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bar でこや

中学生の頃からものすごく好きだった作家の中井紀夫氏。

 多感な少年時代の、下手するとそっからの人生を大きく変えたのではと言っても過言ではないんじゃないかというくらい影響を受けた作家です。
今や絶版で入手不可能(その後、無事に電子書籍化されました)のハヤカワ文庫、「能なしワニシリーズ」、そして「タルカス伝シリーズ」の作者である中井紀夫氏が、飯田橋でお店を出していると知って、ドキドキしながら訪れてみました。

総武線を降り、歩道橋を渡っておしゃれな外観のお店に入ってみると、カウンターの奥でやさしい笑顔でお酒をつくったりおつまみを作ったり、常連さんと会話しているお姿が。

まずはビールを注文して気を大きくしたのち、意を決して
 「実は先生の大ファンでして」話しかけると、ほお!と、ちょっと驚いた様子で
「むかしわたしが本を書いていた、という事を知ってるお客さんもいるにはいるけれど、わざわざ訪ねてくれたファンは珍しい」
と喜んでくれて、カウンターの外に出ていらしたので、しばらくお話をしながらお酒を一緒に飲ませていただきました。

 先生の作品の話はもちろん、SFの話とか、以前本屋に勤めていたんですよ、という話から昨今の電子書籍化の潮流や、リアル書店の凋落の話など。あっという間の数時間でした。


 ハヤカワ文庫の先生の本のファンとは言っても、当時さほど熱心にSF全般を読んでいたわけではないので、お話についていけるのはもう本当に古典中の古典、ハインラインとかアーサー・C・ クラークとかその辺で。
 『幼年期の終わり』の新訳は序章が変わっていて(作者のクラーク自身が時代の変化に合わせて変えたとか?)がっかりした、みたいな。私は福島訳の難解な文章より読みやすくなって楽だった、みたいな印象しかなかったのだけれど。

澤乃井を、名物黒おでんと一緒に呑みまして。美味かったなあ。


自宅の本棚から持参した、繰り返し繰り返し読んでだいぶボロくなった文庫本にサインして頂いて、感激して興奮したまま終電間近のの東京メトロへ駆け足、駆け足。
痺れるほど幸福な夜でした。

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