「好みもあるから・・・辛口とか甘口とか・・・」などと、またまた眠いことを言ってるので、斜め前から
「おとうさん、コレ!これがおすすめ!」と呑んでいた酔鯨の瓶を見せる。


酔鯨の名は、山内容堂公の「鯨海酔候」から


それ1合?と聞くので飲みきりサイズの瓶は300mlだから1合半から2合弱ってとこかなあ・・・、と答える。

「じゃあ、それもらおうか」
からの
「美味いねえ、コレ」


そんなひろめ市場ぜよ
たっすいがは、いかん!

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