大吉
夕方の開店時間をめがけて店の前まで来たものの、まだ開いてなかったためしばらく行ったり来たりして時間をつぶす。
入り口が開くと同時に飛び込むのもなんとなく気恥ずかしい気がして、通りの反対側で意味もなくうろうろとしたりして。
同様に口開けを目指してきたらしき常連さんをひとりふたり見送ったあと、満を持して入店。
カウンターの隅でまずは大瓶を。
イカ団子が名物、と聞いていたので早速注文。
これが実に美味い。なるほど、これは、うんうん。
噂に違わぬ逸品でした。
どろめ
さて、次は何を食べてみようかなぁとメニューを眺めていたら、背後からお店のおばちゃんが、「イタドリはどう?」と。
イタドリ?鶏肉かなにかのことかな?と思っていたらなんと出てきたのは山菜である。
痛取、と書くらしい。かつては傷薬として使われていたからだそうだ。ごま油の香りが芳しい炒めものとして出てきたが、なるほど美味いではないか。珍味、珍味。
ここらへんで日本酒に切り替えましょう、と土佐のお酒、船中八策を。
この辛口のお酒をちびちびやりながら、お店の雰囲気をゆるゆると楽しんでいると
壁のメニューに、思わず二度見してしまうような文字が。
イヌゴロシ
犬殺し???
早速注文。運ばれてきたのはもみじおろしとレモンが添えられた灰褐色の切り身のようなもの。
聞けばイヌゴロシとは室戸の方言でマグロの尾びれのことらしい。
犬に与えたら死ぬまで食べ続けるという事から名付けられたらしいけれど、実際に犬が喜ぶかどうかは微妙だと思う。
ましてや死ぬまで食べるのをやめないとはとても思えんが。
まあ、酒のつまみとしては割と食感がいいのでひょっとしてら酒飲みの犬ならアリかもしれん。
おそらく土佐では犬も酒豪なのだろう。土佐犬とか見るからにお酒強そうだし。
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